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転生事件 ~女子高生が集団で異世界転生しました~  作者: りりちん
第一部 生まれたよっ!
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第17話「事件です」

 事件がおこりました。

 へんたいです!

 間違えました、たいへんです!


 へんたいさんが現れたわけではないのです。へんたいさんが現れても、そんなことでは事件にもならないからです。へんたいさんはよく現れるし、たぁーっくさんいらっしゃるので、めずらしくもなんともないんです。


 死肉屋さんの裏側のおうちのおじいさんもへんたいさんで、おブラをつけて西地区から東地区までお散歩してとっ捕まって連れ戻されるから、おもしろいの。


 でも、今はおじいさんの事件ではないのです。おじいさんのはおもしろ話なので、事件ではないのです。


 ママが大あわてで「そりゃたいへんだっ、こっち来そう?」って、大あわてで、わたしのお家に大あわてでぶっ込んできた大あわてのミレーニアさんにききました。


「いや、どうも東地区の入り口あたりで倒したみたいよ━━フィレーナの、元同僚のみなさんたちが」


「そう━━なら大丈夫そうね。でもなんで、こんな街中まで、しかも一体だけなんて……まあ、前線の包囲網も完全じゃないとはいえ、大魔術師すら監視している中を、そう簡単に抜け出せるものかしら?」


「わたしは専門じゃないからアレだけど、空飛んでたら、一匹くらい見逃したっておかしくないでしょ」わたしだったら見逃すなぁ、ってミレーニアさんは言ってました。


 どうやら町のちかくまで、魔物さんがきたみたいな話なんですね。だからママが大あわてしたんですよ。


「方角的に、こっち向かってたのよね━━ほんっと、勘弁してほしいわ。うちには大事なユフィがいるんだから、魔物になんて近づけたくないのに。なんでわざわざ向こうから来るかな」


「でも、万が一来たとしても、あんたがいるから大丈夫でしょ。なんだったら魔物のほうが危険なくらいなんだし」


「やめてよ━━確かにそれはそうだけど、近づけること自体が嫌なの。ユフィをいかなる悪いものにも、危険を孕むものにもほんの少しだって近づけたくないってだけ」


「まあ、わかるわ……ユフィたんマジ天使だから、そーゆうのからは離しておきたいよね~」


「たりめーよ。ああ、今日も激キャワ……」


 ママがわたしのお顔でうっとりします。わたし、すごいんです。ママを一撃で沈めるんです。


 ついでにミレーニアさんも沈めます。


「ほんと……キャワワ~……子供ほしい。ユフィたんちょうだい」


「さよならミレーニア」


「うそうそ、やだなぁ1割はジョーダンよ」


「じゃあ許す」


 そこへ、ドコンドコンとでっかいお手々系のでっかいノックがありました。この音の感じはきっとあの人だなって、わたしはわかるんです。

 だいたい音で、わかるんです。


「フィレーナ、いいか?」


 聞こえたお声は、やっぱり思った通りのものでした。

 ものごっついアビゲイルおじさんです。

 でっかい岩石みたいな人間です。


「ああ、いらっしゃい……なんか用?」


「うお……なんだかつれないな。まあいい、入るぞ」


 そう言って、おっきなアビゲイルおじさんはどうにかこうにか扉を抜けると、うちの中にしんにゅうしました。


「あ、ども~」ミレーニアさんがぺこりんちょします。あんまり仲よくない感じです。


「ああ、これはこれは━━確かエロ……エロリーヌ……さんでしたか?」


「エロリーヌはお前だ進撃の岩石」


「あ、ミレーニアっす」ミレーニアさんはにがにが笑いでお名前をいいました。


 進撃の岩石はあやまりました。お名前をまちがえてごめんなさいって。でもミレーニアさんは許したけどママは許しません。


「水でいい? いいよね。はい、水」ちょっと怒って、ただのすいどーすいをあげました。

 アビゲイルおじさんは冷や汗たらりで、ただのすいどーすいをお飲みになり「うん、うまい!」とわざとらしくわざとおっきなお声でいいました。


 なんだか残念な感じです。


「で、なんの用?」ママはまだ不機嫌な感じのままでききました。


「あ、ああ……それがな、ついさっきなんだが東地区の上空に魔物が━━」


「あ、それもうミレーニアに聞いたから」


「すんません……わたし、それ話しにきたんで」


「あっ……そうでしたか」ちょっとバツが悪そうなアビゲイルおじさんですけど、お話をやめませんでした。


「魔物は一体。飛行タイプの中型だ━━が、前線の監視はそれを確認できていない。おそらくどこか、目の行き届かない死角からでも飛んできたんだろうが、そんなルートがあると発覚した以上、たいへんなことになる。最悪パニックが起きても━━」


「それは心配ないんじゃないかな」って、ママは冷静です。ママはいつだって冷静だけど、そのはずだけど、わたしのことだけはすぐに大あわてします。ぜんぶ、わたしのせいです。ごめんねママ。


「たとえ死角があったのだとしても、抜け出せたのはただの一匹……つまり、大事になるような大群が押し寄せることにはならない。それこそ、前線の魔術師が見逃すとは思えない」


「確かにな、それはある。だが魔物が街まできたことは事実だ。民衆に不安は広がるだろう。魔術師協会の威信にも関わる」


「関わんないって。みんなもっと平和ボケしてるわよ━━わたしも含めて、ね」


「お前は……まあ、ここにはお前もいるからな。その点では安心といえば安心だ。剣の腕は鈍っていないだろうな?」


「いやいや、鈍ってないわけないじゃない。現役のころとは違うわよ。でもまあ、ユフィを守る力はある、とだけ言っておきます」


「それで充分だ」


「あの~、ユフィたんのついででいいんで、わたしも守ってくれる?」


「おっけ~、それくらいなら任せなさい」


「よっしゃ!」


 ミレーニアさんは嬉しそうにこぶしを上げました。よかったね、ミレーニアさん。

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