ギルド登録してもいいですか?
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今回はファンタジー要素多めで、ちょっと長いですが、楽しんでもらえると嬉しいです♪
「今日はギルドの薬草採集に行ってくるね~」
ディオさんがいう。
「あの、私もついて行ったらダメですか?」
ディオさんが少し驚いた表情を浮かべたあと、すぐに微笑んでくれた。
「もちろんいいよ。冒険者になりたいの?」
私は少し考えてふるふると首を振る。
「ディオさんの役にたちたいから・・・」
「~っ!かわいい!!!」
ディオさんが私をぎゅっと抱きしめる。
「せっかく13歳になったし、ランランもギルドで登録してパーティーを組んでいこう」
「・・・登録せずについて行ってお手伝いするのはだめですか?」
「ん~。それでもいいけど、ギルドに行ったら判定してもらえるし、ランランにあった依頼ももらえるからした方がいいと思うよ~。」
「ディオさんがそう言うなら・・・」
「よし、じゃぁ一緒にギルドに行こ。まずは登録して、そのあとスキルにあった装備を買いに行こ~。」
出かける準備はすでにしてあったので、そのまま出かける。
『どこでもギルドドア~』
ディオさんがいつもより高い声で言いながら扉を開けると、そこはいつもの庭ではなく、建物の中だった。
ディオさんが受付らしき場所に向かう。
ギルドにいる人が私に気づくとさげずむような視線を向けてくるのがわかる。
前の家でずっと向けられていたあの嫌な視線だからだ。
私は怖くなってディオさんの背中に隠れるようにしてついていく。
言葉は聞き取れないが、私をみながらコソコソと馬鹿にしたような態度をされる。
「新規登録お願いします。」
ディオさんが私の背中をそっと押してギルド受付のお姉さんの前に立たせる。
お姉さんの視線が怖い。あの母と同じような視線だ。
「まさかその子を登録する気ですか?何の依頼もできないと思いますし、むしろ・・・」
「すでに私の優秀な助手ですからご心配には及びません。急いでますので手続きをお願いします。ギルド登録を拒否する権利、あなたにはありませんよね?」
ディオさんの言葉に受付のお姉さんは黙って手続きを進めることにしたようだ。
必要書類の記入はディオさんがしてくれた。
私は字が書けないことを恥ずかしいと思った。
スキル判定の水晶に手をかざすようにいわれる。
不安になってディオさんをみる。
私の視線に気付いたディオさんがにっこり微笑んでくれる。
「終わったら、一緒に買い物に行くの楽しみだね。」
私は頷いて、指示されたとおりに水晶に手をかざす。
水晶の中で黒い靄がいっぱいになる。
目の前にいる受付のお姉さんが周囲がざわめく。
「やはり黒髪の・・・忌まわしい力・・・」
「・・・この子もそのうち闇に・・・」
断片的に聞こえる言葉だけでも私を不安にさせるには十分だった。
私の体が震える。こわいこわいこわい。
やっぱり私は母の言うとおり、いるだけで人を不快にさせて、迷惑をかける存在なんだ。
私みたいな人間が誰かの役に立とうなんて考えたらだめだったんだ。
ディオさんが私の手をぎゅっと握り締める。
私と視線をあわせるようにかがんで、にっこり笑い、背中をさすってくれる。
「落ち着いて。大丈夫だよ。」
ね?そういって笑うディオさんがいつも通りに優しくて私はこくりと頷く。
「さぁ、手続きを完了させてくださいな。」
「・・・ランのスキルは黒魔道士です。こちらがギルドカードになります。」
差し出されたギルドカードを受け取る。
「・・・まさか本当に・・・破滅を呼ぶ力だ・・・」
「・・・本当に存在するなんて・・・なんと忌々しい・・・」
みんなが距離を置いて私をみている。
今日はもうディオさんの家に帰りたい。
もうどこにも行きたくない。
誰とも会いたくない。
母の言うとおり、やっぱり私なんかいちゃだめなんだ。
誰にも関わらず、迷惑をかけずに生きていかないとだめだったんだ。
「なんだか疲れたからお家に帰ろっか~」
そう言ってディオさんがギルドのドアを開ける。
そこはいつもの家だった。
「実は呪文を言わなくても思い浮かべるだけでドアさえあれば家と繋がるんだよね」
そういって笑うディオさん。
「・・・この家は安心するので好きです」
「私も。ランランが一緒にいるこの家が一番だよ」
手洗い場に行き、手を洗う。
ディオさんが用意してくれた石鹸はローズの優しい香りがする。
お湯を沸かして、私の好きなカモミールティーをいれてくれた。
ミルクとハチミツもいれてくれた。
「私のこの髪の色ってやっぱりおかしいんですよね。前の家でもずっといろいろ言われて・・・」
「おかしくなんかない。ランランの髪も瞳の色もとっても綺麗で、私は好きだよ?」
「でも、他の人は・・・」
鼻の奥がツンとして続きを言えなかった。
「・・・これを飲みながら、ちょっとだけお留守番しててくれる?」
私が頷くとすぐに出かける。
ディオさんのいれてくれるお茶はいつも優しい味がする。
胸元のムーンストーンのネックレスを握り締める。
(泣いたらだめ。泣いたらもっと嫌われる。)
私は何度も繰り返し、涙を堪える。
ディオさんの役に立ちたかっただけなのに。
私がダメな人間だということがディオさんにも伝わったかもしれない。
言われた言葉の意味は分からない。でも、どれもきっと良くない言葉で、それはきっと正しい言葉なんだ。
私がじっと耐えているとディオさんはすぐに帰ってきた。
「じゃーん!冒険者デビューのお祝いだよ~!」
そういって大きな袋を渡された。
入っていたのは黒色のローブだ。
フードの部分に猫耳がついている。
「これね、猫耳型のデザインなんだよ!」
「私、人間なので猫耳なんてないですよ・・・?」
「そうだけど~!でもでも、獣人向けの外套のデザインがすっごく可愛いと思ってつい!」
「人間が着ても大丈夫なんですか?
「大丈夫大丈夫!ランラン可愛いし!!ローブに必要な基本魔法も付与しておいたからね。私のジョブが白魔道士だから、だいたい必要なものが分かるからよかったよ~」
そういってローブ私にかぶせてくれる。
「これはね、獣人用だからフードの部分に防音魔法が少しだけかかってるの。獣人は耳が良いから話し声や音が響くから、聞きたくない音はキャンセリングされるようにデザインされてるんだよ。」
私のはこれ、とディオさんが白色のローブをつける。フード部分にはうさぎの垂れ耳がついていてとっても可愛い。
「フードをかぶれば嫌な音は聴こえない。髪の色だって見えない。フードを深く被れば瞳だってみえないよ。ランランが安心できるならローブだけじゃなくてフードもかぶったらいい。でも、そんなことしなくても大丈夫なんだからね。ギルドで嫌な思いをしたと思うけど、あんなの気にする必要ないからね。馬鹿なことを言う人は放っておけばいいんだから。」
ね?とやさしく微笑むディオさん。
「つらいことから逃げでも何も解決しないけど、立ち向かうのだってしんどいよね。言葉や視線が怖いなら、自分の中にいれないようにスルーすればいいんだよ 。そうしたら逃げなくていいし 、いつか大丈夫になる方法もみつかるかもしれないでしょ?」
そういって優しく笑う。
「不安の種はいつか芽吹いて 、心の中に蔦が絡みつくようになるかもしれない 。そうなったら除草が大変!まずは不安の種を心の中にまかないことが大切だよ。」
ディオさんが背中をさすってくれる。
さっきまで不安や苦しみでいっぱいだった気持ちが少しずつ落ち着いてくる。
よかった、ディオさんは私のことを嫌ってないんだ。
それだけでなんだかとっても安心してくる。
ぽろっと頬に涙がこぼれたことに私は気づかない。
「みんなね、自分の頭のなかにある自分の物差しで測ろうとするの。他人の物差しを使って、自分のことを決めちゃだめ。でも、自分の物差しで決めればいいってわけじゃないの。白か黒かのこだわりを忘れて、ゼロから考えるのが大事。頭の中の物差しは結局は自分の思い込みなんだから~。」
ディオさんがそう言うならそうなんだろう。
でも、これはディオさんの物差しで決めたことになるのかな。
なんだか難しい。
「ランランの髪も瞳も心もとっても綺麗だから。誰かの物差しで自分の価値を決めないで。」
ディオさんが私の目元をそっと拭ってくれる。
ディオさんがぎゅっと抱きしめてくれる。
心がほわっとなって、なんだか鼻の奥がツンとした。
さっきのツンとは全然違う。
うまく言葉にできなくて。私は代わりにディオさんの腕をぎゅっと抱きしめた。
そしてたくさん泣いた。
ディオさんはずっと私の背中を撫でてくれた。
私が泣き止むともう一つの包をあけるように促される。
そこにはロッドが入っていた。装飾部分の石部分には白色をした大きなムーンストーンがはめこんであり、まるでお月さまのように優しく輝いている。
「とりあえずは基本のロッドにしたよ。ローブ部分にロッド用のポケットがあるから、そこにいれておいたらいいよ~」
ディオさんの言葉通り、ローブのポケットにロッドをいれた。
装飾部分がポケットから見えて、とっても可愛い。
「ディオさんは白魔道士なんですよね?ディオさんのロッドはあるんですか?」
そう聞くとディオさんはちょっと気まずそうな顔をして、空間から大きなメイスを出した。
「私は杖のついでに武器にもなるように大きめのメイスにしたんだよね~」
ディオさんのメイスはたしかに重そうだし、当たったら痛そうなので気を付けようと思った。
「ギルドには私ひとりで依頼や報酬をとりにいくから、慣れるまでは無理していかなくても大丈夫だからね。ジョブとかギルドの説明はまたその都度するから心配しなくていいからね~。」
いつまでも逃げてちゃだめだけど、立ち向かわないといけないわけじゃない。
私がスルーできるようになるまで待つとディオさんは言ってくれた・・・と思う。
「・・・あの、本当にありがとうございます。嬉しいです。」
ディオさんに一生懸命感謝を伝える。
「しばらくは怖いのでフードもかぶらせてほしいです。でも、いつか一緒に買い物にいけるように頑張ります。」
ディオさんは優しく頷いてくれる。
その姿をみて私はほっとするのだった。
私が話す言葉をきいてくれる人がいる。待ってくれる人がいる。
それってとっても幸せなことだと思うのだった。
設定ガバガバであとから本文訂正することが多くてすみません。
優しい気持ちで読んでくださる皆様に本当に感謝です。
ありがとうございます!