第11話「もう会えました」
ママが<ミラーワールド>というガラス会社の、あたらしく発売したウルフの置物がほしーって言ったので、今日はみんなで中央地区におでかけなのです。
中央地区はわたしたちのお家がある西地区よりお店がいっぱい、いーっぱいあるところです。
メイリンさんのお肉屋さんよりもっとでっかくて、もっとたくさんの死肉をあつかってるお店なんかもあるんですよ。
あと、人がいっぱいいます。みんななにかに引き寄せられるように、ここに集まってきちゃうんだね。
パパはおでかけ用のクソダサいオサレなカッコをしております。ママとわたしとおでかけする時のてーばんですね。
「お昼はあの店にしようか?」そんなパパがおいしそーな湯気のでているおいしそーなお名前のおいしそーな店を見て、言いました。
ママは「うん、いいよー」とだけ言って、とにかくガラス屋さんに行きたくてしかたない感じです。ずっと抱っこされているわたしは、ママの気持ちがわかるのです。あと、パパの考えもおみとーしなのです。
パパはお肉が好きすぎるので、たぶんあのお店はお肉が食べられるところです。
わたしはまだお肉が食べられませんので、きょーみはナッシングなのですが、それでも行かなくちゃいけません。めんどーです。
ママとわたしが<ミラーワールド>にぶっこみをかけると、お店のお姉さんが「いらっしゃいませ、ごきげんよう」とごあいさつしてくれます。ここはコージョーとはべつのところに建てられている、置物とかをはんばいするための場所なのです。ママがそう言ってました。
そのお姉さんにママが「新作ウルフはどちらかしら?」とたずねたら、お姉さんは「あちらです━━が、たいへん人気の商品で、あと残りひとつしかございません」とおっしゃった。
「うわ、マジで? そんな人気あったかー、この時間でギリって、すげーなぁ」
なにはともあれ、ママはほしかったウルフの置物が買えたので、とてもうれしそうです。お店からでると、外で待っていたパパににっこり笑って「買えた買えた」とほうこくしました。
そして事件は、帰りによったお肉を食べるお店のなかでおこったのです!
な、なんとまあ!
お店に入るまえに、近くまで行ったところでわたしの頭がピキーンとして、そこに前の世界のお友だちがいることがわかったのです。
そしてお店に入ってパパが選んだお席にわたしとママも座ったら、そのお隣のお席にいた女の人が抱っこしていた赤ちゃんが「ぶいぶい、だーうあ!」と言って、わたしになんかをしゃべってきたんです!
わたしがわたしだって、その赤ちゃんはわかっていると思います。たぶん、わたしがくることをピキーンと感じていたのでしょう。わたしだけがピキーンするわけじゃなくて、前の世界のお友だちもわたしにピキーンするのです。きっとそうです。
「あぶぅ、あーうあう!」
「あんあうあ、うびぃばびぃ!」
「ばぁぶぅま、べぇう!」
「あびー、きゃーす!」
わたしもあなたも、なんてしゃべっているのかさっぱりでしたので、わたしは試しに猫のネロさんや緑色の妖精のパッカさんとお話するときみたいに、頭のなかでお話しようと思いました。