第25話「こわいよー!」
ママがお昼寝の時間だから、暇だなー。
もうネバンゼリヨン転がしもいっぱいやったしー、お絵かきももういーしー、つまんなーい。
ミレーニアこないかなー。
アシェッタお姉ちゃんたちはがっこうだし。
でも、わたしもつぎの年になったら、がっこういけるんだよ。ママが言ってた。
たのしみだー。
ミリナちゃんもたのしみだーって言ってた。
お外いこーっと。
ミリナちゃんのおうちにいけるかなー。
でも、ママにひとりで行ったらだめだよーって言われてたっけか。
言われてなかったかも。
じゃあいく。いけるから。もうわかった。うちの前の道を、あっちにぐーっていく。そうするとある。もうわかってる。
いってきまーす!
おうちから左にいって、石の壁から出てる草をぱんちしてゆらす。この草はいっつも出てくる。たまになくなってるけど、すぐ出てくる。
セントラルな地区にいったら、ざわざわしてた。みんな、なにか探してるのかな。宝さがしかもしれない。わたしもやるー。
細い道はあんまりいったことないから、そっちにいく。
『あぶないよ』
わあっ!
べっくりしたー!
急に、ひさしぶりに、頭のなかに声がしたから。そういえば、できるやつだった。
ミリナちゃんも声でしゃべるから、頭のなかのやつはやってなかった。
誰かなって思ったら、細い道のまんなかに黒猫さんがおりました。
「ニャー」
頭のなかじゃないと、なんてゆってるのかわかんないね。
「あっ、ネロさんだ!」
ネロさんです!
何年ぶりだろー。
ベイビーズのころに会っていらいだから、えっとー、十年ぶりくらいかなー。
ネロさん、ちゃんといたんだね。
でも、おっきくなってなかった。
けっこう、ちいちゃい。前に見たときとおんなじ気がする。
「ネロさん、どこにいたの?」
「ニャー」
あ、いみわかんねー。
頭のなかでやるやつしないと。
『ネロさん、こんにちは』
『ユフィちゃん、こんにちは。こっちはあぶないよ』
『どうして?』
『ちかくに魔物がいるんだよ』
『なんでー?』
『かくれて、町にはいってきたから』
えー、すごーい。なんでわかるんだろう。
でも、魔物はみんなでやっつけるから、だいじょーぶだってママいってたよ。
それに、パパのところの人たちが、やっつけるんだってきいたもん。だから、町のなかはだいじょーび!
『ユフィちゃん、あっちにいこう』
『なんでー?』
『ちかくに━━』
きゅうに、わたしのまえのほうに、ぐわーんって黒いやつがじめんからでてきた!
なんかわかんない。こわい。黒い、こわいやつがでた。
やだー。やだー。やだよー。
『ユフィちゃん、とまってて』
ネロさんがわたしと黒くてこわいやつのあいだにはいって、シャーッてゆった。ネロさんもこわいけど、黒いやつのほうがこわい。
とがってるところ、いっぱいある。
いやだー。いやだよー。
うええええーん!
『光の壁っ!』
うぐっ、びええっ、ネロさん、やっつけた?
ピカーってなって、ぐっすんっ、およよんっ、ネロさんっ、黒いやつ、たおしたの?
ネロさんいない。
黒いやつもいなくなってる。
「うわあああーん! びええええーん! ずびびばびぶえええあーん!」
「ユフィっ! どうしたのっ、怪我は━━ない? どうしてこんなところに一人で……いえ、とりあえずそれはいいわ。怪我がなくてよかった、本当に……」
「フィレーナ! ユフィは無事かっ⁉」
「ええ、大丈夫そう。それより魔物は?」
「追っている。どうやら一体だけのようだ。すぐにカタはつくだろう」
「ぶええええー! びえええおーん! ママママママーっ! あああーっ!」
「よしよし、もう大丈夫よ。本当に……本当によかったわ、ユフィになにもなくて!」
うわーん!
びええーん!
ばよえええーん!




