誓い
楽団の前に白のタキシード姿の孔明が二つの花束
を持って待ち受けていた。花束が一つ花嫁に渡され
孔明が手を取ってエスコートする。耳元で、
「よく来てくれたね、あとは全て僕に任せて」
静江は笑顔で大きくうなづく。
一段と拍手は高鳴る。
逢源双橋の二つの橋げたには赤い絨毯が敷かれ、
二人は別れて双橋をわたる。何度も顔を見合わせて
微笑む二人。橋の南詰めで二人が合流すると、
さっき描きあげられた大きな水彩画の前に出た。
絵には金の額縁がはめられ中央から赤いリボンが
かかっている。その裏側に一段高くなって仙人の
ような人が黒いタキシード姿で立っている。
楽団が止み、花束を脇の人が受け取って、
二人は神妙に絵画の前に進み出た。
「今ここに新たなる夫婦が誕生した。静江、あなたは
孔明を生涯の夫としてこれを認めますか?」
「はい、みとめます」
「孔明、あなたは静江を生涯の妻としてこれを認めますか?」
「はい、生涯の妻と認め誓います」
「ではここに二人の誓いの証としてこの絵にサインをして下さい」
二人は絵画の上にサインをする。
「さらなる証のためにこの指輪を交換して下さい」
二人は指輪を交換し合う。
「それでは、最後の証として誓いの接吻を」
ふたり、口づける。
「以上の証の上に二人を夫婦として承認いたしました」
一斉にフラッシュがたかれ楽団の演奏が始まり、
二人は双橋の一方に二人で手を組んで歩き始める。