第20話「育ちました」
いろんなことを考えて、ミリナちゃんと会うたびピキーンして、おしゃべりして━━そんなベイビーズだったわたしも、ちょっとずつ、大人になっていくんです。
今のわたしはママミルクよりも、離乳食を食べることのほうが多くなりました。
でも、まだママミルクも飲みたい時があるから、ママミルクは週末の楽しみといったところですかね。
あのお店は、週末に行くことにしましょう。
ママのおっぱいのことなんですけど。
気の早いパパは、もうわたしのために"ちいくがんぐ"を買ったりしたんですけど、赤ちゃんおててでは、なかなかうまく扱えませんわね。
わたしにはまだ、早いのですことよ?
なーんて思いながら、バブバブハイハイの途中でちゃちゃっと超絶・らくしょーパズルを完成させてやったら、ママとパパが腰を抜かすほど驚いちゃいました。腰を抜かしたかどうかはさておき、パパがアホみたいにてんさいてんさーいって、何回もいうのでうるさキモかったです。
たった4ピースのどデカパズルなんて、ベイビーにすらよゆーなのよ?
わたしをなめないでいただきたいものですね。
とはいえ、よくよくお話を聞いてみると、どうやらわたしの年齢では、あまり完成させられないパズルだったみたいなの。
ちょっと、やりすぎちゃったかな。
テヘペロリン、ですね。
「やっぱりこの子はすごいよ、フィレーナ!」
「うん、しってる。わたしの娘だし、これくらい当然よ」
「そうだね……いや、ぼくの娘でもあるんだけど」
「え、そーだっけ?」
「そんなぁ~」
夫婦漫才は見ていてあきませんので、1日なんかい公演だって見てしまうんです。
出演者は毎回同じですけど、おうちなのでしょーがないんです。
お外に行けばヘッパーおばさんや、メイリンさんなんかの、その他のキャストもいますけど、なかなかママとパパとその他のキャストが共演する機会がないので、そこはもう少しがんばってほしいところですね。
みんながんばって、観客の要望にお応えいただきたいものです。
なんて、ちょっとした不満を抱えながら、午後のやさしい陽がさしこんだ窓の下に移動した時のことでした━━。
ぽわわぱぁ~って、へんな光の玉が見えたんです。
窓と同じ場所に、陽ざしにまぎれて、なんかがあります。
なんだかわかりません。光の玉です。
でも、わたしはそれに、どこか懐かしい気持ちを感じました。
それはたぶん、前の世界のママとパパみたいな、そんないんしょーです。
あれからめっきり見なくなった夢━━お花のトンネルにも行かなくなったわたしは、前の世界のママとパパに会うこともなくなっていたので、ちょっとお顔を忘れそうになっていたことに気づかされたのです。
そうです。絶対に忘れてはいけないことなので、忘れてはなりません。
それを、謎の光の玉が教えてくれたようでした。
ふっと、雲がかかった瞬間に、光の玉は消えてなくなりました。
なんだったんでしょう。
嫌なものではなかったので、なにか、天使さんみたいなやつだったのかなぁ。
天使さんは、なにして遊んでいるのかなぁ?
わたしはそれでは、パパが買ってきた巨大お座りリザードマンにんぎょうの股ぐらにでも突っ込むことにいたしましょう。
さいきん、わたしの中ではやっている遊びです。にんぎょうの股ぐらにブッコミをかけて、倒そうとする遊びなんですけど、デカすぎるにんぎょうは安定性グンバツで、わたしのベイビー力では、倒せませんのです。
いつか倒してやるんです。
意気込んだわたしは、ブレーキをしらない危険な暴走列車と化して、あるてぃめっとふぁいなるバブバブハイハイアタックをキメるため、加速をかいししました。
そうして加速した、わたしの赤ちゃん時代は過ぎ去って、あっという間に、大きくなります。
2歳、3歳と歳を重ねて━━わたしは成長していきました。
ママとパパの愛に守られて、なに不自由なく、幸せな時間の中で━━。




