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護身術をならってもいいですか?

評価&ブックマークありがとうございます!

すごく嬉しいです゜゜(゜´Д`゜)゜

フェールさんが私に護身術を教えてくれるという。


「一通り教えたあとは実践もかねて魔物討伐依頼をうける予定だ。ランに戦力は期待していないが、せめて邪魔にならないよう自分で身を守れるようになれ。」


「ちょっとフェール!そんな言い方はやめなさい!」


ディオさんが私を庇うように抱きしめてくれる。


「ランラン。怖いなら無理しなくていいんだよ!私が守るから大丈夫だよ。」


「あの、私がディオさんのことを守りたい・・・です。」


「ランラン!かわいい!!!」


ディオさんがぎゅっと抱きしめてくれる。


「フェ、フェールさん!私に戦い方をおしえてくれますか?私なんかにはできないと思いますけど、でも頑張りますから。」


「はっ。できないと思ってるならできないだろうから無理をするな。それにディオッサさまのことは私が守るから問題ない。ジョブは黒魔道士ということだが、実践で役にたつことはないだろうからな。せめて足でまといにならないようになれ。」


うぅ・・・。

私なんかがディオさんを守るなんて夢のまた夢だよね・・・。


鼻の奥がなんだかツンとする。


「がうー!」


そのとき、イフーが私の前にでて、フェールさんに唸る。


「・・・これは白虎?なぜ聖獣がこんなところに?」


「びゃっこ?イフーのことですか?」


「あ、やっぱりイフーって白虎なの?赤ちゃん猫にしてはんだかがっしりした体型だなぁと思ってたんだよねぇ。」


「あの、びゃっこってなんですか?」


「白虎というのは神獣の一種だな。戦いの神で災いを払うといわれている。この白虎の名はランがつけたのか?」


「は、はい。イフーっていいます。」


「名をつけることができたということはランがこの白虎の加護をうけたということか・・・。なぜランにできて、私には・・・。」


フェールさんはだんだん声が小さくなっていく。


「フェール?どうしたの?」


ディオさんが問いかける。


「・・・我が一族には神獣に仕える者が生まれます。ただ、それは世界を揺るがす大きな災いが訪れるときといわれています。もし神獣が降臨することがあれば私が選ばれるようにと日々努力してきました。邪が蔓延り、魔物の被害が増えていることに怒りを覚え、両親や里に別れを告げました。最初は反対されましたが、必ず討伐することを誓い、許しを得ました。剣の腕を磨き、師匠にも免許皆伝をうけました。これより上を目指すならば女神の教えを極めるよういわれ、神殿に行き、聖騎士としての称号もうけました。」


「そう。」


「青龍に仕え、加護をうけるために日々修行を行い、礼拝も怠りませんでした。それからはギルド任務で魔物を討伐して邪を払い続け、神殿の聖騎士としても研鑽しました。すべて来る時期に青龍の加護をうけるためです。その私が青龍の加護を受けられないのは、災いが訪れる時期ではないからだと受け止めていました。」


そういってフェールさんが悔しそうに私をみる。


「なのに、このような何もできない子供が白虎の加護を受けているなんて。ディオッサさま。なぜ、努力を惜しまず信仰をしてきた私が青龍の加護を受けられないのでしょうか。」


ディオさんを見つめるフェールさんの瞳は濡れていて、助けを求めているように感じた。


「フェール。御利益を求めて修行や礼拝をしても、何も得るものはないのよ。」


「どんなに素晴らしい行いでも 、見返りを求めた時点で押し売りと同じよ。」


「わ、私がしてきたことは押し売りと同じだというのですか・・・?」


「見返りを求めるから苦しくなるの。あなたがしてきた修行も行動もすべて素晴らしいものだわ。でも、それがすべて青龍の加護をうけるためだというのなら、それはやっぱり押し売りだわ。」


「そんな・・・!では、修行や礼拝をして得られるものとはなんなのですか?」


「損得にかかわることのない浄らかなものよ。」


フェールさんは理解できないという顔をしている。

私もよくわからないけど、なんとなくディオさんが私に対してしてくれることと同じな気がする。

だって、私なんかに優しくしても何も得られることなんてない。

でも、ディオさんはいつだって優しい。


「フェール。青龍の加護のことは私にはわからないわ。でも、何事も自分がやれることを精一杯やればそれでいいのよ。あとは自然に任せるの。果実が実るか実らないかは自分でなんとかできる範囲を超えているのだから。」


「・・・はい。」


「ランランとイフーはギルド任務のときにたまたま出会っただけ。イフーがランランに懐いたから一緒に暮らしてるだけ。ただ、それだけのことよ。あなたの努力が否定されているわけではないわ。イフーは私には懐いてないから、何かランランに感じるものがあるのでしょう。フェールは白虎のことについては知っているの?」


「・・・白虎の力を使うことができれば、魔物の邪力を払うことができると思います。白虎と青龍は同じような力を持っていると聞きますから。」


フェールさんは軽く眼を閉じたあと、私に顔を向ける。

その顔はいつものフェールさんだ。


「ただ、神獣というのは意思を持っているし、使役できるものではない。白虎が力をかしてくれるかどうかはわからん。いずれにしろ、自分自身を守るためにも護身術を教える。自分を守れなければ、大事なものを守ることもできん。」


「お、おねがいします!」


「私は厳しいからな。ディオッサさまのように優しくしてもらえると思ったら大間違いだ。」


「はい!がんばります!」


魔力もないし、役にも立てない私だけど、せめて自分のことを守れるようになりたい。

そして、ディオさんのことも守れるようになりたい。


イフーがとなりで「がう!」と吠える。

私と一緒に頑張る、と言ってくれるように感じる。


「一緒にがんばろうね、イフー。」


そうして私の修行一日目が始まった。





本日のテーマ

・無功徳

・結果自然成


ついつい見返りを期待しちゃうのは人間の性ですね。

努力が結果として返ってこないことに対して、自分の何が足りなかったのかと落ち込んだり、相手を責めたくなったりしちゃう気持ちをうまく整理できないフェールに共感しまくりです・・・!


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