第19話「ミリナちゃんです」
ミリナちゃんのおうちに近づいたときにはもう、わたしはピキーンしていたので、たぶんミリナちゃんもピキーンしていたと思います。
わたしがきたんだよってことが、もうわかっちゃったですね。
ママとミレーニアさんが、セラさんにごきげんようしてる間、わたしは奥の柔らかベッドにいたミリナちゃんとおめめが合っていました。
もうこの距離なら、お話できます。
わたしたちはピキーンな関係なので、言葉にたよらなくても、おしゃべりできるんです。でもまあしかし、赤ちゃん頭だから、あんまりちゃんとした会話ではなさそうですけどね。
これは、もっとおっきくならないことには、きっと解決しないんです。
わかっているんです。
『きたよ』わたしからミリナちゃんにお声をかけます。頭の中で。
『きたね』ミリナちゃんも言いました。
『好き』わたしはミリナちゃんに告りました。正直な気持ちです。
わたしはミリナちゃんが好きなんです。もちろん、お友達としてですよ?
『好き』ミリナちゃんもわたしに告りました。やっぱり、思った通りです。
ミリナちゃんも、わたしが好きなんでした。
これも、わかっていました。
だって、前の世界の時に、そうだったから。
『大きくなった?』
『まだだよ。まだ、小さいよ』
『はやく大きくなりたいね』
『なりたいね』
『大きくなったら遊ぼうね』
『遊ぼうね』
『みんなもいるかな?』
『みんなもいるかな?』
『探そうね』
『うん、探そうね』
わたしたちは、そんな約束をしました。
なんとなく、他のみんなもきているんじゃないかって、そんな気がするんです。それに、前にいちど、ピキーンしたことがあったので、あの馬車にもきっと、前の世界のお友達がいたんじゃないかなって、わたしはずっと考えているんです。
「へー。そりゃあ、セラさんのせいじゃないわ。まあ、気の毒だったとは思うけど、良かったんじゃないの。そのままズルズル行くよりかはさ」
なんて、ママたちはなんのお話をしているのかなぁ。なんとなく、ミリナちゃんのママの、お別れしたキモいパパのことのような気がするけど、ベイビーなわたしには、あまり関心のないお話ですね。ほっときましょう。
それよりもわたしとしては、ミリナちゃんがすぐ隣にいるってことが、なにより重要なことだから。ミリナちゃんがいるだけで、とても幸せわくわくなんです。
ミリナちゃんが、好きすぎるのでしょうね。
わたしも困ったものなんです。
そんなわたしに呆れちゃったのかな、ミリナちゃんのお声が聞こえないなーって思っていたら、いつの間にか眠ってしまったようでした。
そんなミリナちゃんは、寝顔も超絶ベリキャワちゃんなんです。
見ているだけで、幸せです。
ママもわたしを見ている時って、こんな気持ちなのかなぁ。
ちょっとそれが、わかったような気になりました。
しったかぶりぶり。おけつぷりぷり、です。
え? しりませんか?
ママがたまーによく言うやつなのよ。キモいパパがわかったようなことを言うと、イラついてそう言うの。それで、ママがお尻をぷりぷりするのが、とってもかわいいんです。
わたしが教えたっていうのは、ショナイでお願いいたしますのよ。




