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転生事件 ~女子高生が集団で異世界転生しました~  作者: りりちん
第三部 魔術師学校の転生者たちだよ!
39/49

第39話「池での実習」

 わたしたち転生者クラスの授業は進んでいた。

 他のクラスよりも、ね。

理由はもちろん、わたしたちがみんな、通常の、普通の、純粋なこの世界の人たちよりも魔術の才能があったからだ。

 なんでかは、誰にもわからない。けど、みんななぜか得意だった。


 仕方のないことだけど、他のクラスから━━特に一部の上級生からは良く思われていないみたいで、端的に言って、目をつけられてしまったらしい。

 そんなの嫉妬以外のなんでもないけど、だからこそどうしようもない。魔術師だって人間だから。多少は、そういうこともあるだろう。


 わたしは、極力気にしないようにって、クラスのみんなに言ってみた。みんな言われるまでもなく気にしないようにしてたけど、数人はやっぱり、怖がったり反発したりする人もいて。わたしは少しだけ、頭を悩ませる。


 時間が解決する、些細な問題だと考えて。


 そんな中、どこかで上級生に嫌なことを言われたって、クラスメイトのラコットちゃんが言ってきた。

 前髪ながめの、恥ずかしがり屋さん。見た目も中身も大人しい、気弱な女の子だ。


「わたし……みたいなやつが、魔術師になるの変だって、言われて。変なのかな……?」


「そんなわけないじゃない。ラコットちゃんはクラスでもトップファイブに入る才能があるんだから」もちろんトップはわたしなのだが、もちろんとか自分で思うことさえ恥ずかしい。「そんな子が向いてないなら、他のみんなも向いてないってことになる。ラコットちゃんはもっと自信もっていい。嫌な上級生に言われただけでしょ。そんなの、その人だけが言っていることなんだから、気にする必要ないよ。ラコットちゃんは絶対に立派な魔術師になれる。わたしが保証します」


「わたしも保証しちゃいまーす!」連帯保証人でーす、とリーリカちゃん。

 勝手に連帯してきた……。というか、いつもわたしのすぐそばにいる。くっついてる。


 リーリカちゃんの体温を感じながら、わたしはラコットちゃんを励ました。

 彼女は「うん、そうだね」と最後には納得した様子で、それから授業にも勢いがついた。

 積極的にわたしのところに訊きにくるようになったり、先生の話を前のめりで聞くようになった。


 本気を出した、みたいな。そんな印象。


 ながい前髪の隙間からのぞく目が、キラキラと輝いている。

 特にすごかったのは元から相性のよかった水の精霊の魔術だ。

 クラスで唯一(とは言っても、わたしを含まない)ミズレインの象徴とも言うべき水柱(みずばしら)の魔術に成功した時には、先生からも拍手があがった。

 今ではすっかりクラスのマスコットと化してしまったネロさんをなでなでしていた女の子たちもみんな、その時ばかりはなでなでするのをやめて、ラコットちゃんに拍手した。


 学園内にある大きな池での実習で、巨大な水柱を形成し、なおかつ滑らかに動かせたのはラコットちゃんだけだったのだ。


 ちなみにわたしも同じことができるし、自在に動かせたりするのだけど、この時はラコットちゃんを立てたくて、わざと小さな水柱を作って誤魔化した。


 水面をちょっと揺らすことしかできなかったケシンくんは「くそっ、くそっ」とずっと言っていた(こちらは、わたしがコツを教えてあげて、なんとかその日のうちに数センチだけ水を浮かせることができるようになった)。


「あいつはどうしようもねぇやつだぜ。ユフィ、気をつけなよ」と、パッカさんに言われた。

 パッカさんの声だけは、わたしにしか聞こえない。わたしは「そんなこと言わないの」と返しておいたけれど、パッカさんのアドバイスはしっかり聞いている。これがけっこう、役に立つのだ。


 ともあれ今は、ケシンくんも含めて男子たちとも仲よくやらなくちゃいけない。わたしだけじゃなくて、みんながそうならないとダメだ。


 三人しかいない男子は、どうしても肩身が狭くなりがちなので、わたしは意識して話しかけるようにしている。そうすることで、他の女の子たちともスムーズに会話ができるようになり、クラスの雰囲気もよくなると考えて。

 ユーリくんとケシンくんはまだいいけど、残る一人のオトルくんは引っ込み思案なタイプだから、なかなかに手強いかな。女の子と話すのが苦手みたいで、かといって男子同士でもそんなにおしゃべりしない。気にかけてあげないといけない一人だと思う。


 と、フラパちゃんが調子に乗って動かそうとした細ながい水柱がコントロールを失って、ヤンキー座りをしていたケシンくんに命中した。

 フラパちゃんも水の精霊との相性はよく、火の精霊の時とは違い、人よりうまくやれていた。けど、調子に乗っちゃダメだよ……。


「てっんめぇぇぇこのクソブスこのやろー!」ケシンくんが鬼の形相で吠える。

 しかし立ち上がりこそしたものの、さすがに手を出すといったことはなくて、とにかく大声を出してフラパちゃんを怒鳴りつけた。


「うっ、うわぁぁぁーっん」フラパちゃんはビビって泣きながら校舎に走って行ってしまう。


「フラパ・タカアシ、どこへ行くんだ! ケシン・ウヒロヤーダも大声を出すな!」


 先生も、これには困っただろうな。

 フラパちゃんとケシンくん、相性が悪そうだなぁ。この二人の組み合わせは、これからも問題を起こしそうな予感がするよ……。わたしが注意せねば。


 といった感じで授業はそのまま終わりになったんだけど、結局、フラパちゃんはその日はずっと落ち込んでいたのでした。

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