目覚め - 4
ぐ、ぉおお……。
漸く身体の変化が収まってきた。瞼を開くと日の光が目に映る。視界は比較的にクリアで素の人間の視力の良さが伺える。遺伝子から得た情報は多い方がやはり顕著に外面へと出たのか、髪の色はセシルよりだと思われる。
「ぉ、おお……。これはまたなんというか、すごいな……。」
「あめーじんぐ。」
「グ、ガっ。ぁー、あー……。
……私は、今どのような状態だ?」
出来たばかり声帯がもどかしい。というよりも、発声し慣れていないせいでどうも彼女たちが出している声と比べてガサガサとしていて自分自身聞き取り辛く思う。
「セシルっぽい。でもちょっと違う。」
「確かに。こう、鏡でみた自分というには少し違和感ある感じ?あ、目元なんかはライラに似てるかも。」
どうやら無事変身は済んだようだ。
自分の足で立つという慣れないことをしているせいか、震えてまともに立てず机に寄りかかる。しかし腕力も少々心許ないのか次第に態勢が崩れてくるとライラとやらが私を支え椅子に座らせた。
「セシル。予備の服、ある?」
「あ、あぁ。そこのケースにいくつか。」
「私の服も部屋からいくつか持ってきて。そこから見繕う。」
「わ、わかった!」
セシルが大きく頷きドタバタと部屋を後にした。
「元気が、良いのだな…。」
「あぁいうところが、かわいい…。
身体の調子は…?」
手を開いたり閉じたり、全身の筋肉の動きを確かめつつ自身の骨格や身体の調子を確かめていく。
「悪くない。慣れてきたところだ。」
「そう…。」
初めての変身だったので身体が所々まだ痛むが、じきに慣れるだろう。私はすっと立ち上がると身体を動かし可動範囲を確かめていく。
「よく動く。」
「そう、だな…。」
筋肉や骨格から考えられる動きは全て試したところ、ほぼ理想的なものに近かった。ベースとなったセシルはよほど身体が柔軟性に富んでいるのだろう。
その後もライラが見守る中、私は身体を動かしているとバタンっと大きくドアが開きセシルが沢山の服を抱え戻ってきた。
「持ってきたぞ、って気持ち悪!?
ぇ、どういう状況!?」




