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日緋色の叛逆者  作者: 高藤湯谷
六章 生命神編
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1話 新しいメンバー

 今日はまた旅立ちということで、リナは少し早めにリベルを起こしに行く。

 自分はノックくらいしろと言う割に、寝ているからいいだろうの精神でいきなりドアを開ける。

 そしてベッドまで近づいて、なんだか今日は頭まですっぽり隠しているなと思いつつ体を揺すれば、絶対に違う色が見えた。


「……何してんの?」

「えへへ、寝起きドッキリってやつです」

「逆じゃね?」


 害悪な方の金色、ルイナが本来リベルがいるべき場所にいた。

 本当に寝ぼけてるのかちょっと意味が違いそうなことを言っているがそちらは無視して。


「リベルはどこよ」

「ん?まだ起きてないならあなたの部屋じゃないですか?私はあなたのベッドに潜り込んでから入れ替えたので」

「何してくれてんの!?」


 転移持ちどもにはプライベートなんて言葉が通用しないから恐ろしい。

 何が嫌って、リベルが自分の布団で寝ていることだろう。まあ嫌悪感というよりは羞恥心という方が強いのだが。


「リベル!」


 廊下を全力ダッシュして横滑りしながらドアを開け放つ。

 バン!なんて随分な音を立てたことで、リベルも起きたようだった。


「……リナ?」

「ね、ねえ、あのさ、なんも言わずにとりあえず出てきて?」

「? わかった」


 眠そうに目を擦りながらリベルが部屋から出てくる。

 このまま何も教えないで他の話に移ってしまいたかったが、あの金色がそんな生易しいことを許すはずもない。


「叛逆者さん。リナのお布団はどうでしたか?」

「ん?ああなんかリナの匂いがすると思ったらそういうことか」

「どういうことっ!?」


 リナの匂いとは。まあ人間誰しもその人なりの匂いがあるのはわかるが、それにしたってリナは機械である。

 そんなもの、排除しているはずなのだが。


「あなたが人の道を選ぶということはそういうことですよ。若いまま止まっているので臭いと言われる体臭などはないでしょうが」

「……なんか複雑。リベルは、私の匂いわかるの?」

「まあそれなりに。抱きしめた時とかに、ああリナだって思えるくらいにはわかる」

「……」


 無言のパンチがルイナに飛ぶ!

 しかし顔面を狙った拳は軽く逸らされた。


「恥ずかしいからって暴力は良くないですよ」

「うっさい!元はと言えばあんたがっ!」

「叛逆者さ〜ん、リナのお布団は落ち着きますか〜?それとも興奮しますかぁ〜?」

「ッ!!」

「落ち着きはする、かな?すぐに追い出されたからわからないけど」

「〜〜〜〜〜っ!!」


 ドン!ゴン!ゴゴンッ!なんて音が家の外にまで響いていた。

 理由は単純。生身の人間ならそれ一発で粉砕骨折は免れないような全力の打撃がルイナに放たれ、避けられたものが壁に衝突しているからである。


「……俺は着替えてくるな」


 喧嘩(?)をしている人たちは、リベルに無視された。

 まあそれでいいと思う。だっていない方が全力で殴れるもの!


「怖い怖い。いくら私でもあなたの一撃は堪えるんですけどねえ」

「うるせえ黙って沈んでろッ!」

「まあ当たらないですしなんでもいいですが」

「クッソ野郎があああァァッ!」


 まだ人々が動き出し始める時間でよかったことだろう。

 何せ、今この家の前を通られたら、二階の窓から茜色の強烈な光が漏れ出すのが見えてしまっただろうから。




「ふぁ〜あ。みんな朝から元気だよねえ。ドラゴンの朝なんて夜でも関係ないのに」

「ちょっと何言ってるかわからないわ」


 あの騒動でようやっと起きてきたのはミアルだった。というか、このドラゴンまで家の中にいたらしい。


「まあまあいいじゃないですか。賑やかで」

「誰のせいだと」

「それよりリナ、朝食はまだですか?」

「侵入者のくせに生意気言うな。雑草で良ければ家の庭から採ってくるけど」

「えー、じゃあそれでもいいです」


 いいのかよと言いつつリナは適当に雑草を生み出して放り投げる。

 まさか本当に出てくると思っていなかったルイナはそれをミアルへ横流し。


「ぼく草食じゃないんだけど」

「雑食だから食べられるでしょう」

「消化はできるけどさあ」


 そんなことを言いながらもしゃもしゃ。人間が雑草を食べていると言うのは、なんというか一種異様なものを感じる。


「それよりですね、早くご飯を……」

「だからあげたじゃん」

「叛逆者さーん、お腹空きませんか?」

「……まあそれなりに」

「じゃあ二人前ね。私とあんたの分」

「お腹空いた私は何をしでかすか分かりませんよ?例えばそうですね、配膳したご飯が誰かの胃のなかに直接ぶち込まれるかもしれません」

「こっわ。つかあんたが何やらかすかわかんないのなんていつものことでしょ」


 なんだかんだ言いながら、リナは全員分の食事を作りに行く。

 母親なんて言われる理由はこの辺にあるだろう。


「あの人面倒くさがりの割に家事はしますよねぇ」

「そういえば確かに?」

「ルイナなんてぼくが悪口言わないと部屋の掃除しないのに」

「それはそれでどうかと思う」


 まあ綺麗な状態が一瞬で復元されてしまうのだから、掃除なんてやろうとしない。

 ちゃんと便利な家電は揃っているくせに、それが動くのは週に一回くらいである。

 それはさておき。


「家事は昔っからやってたの。それが日常なんだから、面倒なんて今更思わないでしょ」

「いやあ、偉いですねえ。私は全部使用人がやってくれたので料理なんてできる気がしません」

「……貴族め」


 ルイナは、どこぞのご令嬢だったらしい。

 あまり過去を語りたがらないが、リナが幼少期の話をすると金持ちだったらしいということだけは教えてくれる。

 家が広いだとか使用人がいたとか言っているので、まあ貴族だったのは間違いないだろう。


「まあお貴族サマのお口に合うかは知らないけどね、とりあえず作ってやったわよ」

「……なんだか叛逆者さんの方が盛り付けが綺麗じゃないですか?」

「うっさいな。あんたケーキの切り分け方にいちいち文句言うタイプ?」

「あ、そうですね。でもホールケーキは丸々一人で占領していたので最初からたくさん用意されてましたが」

「……クソガキがよ」


 ルイナのわがまま害悪は昔からのようだ。

 誰一人として手伝ってくれない配膳を一人でこなしている間に、ルイナたちはなんだか別の話をしていた。


「いやぁ、愛ですよねえ」

「そうだね」

「何が?」

「叛逆者さんのご飯ですよ。見た目も綺麗ですし、多分一番上手くできたものを選んでるんでしょうねえ」

「……そうなのか?」

「私に聞くなっ!」

「でもやっているのはあなたです。あなた以外、誰がわかると言うのです?」

「……別に、なんだっていいでしょ。味なんて変わらないし」


 もうルイナを一人にすると色々変なことを言われそうで、リナはワイヤーまで使って一気に料理を運び切る。

 朝は大皿料理なんて作らないものだから、全員分の皿を用意したのが間違いだった。

 リベルの隣に自然と座れば、ルイナから無言の笑みを向けられる。


「きっしょ」

「褒め言葉として受け取っておきますね」

「もうほんと嫌い」

「ふふ、ありがとうございます」


 何を言っても無駄。これがルイナであり、リナもずっと前から分かってはいることである。まあ分かっているからと言って、悪態をつかない理由にはならないのだが。


「それで、食べ終わったらもう行くのか?」

「まあ、そうね。ミアルも使えるし、ルイナもいるし」

「ぼくはやっぱり道具なんだね」

「嫌なら人間になりなさい」

「そっちの方が嫌だね」


 ミアルはどちらかと言えば竜であることに誇りを持っている。それはそれでいいと、リナは思っている。


「まあ私はいますが、転移は使いませんよ」

「なんでよさっき使ってたくせに」

「長距離移動は面倒なんです。あと私の力を使いすぎると、あなたが好き放題やった時に復旧できなくなりますよ」

「ぐ、ま、まあいいわ。どうせミアルで十分なんだし」


 ミアルの速度は、計測類が吹っ飛ぶレベルの速度だということだけはわかっている。

 光か転移に近いんだろうとは思っているが、その速度に耐える肉体というのがまず恐ろしい。


「ごちそうさまでした。やはりリナのご飯は美味しいですね」

「……なんか怖いんだけど」

「純粋な褒め言葉すらまともに受け取ってもらえないとは。ミアル、私は何か間違えましたかね?」

「存在が間違ってるんじゃない?」

「……まあいいです。早く行きましょう」


 ルイナが出ていくと、ミアルもそのままついていく。

 リベルは迷っているようにこっちを見ているので、適当に肩を竦めておいた。


「まあ、ざっと皿洗ってから行きましょうかね。遅いってんなら、勝手に迎えにくるでしょうし」

「ん、分かった」

毎話五千文字オーバーは長いと言う結論に至りまして、ここからしばらく三千文字前後でやってみようと思います。どちらが良いか、特に戻してほしいと言う意見がありましたらコメントまでお願いします。


追記。

このタイミングですがカクヨムに投稿してみようと思います。理由はまあ、三千文字に変えたのが大きいですね。向こうは今までの話を全て三千文字に修正してみたものなので、もし気になる方がいましたら調べてみてください。

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