第22話「道場だよ」
ママは西地区の集会所を借りて、けんじゅつ道場をやっておこづかいかせぎをしてるの。
わたしが五歳になったから、はじめたんだって。
水明の日と大地の日の夜に、一時間だけやってるの。
「あきゃきゃ!」もう十歳にもなるベローンくんがおふざけして、ママにこらーって怒られました。
道場だから、ふざけると怒られるんです。
わたしもママに怒られるのはいやだから、道場にきたときは静かにしています。
「はーい、それじゃ構えー。素振りをするわよー。はい、いっち、にっ、さんっ━━」
わたしも軽くてちいちゃい木の剣をもって、ママのマネしていちにーさんしー。
ミリナちゃんはすぐ疲れちゃうから、さんしーごーくらいで、やめました。
「ユフィちゃん、わたし疲れたー」
「じゃあ、休もう」わたしもミリナちゃんといっしょにやめて、お座りしました。
ママはおふざけは怒るけど、お休みは怒らない。こどもたちに無理をさせないから、むしろお休みさせるのです。
「ミリナちゃんだいじょぶー? 今日はもうやめとく?」
ママが心配して、ミリナちゃんにたずねます。
でもミリナちゃんはすぐ疲れるくせに、ちょっと見栄っぱりなやつなので「もうちょっとやる」と立ち上がりました。
じゃあわたしもやるー。
「いっち、にー、さ━━あっ!」
わたしの手のあくりょくはすくないから、すぽーんて剣が飛んでっちゃった。
アビゲイルおじさんのお股に。
「ごっぼぉーっふ!」
ごっぼーふって言ってお股を押さえたアビゲイルおじさんはごろんってねっころがりました。
口から泡がでている。
ブキミだ。
「ちょっ、だいじょぶかアビゲイル?」
「だ、だいじょうぶよ……お、オレの男が死にかけたが、なんとか……うぐぅ」
あーあ、せっかく見にきたのにー。
運がわるかったね。さいなんでした。
「あー、ユフィ。一応ね、ごめんなさいしとこうか?」
「うんっ、アビゲイルおじさん、ごめんね?」
「あ、ああ……だ、たいじょ、うう~ん、気にするな……オレはまだ男だ…………」
「おじさんしんだ?」
「いきてた」
わたしとミリナちゃんはおけいこをやめにして、ミリナちゃんのママのところにいってジュースをもらいました。
うまい。これは、すごくうまいやつだ。
ごくごく飲めますよ。
「おれぎゃ☆□△ろぱべちょ◇◎★▽もぎゃれしょー!」
っていう、わけわかんないこといってベローンくんがふっとんでいってみんなの荷物につっこんだから、こんどはベローンくんのママにも怒られてる。
歳上とはおもえん。
あのこどもは、ダメなこどもだ。おちつきがない。
わたしとミリナちゃんはおちついてるから、あんな、くるったようにはならないよ。
ベローンくんはやばいね。
「ユフィちゃん、これしよー」
こどもむけカードゲームの、ばちこんすくーるじゅにあだ。
ばちこんすくーるの、こどもむけのやつ。
「くばるね」
ミリナちゃんがカードをくばりました。
いち、にい、さん、よん、ご、ろく……ごまいあります。
「じゃーんけーん、ぴょん!」あー、わたしのまけだー。やられたー。もう、だめだー。
「わたしさき。はい、青いやつ」
「わたし赤いやつ」
「赤いほうが強そうだから、ユフィちゃんが勝った」
「やったー!」
こどものなかでも、いちばんこどもだから、ルールはわからないよ。
絵が強そうなほうが、勝つる。
「じゃあ明日はユフィちゃんの家で遊ぶ?」
わたしが勝ったから、そうなるか。
勝ったほうが、強くなる。前の世界の言葉に、そーゆうのがあった……はず。
だから、明日はわたしの家で遊ぶことになったよ。なにして遊ぼうかなぁ。そうだ、みんなでかくれんぼしよう。
みんな?
あっ、わかった。
アシェッタお姉ちゃんとフェリコットちゃんも呼べばいいんだ。そうしたら、かくれんぼできる。
でも、アシェッタお姉ちゃんは学校かもしれない。
フェリコットちゃんも学校かもしれない。
まあいいや、いなかったら、ミリナちゃんとがんばってみよーっと。




