表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/27

フラグメンタはありますか?

評価&ブックマークありがとうございます!

めちゃくちゃ嬉しくて続きを書いちゃいました♫


お礼もかねて、二話に服選びの日のことも書いてみました。

よかったらお楽しみくださいヽ(・∀・)ノ

「女神の修行っていうのは自分がもっているフラグメンタを磨くことなの~」


今日の夜は優しい風が吹いてるから、という理由でテントの中ではなく、外にシートを敷いて話をきけることになった。

カモミールの温かいお茶をいれてくれながら、ディオさんが説明してくれる。


「フラグメンタっていうのは心の煌めきのこと。人間はね、女神様と同じようにキラキラ光る心を持ってるんだよ~。女神様がね、人間が生まれるときにギフトしてくれるの。」


「女神様の煌めきがフラグメンタで、みんな持っているってことですか?」


「そうそう、ランランは賢いね~」


よしよし、とディオさんが頭を撫でてくれる。


「ディオさんはフラグメンタがあると思いますけど、私には・・・ないと思います・・・。」


最後の方はあまり声にならなかった。


みんなが持っているはずのフラグメンタ。

女神様は私にギフトするのを忘れちゃったのかな。


ディオさんは魔力もたくさんあるし、ドラゴンっていう高位の聖獣にも好かれるし、とっても美人で優しい。

それは女神さまのフラグメンタをたくさんもらえたからなのかな。



なんだか悲しくなってくる。



そんな私のことをディオさんがぎゅっと抱きしめてくれる。


「ランランもね、ちゃ~んとフラグメンタを持ってるよ。大丈夫。」


ディオさんは私の両頬に手を添え、じっと瞳をあわせて優しい表情を向けて話し始める。


「フラグメンタはね、心の煌めきなの。たくさん磨いてあげたらね、その分光り輝くんだよ。」


そのために6つの蜜を自分の中で育てて、7つの果実を配るんだよと笑ってくれる。


「じゃぁ、私にも周りの人にもフラグメンタなんてないと思います。ディオさんみたいに優しくしてくれる人なんていなかったし、私もしたことないです。」


私は魔力もなんにもない役立たずだもん。

血のつながった家族にさえ嫌われてるのは女神様がフラグメンタをギフトし忘れたからなんじゃないかな。


悲しくなって涙がこぼれる。

ディオさんは私のこぼれた涙をそっと拭ってくれる。


「フラグメンタはね、放っておくと見えにくくなっちゃうの。いつも怒ってたり、意地悪してるとね、フラグメンタはね曇って見えなくなっちゃうの。でも、どんな人にだって必ずフラグメンタはあるんだよ。」



そういって両頬に添えた手を持ち上げ、私の顔を空に向ける。


「ほら、空にはたくさんのお星様があるでしょう?お星様はね、自分でキラキラ光ってるんだよ。それがね、何億年もかけてこの世界に届くの。」


夜に空をゆっくり見上げたことなんてなかった。

そこには黄色や赤、たくさんの色で輝く星が浮かんでいる。

数え切れないほどあって、強く光ってる星もあればぼんやりと光っている星もある。


「あ、ほらみて。お月様が雲でかくれた。」


今日の月はなんだか細い。小さくなったお月様が雲にかくれて、周りにあった星も一緒に隠れてしまった。



「みえる?雲で星が隠れちゃったけど、雲がまた流れたあと、星も消えると思う?」


どうなんだろう・・・。

見たことないからわからない。

でもあの大きな雲はお星様を食べちゃうかも知れない。

そうなると星も消えちゃうのかな。

なんだか悲しい。

何億年ってどれくらいかわからないけど、一生懸命届けてくれた光があっという間に食べられちゃうなんて。


「ふふ、雲が流れるまで一緒に待ってよう。カモミールティーを飲んだらよく眠れるよ。今日はジンジャーも少し入れたから体も温まると思うから飲んでみて。」



そういって丁寧にカップを渡してくれるディオさん。

カモミールの花はどんな花なのか、ジンジャーをいれすぎて大変だったときの話をしてくれる。

私はなんて返せばいいのかわからなくて黙って聞いている。

たまにディオさんの顔をみると必ず目が合う。

ディオさんはそのたびに微笑んでくれる。

私は思わず目をそらしてしまうけど、何回かに一回は笑い返せたと思う。

たぶん。

はじめてのカモミールティーはなんだか不思議な味がして、最後まで飲みきれるかなと心配だったけどディオさんが説明してくれるうちにとっても素敵なお茶なんだと思えるようになって気づいたら飲み干していた。


「あ、みて。雲が流れてお月様が顔を出し始めたよ。」


急いで空を見上げる。

そこにはさっきと変わらないお月様といろんな色に輝く星が変わらずにあった。



「ね、曇空で見えなくなった星はそのままそこで輝いていたでしょう?どんな人だってフラグメンタを持ってるんだよ。見えにくくなってる人もたしかにいる。でもね、ランランは自分が気づいていないだけでとっても綺麗に輝くフラグメンタを持ってるよ。」


そう言うとそっと、胸の間に手をそえてくれる。


「不安になったり、心配になったら、ここに手をあてて温めてあげて。そしたら、フラグメンタの曇空はきっと晴れていくよ。」


ディオさんの優しい温もりがじんわりと胸に広がっていく。


「フラグメンタを輝かせたいという気持ちがあれば、どんどん輝いていくから!そのために6つの蜜は自分の中に、7つの果実は出会った人にギフトしていくんだよ。」


出会う人はみ~んな女神さまから与えられたフラグメンタを持ってるから、女神さまと同じように大切な存在だと思ってギフトしていくのがコツ!


そういってディオさんは笑った。



・・・ディオさんが私に優しくしてくれるのも女神さまのためなのかな?

女神さまになるための修行っていってたもんね。

私じゃなくても、ディオさんは同じようにしてたんだろうな。

だってとっても優しい人だもん。



魔力もなくて、役にも立たない私でも、ディオさんが優してくれることでなんだか特別な存在になれた気がした。

でも、それはディオさんの修行のための行動であって、私が私じゃなくても同じようにしてたんだよね。



そう思うとちくりと胸が痛んだ気がした。


仏性について禅ファンタジー風に書いてみました。

フラグメンタはラテン語で星のかけらというイメージで名づけました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ