第18話「待ちに待ちました」
ついに、ついにこの日がやってきました。
ミリナです。
ミリナちゃんのおうちに、行くことになったんです。
それってつまり、わたしとミリナちゃんが超絶仲がよろしいのですよってことを、ママがちゃんとわかってくれていたから。
それに、ママもミリナちゃんのママとは仲よくしたくって、ミリナちゃんのおうちに行こうって思っていたみたいなの。
「いいの、わたしもついてって?」
よそ行きの格好をした、オサレなミレーニアさんがママにききます。
「もちろん。セラさんには言ってあるし、同世代だからあんたも来てくれたほうが、盛り上がるだろうし」
「ま、そーゆうことなら」
オサレなカッコのミレーニアさんは、やっぱりはじめましてのおうちに行くから、そーゆうカッコなんですよね。
だってうちにくるときは、あんまりオサレなカッコではきませんですもの。
ね、ミレーニアさん?
「なんだろ……ユフィたんになんか言われた気がする」
「大方、あんたのその姿みて、いつもと違うじゃねーかって思ってるんじゃない?」
「マジ? ちょっと気合い入れすぎた?」
「でしょう。男に会いに行くわけでもなし、ちょっとズレてるわね、ミレーニア」
「マジか……着替えてこよっかなぁ……」
「ダメ。もう時間ないし、約束に遅れるなんて失礼、できないわよ。ほら、もう行くよ」
ママの抱っこひもにがっちりぴったりしたわたしは準備おっけーです。やさしい天使の履き心地オムツもそうちゃくしているから、見えないところもばっちしなんです。
えらいでしょ。
「あー、セラさんに変に思われたらどーしよ」ってミレーニアさんは心配して、わたしのおうちを出ました。
でもママに「早めにミレーニアという人間を理解してもらえるって考えたらいいじゃない」と、フォローっぽい、フォローじゃないことをいわれてしょんぼりちゃんになりましたとさ。
「あら、お友達同士でおでかけ? いいわねー、おばちゃんもあと二歳若かったら━━」
と、これはお隣のヘッパーおばさんいちりゅうのジョークなんですよ。
「二年前だったら一緒に来てたんですか、あははっ」ママはおもしろおかしかったんです。
ミレーニアさんはにが笑いだけど、ママはにがじゃない笑いなんです。だって、おもしろかったから。
「行ってきます。夕方には帰りますね」
「はいはい、夕方でも夜でも二年後でも、いつでも帰ってきな」
「あははっ、二年間もどこ行くの、わたしたち」
「あ、ユフィたんも笑ってる。フィレーナが笑ってるからかな」
「いや、意外と理解して笑ってるかもよ」
「あー、なんかそんなこと言ってたんだっけ、族長さん?」
「どこの部族の━━元魔術師協会の会長よ」
「そうそう。ユフィたん天才説。わたしも同意するわ。天才かどうかはさておき、ユフィたんのキラキラおめめって、なんか他の赤ちゃんとは違うよね。理知的っていうか、まあ、ぶっちゃけ超絶ベリキャワってことなんだけど」
「ありがとうミレーニア。やっぱりあなたが大好きよ。ダンナが死んだら、再婚しましょう」
「いいねー。いいのか? まあ、いいか。一緒にユフィたん育てようね。って、なんつー約束をしてしまったんだ、わたしは!」
なんだかミレーニアさんがえらくこんらんしとりますけど、でも、わたしもミレーニアさんに育てられるのは、やぶさかではありませんね。
そういわれると、嬉しいです。
ミリナちゃんのおうちは北地区にあるみたいなんです。
ちょくせつ北地区にいける道もあるみたいなんだけど、いったん中央区をけいゆするいきかたをえらんだみたい。
大通りの路上でしょーばいをしている、しょーばいおじさんが大声をだしています。
うるさいです。
「らっしゃい、らっしゃい、どろだんごー、あまくておいしいどろだんごー、あっ、そこゆく美人のおねーさんがた、今日のおやつにいかがですかー?」
「美人のおねーさんがたって、わたしたち?」
「こっち向いて言ってるじゃん。うしろに誰もいないし、そうなんじゃない」
「いやー、美人かぁ。まあしってるけど、こんな道の真ん中で、そんな堂々と言われると照れるよねぇ」と、ミレーニアさんはてれました。
「せっかくだから買っていこうか。セラさんへのお土産にもなるし」
「そうだね、なにしろ美人のおねーさんだからねぇ……え、わたしが買うの?」
ミレーニアさんが自分で自分を指差して、目を丸くしました。なんだかかわいい表情です。
ママの無言の圧力に負けて、ミレーニアさんはどろだんご屋さんからどろだんごを買っていました。
どろだんごは名前は食べられない感じだけど、ちゃんと食べられるやつだから大丈夫なんです。
おいしいあんこの玉なので、そーゆう名前なだけなんだって、聞いたことがあります。まあ、ママミルク派のわたしは、まだ食したことがありませんのですけどね。
お土産もゲットしたわたしたちは、約束の時間もせまってきたので、北地区にあるミリナちゃんのおうちへと急ぎました。




