第27話「わかくておおきいよ」
もうバレてしまったから、わたしはママに前の世界のことと、前の世界のお名前がユキだったよってことも、おしえたよ。
でも、ママはそんなに信じなかった。
よくわかんないって言った。
「でも、嘘ついてないのよね、この子」
ママはわたしが嘘っぱちを嘘っぱってるのかぱってないのかがわかる。ママだから。たまーにできごころでぱると、怒られる。嘘はダメだよーって。嘘ばっかりぱってると、クロチャガンになっちゃうよーって、おどされる。
クロチャガンはね、えっとね、たしかすごく昔の悪魔でね、嘘ばっかり言うやつだから心と身体が黒くなって、地獄から出られなくなった元人間の……なんとかって、悪いやつなの。
そんなものにはなりたくないから、わたしは嘘はぱらないよ。ほんとのことしか言わない。
「ほんとだよ」わたしはネンをおした。百ネンなのかな、千ネンなのかな。どっちおしたかわかんないけど、おした。百ネンだったらよだれベロベロアメしか買えないけど、千ネンだとママが集めてるガラスの置き物とか買える。
「まあ、疑うわけじゃないんだけど……さすがのママもすぐには飲み込めないわ。異世界とか、ユフィの前世がユキで、もっと成長してたなんて、想像もできない」ユフィはユフィだし。ってママが言う。
まあ、わたしはわたしだがね。
ユフィはユフィだけど元々ユキだけどユキはユキだからユフィとはちがう。
いみわかんねー。
ネバンゼリヨンにふらいんぐにーあたっくするー!
「わー!」
「おわっ、コラ! 飛びヒザは危ないからやめなって言ったでしょ、もー。まったく誰に似━━ダンナはやらねーからわたしだなちくしょう。そういえば子供のころに誰か大人の男性を飛びヒザで沈めた記憶が……あれは誰だったかな。ジョイスおじさんか、グディリュス先生だっけな?」
なんかママが考えごとはじめた。たまに急に考えごとはじめるママだなぁ。
「こんにちわー!」
誰かきたよ。この声はあまり聞かないやつだけど、前に聞いたことのある若い女の声だ。誰だっけなー。
ママが扉開けて、若い女はいってきた。
「ほやや~、ユフィお嬢様おひさしぶりですぅ~、イリスですよ、覚えてますかぁ?」
イリスだった。
ほやほや言うやつ。ほややーって、すぐ言う。あとおっぱいがきょだいすぎる。あれで、つぶせる。わたしと、ママを。家もこわせる。
「イリス今日非番だから来るって、ユフィに言うの忘れてたね」
「これお土産です、お嬢様とフィレーナさんで召し上がってくださいね!」
「ありがと」
ママもイリスもパパのこと忘れてない?
いいけどね。パパだから。
「まあ座ってよ、お茶はモナムールでいい?」
「はい、大丈夫です」
うわぁ。イリスもモナムール飲むやつだった。お肌にいいとか悪いとか言ってママがよく飲むお茶なんだけど、わたしは飲めない。飲んだけど飲めなかった。
なんか、紙みたいな味したから。ちょっと変な味がする、匂いする紙。匂い紙味。すごいまずい。
あんなの飲めるなんて、イリスもいがいに若くないのかな。おっぱいがきょだいなだけなのかなー。
イリスがイスに座ったらおっぱいがテーブルにのっかってミシってなった。
こわれるよ。
「だいじょうぶ、壊れないですよぉ」イリスがわたしのほう見ておやゆび立てた。
「あびげーるの頭よりおっきいね」
「ガーン! 確かに……わたしのお胸、アビゲイルさんの頭より大きいです……ユフィお嬢様、どうかこのことは二人だけの秘密にしていただけませんかぁ?」
「いやいや、聞こえとるし、イリスの胸がフィリエールの女神像よりでっかいのは、みんなもう知ってるから」
「そこまで大きくはありませんよー!」
「で、なんか相談ってことだったけど、仕事でも嫌になったとか?」
「いえいえ、お仕事は受付の超楽勝業務だしチョロすぎるわりにお給料もいいからまったく問題ないんですけど━━」
「…………」
「実はですね、最近気になる男性がいまして━━だけどわたしって、男性とお付き合いした経験もなくていったいどうしたらいいのか……」
「なんだ、恋愛相談か」
なんだ、恋愛相談か。つまんねーの。
わたしはまったくきょーみないから、一緒にお話を聞く必要はありませんね。
あちらのほうで、お絵かきをたしなむといたしましょう。
きょうのおしごとは、イリスのきょだいなやつを描くしごとができた。わかくて、おおきい女を描く。
さて、しごとだ、しごとだ。
いそがしいぞー。




