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不安になってもいいんですか?

閲覧、ありがとうございます!

ブックマーク&評価もとても嬉しいです。

・・・遅いなぁ。



ディオさんは今日はギルドの薬草採集の依頼をすると出かけて行った。


昼過ぎには帰ってくるといっていたのに、いまはもう夕方だ。



私、何かしたのかな?


私のことを置いてどこかに行ってしまったのかもしれない。



そう思うとどんどん不安になってくる。



夕日は山にかかり、あたりは夕焼け色に染まる。。



部屋の明かりをつける気にもなれず、扉の外にでる。



ディオさんが帰ってくるかどうか心配で不安でいてもたってもいられない。


だって、どう考えても私はディオさんの役に立っていないし、お荷物だ。

私なんかいない方がディオさんの旅の負担は少ない。

やっぱり、私みたいな人間は誰にも必要とされないんだ。



私の気持ち、そして陽がもう沈みきるという頃に影がみえた。



その影は私に気づくと大きく手を振る。



「ディオさん!」



私は走った。



「ランラン、どうしたの?迎えに来てくれたの?」



ディオさんの言葉にこくりと頷く。



「そっか、遅くなってごめんね。心配してくれてありがとう~」



心配・・・?

私はディオさんにおいて行かれたんじゃないかと自分が心配だっただけだ。

ディオさんに何か危険なことがあったのではないかなんて思いつきもしなかった。

私はなんて卑しい人間なんだろう。



私は力なく横に首をふる。



ディオさんは優しく頭を撫でてくれた。



こんなに優しいディオさんのことを疑って不安になるなんて恥ずかしい。



ディオさんがちゃんと私のところに帰ってきてくれた安心感も混ざり、ポロポロと涙がこぼれる。


「ごめんね、そんなに心配させちゃったんだね」



「違う、んです。ディオさんがいなく、なったと思って・・・。私はやっぱりいらないんだって・・・。」



「今日はね、ギルド依頼先の街で祭りがあったんだ。ランランと食べようと思って買ってきてたら遅くなったの。喜ばせたかったんだけど、不安にさせちゃったね。」



ディオさんが私の手を優しく握り、先日行った森に向かって歩き出す。



「今日は天気も良いし、満月の夜だから湖に行って美味しいご飯を食べよ~」



私は一生懸命涙を堪えて、頷いた。



昼間歩いたときは木漏れ日でキラキラ光っていた道がとても暗く鬱蒼としている。

でも、ディオさんの温かい手と月の光が私を導いてくれることに安心感を覚える。


湖につくと、ディオさんが湖面に浮かぶ月を指す。



「みて。これが水月だよ」



「お月様が二つ・・・」



湖の中にもう一つの夜空が広がっていた。

満月が空と湖で優しく光っている。



強い風が吹き、湖面が波立つ。

波立ったあと、穏やかになった湖面にはふたたび優しい月が照らされる。



「水の流れがどんなに急になっても水面にうつる月までは流すことはできないの」


湖に向けていた目線を私に戻すディオさん。



「私とランランの関係も一緒。ランランが不安になって、一人ぼっちだと思ったとしても私はそこにいるの。」


どんなに強い風が吹いてもお月さまが飛んでいくなんてことはないでしょ、と微笑むディオさん。



「曇ったり、雨だったりして見えなくたって、どんな日だってお月さまはそっと輝いている。もし、ランランが不安を感じてもいいんだよ。でも、そのときは私もお月さまも側にいることを思い出してほしい。」


「不安になってもいいんですか?」


「いいんだよ。そういう日だってあるよ。私はね、これから見る月もずっとランランと一緒だったらいいなって思うよ。不安になったら今日のこの月を思い出して。一人になんてしないから。」



ディオさんが月がうつる湖面の水を手ですくう。



「お月さま、つかまえちゃった!ランランの不安だってこうやってすぐに捕まえちゃうよ~」



そういっていたずらっぽく笑う。



「・・・ディオさんとみるとお月さまが綺麗にみえますね。私、絶対忘れません。」



「知ってた?お月様はね、昼間でも輝いてるんだよ。でも太陽が明るすぎて見えないの。暗い夜だからお月さまが見えるの。」



「そうなんですね。」



知らなかった。そもそもお月さまがこんなに綺麗なのも知らなかったし、気にしたこともなかった。

昼間にお月さまがみえたら不安になったときはいつでも空を見上げれば安心できるかもしれない。




「さぁ、遅くなったけど晩ご飯をたべよう!」



ディオさんが出してくれたのは串にさされた鴨肉のローストだった。

パプリカという黄色や赤のピーマンみたいな野菜のサラダもあった。

それから、ケーキというお菓子も買ってきてくれた。

ケーキはいろんな種類があるけど、今日食べたものは生クリームたっぷりのいちごのショートケーキというらしい。


初めて食べる味だったけど、どれもとても美味しかった。

私たちが一緒に旅をはじめて、ちょうど今日で一ヶ月だから記念のパーティーをしようと思いついていろいろ買っていたら帰るのが遅れたらしい。


お月さまの優しい光に照らされた湖をみながら、今日のことは忘れないようにしようと心に刻むのだった。


メリークリスマス!

みなさんにとって素晴らしい一日となりますように♪


今日はイブなので、最後だけパーティーっぽくしてみました笑


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