真似してもいいですか?
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ディオさんは綺麗だ。
それは顔立ちだけではない。
歩いてても、立っていても、座っていても。
ついでにいうと眠るときも。
いつでも綺麗な動きをする。同じように動いているはずなのに、ディオさんはまるで静かな踊りみたいで見ているだけでうっとりする。
いまも食器を棚にいれているだけなのにとっても綺麗だ。
「ランラン、どうしたの?私にみとれちゃったかなー?」
「はい。」
思わず声をかけられて返事をしてしまった。
ずっと見ているなんて気持ち悪いって怒られるかもしれない。どうしよう。
「あ、あの、同じように歩いたり、立ったり、座ったりしているはずなのに、ディオさんがするととても綺麗なのでなんでかなって思って見てたんです。私もできるかなって・・・。」
言い訳をしてみる。本当は自分がそうなれるなんて思ってない。
ディオさんは特別だから綺麗にみえるだけなのはわかっている。
私なんかにできるはずがない。
「ふふっ、これも修行なの。」
「修行?」
「人の基本動作の歩くこと 、止まること 、すわること 、ふせることの日々のすべてが修行なの。女神を目指す生活を送る中で身についていくからランランもいつかできるよ」
「そう、ですか?」
そんな風にはとてもじゃないけど思えない。
私はずっと家族に歩けばトロいといわれ、立てば邪魔だといわれ、座れば蹴られていた。
それくらい私の動きは醜いものなのだ。
ディオさんみたいになれるなんて思えない。思っちゃいけない。
「・・・立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。」
「え?」
「ふふっ、極東の国の言葉だよ。女性の綺麗な所作を美しい花に例えたんだよ。」
「そんな花があるんですね。」
「書いてあげる。」
そう言って、ディオさんは地面に書いてくれた。
だけど・・・。
「・・・ごめん、下手すぎて伝わらないね。」
そこには長い花と丸っぽい花と三角の花っぽいものが描かれていた。
「絵は苦手なんだよ~」
そう言ってお茶目に笑うディオさん。
「へへっ」
「あー!笑ったなぁ~!」
「だっていつも完璧で綺麗なディオさんにも苦手なものがあるんだって思ったらなんだか・・・へへっ」
ほっとした?嬉しかった?なんていえばこの気持ちが伝わるんだろう。
「も~。私にも苦手なことはあるし、今できることだってもともと出来なかったことばっかりだよ。」
「そうなんですか?」
びっくりした。
ディオさんみたいな人にも出来ないことがあるなんて信じられない。でも実際に絵は・・・。
「・・・へへっ」
「また笑ったなぁ~!ふふっ、でもランランは可愛いから許してあげる。」
そういって頭を撫でてくれる。
「ランランもね、立ち居振る舞い、すべての行動に規律と作法を大切にしたら同じようになれるよ。」
「たちいふるまい?」
「歩いたり、立ったり、座ったり、寝転んだり。ひとつひとつの行動を大切に心をこめるの。立ったり、座ったりもね、自分がすることだから。丁寧にすると自然と静かで綺麗な所作になるの」
「行動に心をこめる…。」
「緊張はしなくていいの。自分に注意するの。立つときはおへその下に下に力をいれる感じで、座るときは腰の骨をたてる感じだよ。」
行動に心をこめるってなんだろう?自分を注意って自分を怒るってことかな。
どうすればできるのかわからないのが悲しい。
「ふふっ、そんなに難しく考えなくていいよ。例えば、私みたいになりたいんだったら私の真似をするとかどう?」
「・・・それならできる気がします。」
ディオさんを堂々と見ててもおかしくない理由ができちゃった。
「これで、ランランに私のことを堂々とみてもらえるな~」
そう言っていたずらっぽく微笑むディオさんの言葉に、私は赤くなった頬を隠すため俯いた。
今日は行住坐臥をテーマに書いてみましたヽ(*´∀`)ノ
猫背でダラダラ寝転ってばかりの私には耳が痛いです・・・\(^^)/