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目覚め - 2

次に目を覚まし最初に目に入った光景は、木目の見える知らない天井だった。


しばらくぼうっと眺めていると、ようやく私は気を失う前のことを思い出し長くもない手足をばたつかせた。


生きてる。


不思議な感覚だった。もはやあの時の私に残された未来は死しかないと思っていた。しかしこうやってはっきりと私はその生を感じていた。


致命傷のはずだった。どうにかして頭を動かし身体を見ると、どうやら繊維物に身体を包まれているようだった。地面のような硬いものよりはマシだが、私の身体は柔肌が露出しているせいで敏感であり、繊維物も少々ごわついているせいでチクチクしたものを感じる。触覚、そして視覚と異常がないものを確かめ、私は改めて周りを見渡すことにした。


木造の、お世辞にも綺麗とは言いづらい狭い部屋だった。気を失う前に見たあの原住民が運んでくれたのだろうか?ならばあの二人はどこに?


すると台の上に横たわる二つの人影を見つけた。恐らくはあの時の二人なのだろう。周りを見るにどうやら研究機関のような場所でもないとみた。もしこれが私を解剖するために用意した部屋だと言うのなら、あまりにも原始的で知性の乏しい文明だと思われる。


とにかく、あの二人を起こし礼を述べ、情報を引き出した後に今後のことを検討するとしよう。



〈起きてくれ。すまない、二人とも起きてくれないか?〉


念話。それは私たちが備える第六感のうちの一つの能力。それを二人に飛ばし、目が醒めるまで徐々に声を大きくしていく。


〈〈〈起きてくれ〉〉〉


「ふがっ!?」

「ぅぐ…っ。」


音量がほぼMAXにまで近づいてくるとようやく二人も目が覚めたのか、上半身を起こし辺りをキョロキョロと見渡し始めた。


「な、なに?なんか変な声が頭に響いてきたんだけど……。」


「あ、頭いたい……。」


〈おはよう。助けてもらったにもかかわらず手荒く起こしてしまったことを詫びよう。すまなかった。しかし私にとっては現状確認は必須であり、避けられない行為だった。許して欲しい。〉


私が念話によって声をかけると二人は驚いたように惚けるとその後顔を見合わせ、そして腹の底から叫んだ。


「しゃ、しゃべったぁああああああ!?」


「こ、これはびっくり……。」


〈正確にはこれは念話であり、君たちの頭に直接私の意思を送り込んでいる。私の種族はすでに声帯が退化し、声を出して話すことは難しい。そもそも言語の違いによって会話もままならなかったことだろう。〉


「は、はぁ…。」


〈まずは簡単な自己紹介と、現状確認をしたい。いいだろうか?〉


「わかった。」


そして互いに自己紹介と、あの時どうなっていたのか。さらに私が何者なのかを説明した。


「へぇ、その、宇宙人?ていうやつを始めてみたよ。この空の向こうにまた別の世界かぁ。すごいなぁ。」


「大変に興味深い。調べてみる価値はある。」


「種族名はメタモル人ていうんだっけ?どういう種族なの?」


〈その前に一ついいだろうか?私は種族的に生命維持装置、つまりあの残骸の中にもあったはずだが卵型の機械の外へと出ると免疫機能がほぼないために長く生きることが出来ない。今現在も徐々にだが苦しくなってきている。故に私の種族を説明するためにも、一つ協力して欲しいことがある。〉



本来私たちは機械の外に出ることはない。


しかし何かしら例外が起こった時、また今回のような時はその機械から出て活動しなければならない場合がある。メタモル人である我々は不完全な存在故に、様々な姿形をとることが可能であるのだ。


勿論、他の姿を真似するにあたって条件がある。


それは



〈君たちのDNAを私に提供してくれないか?〉

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