表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

償い

日記はここで終わっていた。

頁をめくると今度はひらがなで、最近のものだ。


「その時からずっと、このまぶたに焼きついた瞳と

この写真を持ち続けてきた。免罪符のように。

もうすぐ私は死ぬ。静江は一人娘を事故で亡くして


落ち込んで、離婚して、今一人で中国を旅してると

お母さんに聞いた。苦しい旅だったろう。何とか

立ち直って欲しい。静江が立ち直れたら、是非この


写真と首飾りを烏鎮の双橋から川の中に捨てて来て

くれまいか。心残りはそれだけだ。そしてこれが

私にできる唯一の償いなのだと思う」


階下で母の声がした。

「静江、ごはんよ!」

静江は笑みながらも思いつめた眼差しでテーブルに着く。


「で、なんて書いてあったの?」

「うん、とても一言では言えない。私又明日中国へ旅立

つからお父さんにそう言っといて」

「ええっ?」


「心配しないで、おじいちゃんの償いを果たして帰って

くるだけだから」

「おじいちゃんの償い?」


「うん、償い。そこから又私の新しい人生が始まるって

感じ。おじいちゃんに感謝してます」

「感謝?さっぱり分からないわ」


「それでいいの。とにかくいい事だから心配しないで」

「分かったわ、心配しない」

「オーケー。じゃあ、いただきます」


「元気が何より、いいことね」

「うん、とってもいいこと。フフフ」

静江は満足そうに笑った。


食事を終えると静江は荷をほどくまもなく

再び中国へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ