ピクニックに行ってもいいですか?
いつもありがとうございます。
ディオさん視点の短編を書きました。
完結済なのでよかったら読んでもらえると嬉しいです。
ここでは書いていないディオさんのキャラ設定が伝わるかと思います。
だから女神じゃないってば!~修行の旅に出ることにして逃亡させていただきます~
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「ランラン、今日は天気が良いからピクニックにいこう!」
ディオさんが満面の笑みを浮かべる。
ピクニックってなんだろう?
聞いたらそんなことも知らないのかって呆れられちゃうかな。
「ピクニックはね、ごはんを持ってお出かけして外で食べるんだよ。」
私がよく分かっていないことを察してかディオさんが説明してくれる。
ディオさんはなんでも分かってすごい。
「今日のお弁当はサンドイッチにしよう。手伝ってくれる?」
私はテテテっとディオさんに駆け寄る。
「ランランと楽しいサンドイッチ作りができることに感謝!」
そういって手を洗い始める。
ディオさんは私が見ていることに気づくと、私の手をとり、丁寧に洗ってくれた。
「指の間や爪の間も綺麗にしようね。自分を綺麗にすると、心も綺麗になるからね。」
そういって優しく笑ってくれるディオさん。
ディオさんの真似をして、パンや具材になるトマト、たまごを切った。
同じようにしているのに、ディオさんと私が切ったものは全然違う。
食材に感謝するどころか、謝罪しないといけないと落ち込む。
「ランラン、丁寧に心を込めて切ってくれてありがとう!」
突然、ディオさんが甲高い声で言う。
「ふふ、野菜たちがランランに感謝してるね~?」
「ふへへっ」
思わず笑ってしまう。
ディオさんは私の心をほわっとさせるのがとても上手だ。
サンドイッチができたあと、温かいミントティーを作ってピクニックに出発する。
「ピクニックってどこにいくんですか?」
「うーん、歩くのが一番の目的だからな~。どこにいこうかな~。」
「歩くのが目的?」
私は前の家にいるときに外に出してもらえることはなかったが、歩くのはどこかに出かけるためだと思っていた。
歩くのが目的ってどういうことなんだろう。
「よし、湖に向かおう。」
そういって私の手を握って歩き始めた。
手を握って歩くと心がほわっとしてくすぐったい。
ずっと手をつないでいてくれるなら、湖になんてつかなくてもいいと思ってしまう。
そっと風が頬をなでる。
「風の匂いが春の香りになってきたね。あ!あそこに花が咲いている。」
そういってディオさんが手を解き、花にかけよる。
「綺麗な黄色だね。」
ランランの瞳と同じ色だね、とディオさんは花を手折ると私の髪に花をかざる。
「とっても似合って可愛いね~。」
お花は食べられないから好きでも嫌いでもなかった。
でも、こうやって気持ちを優しくさせてくれるものなんだと思うと、素敵なものなんだなと思う。
私もディオさんに似合う花を見つけて飾ってあげたいけど、迷惑かな。
綺麗な花を見つけるなんて私には難しいかな。
ディオさんと並んで森を歩き始める。
また手をつないでくれないかな、と見上げるがディオさんは軽く目をとじている。
森の木々の葉の間を漏れてさす日の光に照らされるディオさんはまさに森の女神のようだった。
ディオさんが私の視線に気づいてこちらを見る。
「風が私たちを歓迎して花の香りと鳥のさえずりを運んでくれているみたいだね。」
そう・・・なのかな?
私のことなんて歓迎してくれるとは思えないけど、ディオさんがいうならそうなのかもしれない。
「鳥の鳴き声が森が静かだと教えてくれる。柳は緑、花は紅色、ありのままの姿が自然にはある。それをね、ランランと一緒に感じたかったの~。」
ディオさんが私の手を握ってくれる。
「湖で美味しいサンドイッチを食べるのも楽しみだけど、この時間を二人で共有したかったから来れてよかった~」
ディオさんが伝えたかったこと、ちゃんと分かったか不安だ。
でも、ディオさんと一緒にこうやって歩けて。
手をつないでもらえて。
私はとても嬉しい、と思う。
繋いだ手にぎゅっと力をいれると、ディオさんもぎゅっと握り返してくれてほわっとする。
歩きながらいろんな花をみたり、鳥の鳴き声を真似してみたり。
鳥にも種類がいて、いろんな鳴き声があって面白かった。
湖について、サンドイッチとミントティーを用意する。
「湖の風は涼しくていいね。」
ディオさんの言葉に目をとじて、風を感じてみる。
「たしかに涼しくて気持ちいですね」
「ふふっ、さすがランラン!もう風の違いがわかるようになったんだね」
そういって優しく頭を撫でてくれる。
「この湖はね、夜に来たら月が綺麗に映るんだよ~。今度は夜に来ようね。一緒に星をみよう。」
いまはまだ夜は寒いから、夏くらいがいいかな~とのんびり語るディオさん。
「・・・たのしみです。」
私にとって初めてのピクニック。
鳥も花も木も当たり前にそこにある。
誰のためにも誰の許可もなく、ただそこにある。
花をみて、鳥の声を聞いて、風を感じて。
私が作った不格好なサンドイッチも最高のご馳走だと思った。
自然を感じる話を書いてみたいなと思って挑戦してみました!
花鳥風月
鳥泣いて更に山静か
柳緑花紅真面目
どれも素敵な言葉で好きです♪