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紡ぐ物語 -FUTURE-  作者: 稀世
01:出会いと別れ
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3-2




「ねぇ 何で二人とも手なんか繋いでんの?」

「「え?」」


僕が目を覚まして三日後、あの夜草原に迷い込んだ村の子供、リュク、キリヒ、スハトが、ちょくちょく遊びに来ていた。

そしてキリヒが始終、手を繋いでいる僕らに疑問を覚えていたのか、村に戻る前に尋ねてきたのであった。


「あー・・・」

「ん・・・、罰ゲーム?」


お互いしばしば見つめ合い、出した答えが罰ゲーム。「なんで?」と再びキリヒが訪ねるものの「早く帰らないと魔物が出るよ」クレアの言葉とタイミングよく何かの遠吠えが聞こえてきた。


「うわっっ!!早く帰るぞ!!」

「う、うん!!キリヒ、早く帰らないとまた怒られる!!」

「え、あ、待ってよ!!」


先ほどの質問なども意にも止めずに3人は急いで村へと帰るために森へと入っていった。


「はぁ・・・疲れた・・・」

「おぶる?」


3人の姿が見えなくなった事を確認し、そのままアルスへと軽くもたれてみるも、当の本人は気にすることなく、「歩ける?」と尋ねてきたので首を縦に振れば、アルスは歩き出すも、その歩幅は今の僕に合わすようにゆっくりめであった。




+*+*+*+*+*




「うわぁ・・・思ったより時間かかった・・・」

「リュクが寄り道するからよ!!」

「お、怒られたくない・・・」


森の道をひたすら歩く3人は、全壊無断外泊をした後、ケイルの道案内のもと、村の近場まで届けてもらった後に村の大人達にこっぴどく怒られてしまったけれども草原に行ったことは三人だけの秘密にと村の人達には何も言っていなかった。

その為、その後に何回も草原に行っているけれども村の人達には知られていなかった。


「あ!!村が見えてきた!!」


スハトの足は家に早く帰りたい一身でゆっくりだった足取りは早くなりスハトの先を行っていたリュクとキリヒを抜かし早歩きで村へと歩く。


「もぉ!!スハトは子供なんだから」

「そう言うお前も子供なんだがな」

「リュク!!」

「いてぇっ!!」


キリヒの言葉にニヤニヤとツッコミを入れればリュクの膝目掛けてキリヒの蹴りが綺麗にヒットし、リュクはそのまま転んでしまった。「リュクだっさ」と冷ややかな視線をリュクに向け、キリヒはリュクを置いてそのまま先に進んだ。


「クソッ・・・気の強い女だなぁ・・・」


服に付いた土を払い落としながら二人の後を追いかける。


だけれども村の入り口と村の広場丁度一本道の道の真ん中で二人は止まっていた。


「どうしたお前・・・っっ!!」


止まっている二人の視線の先に目を向けたリュクは驚愕した。

広場には多くもないけれどもここの村の人達がいるのではないかと思うほどの人が集まり、村人を監視するようにその周りには数人の騎士達が囲んでいた。


「お、お父さん!!お母さん!!」

「っっママ!!パパ!!」

「ッ!?お前等!!」


自身の親に出兵命令が出ている為にもしかして自身の親を連れて行くために騎士たちが来ているのではと思った二人はリュクの静止など聞かずに広場へと駆け出す。

二人をそのままにしておくのは歳のせいか、普段から大人達から言われていたせいか放ってはおけずにリュクもまた二人を追いかける。





「ママ!!パパ!!」

「父さん!!母さん!!」


広場にいた者達は声が聞こえた方に一斉に視線が動く。


「キリヒ!!」

「キリヒちゃん!!」

「ママなんで!?戦場に行っちゃうの!!」


先に広場の集団から出てきたのはキリヒの母親であった。次に動いたのはスハトの両親。最後にリュクの両親が駆け寄った。


「おい!!そこ何している!!」

「っすいません!!」


子供達の登場に村の人達がざわめいた事に先頭にいた騎士達が声を荒げ叫ぶ。それに対し村人は背を震わせ子供達に「少しの間、静かにしていて」と声を上げ騎士達の視界に入らないように父親が前に後ろに母親で子供を隠すように立つ。


「フンッ、これだから貧乏人は・・・だがまぁいい、こんな貧乏人でも国王の為に働けるのだ光栄に思え」


この騎士達のリーダーと思われる、一際はでな甲冑を身につけている人は村人を見下した視線を向けたまま、


「喜べ!!この村の奴ら全員が出兵命令だ」


リーダーの声に村の者は悲鳴をあげそうになった。なぜなら先ほど発せられた言葉は自分達への死刑宣告なのだから。

ある者は声を殺し泣き始め、ある者は叫びだしたい気持ちを必死に押し殺すものが様々。その様子が歓喜だと思ったリーダーは「そうかそうか。この国の為に死ねるのだ最高の贅沢だろう」とニヤニヤしながら言った。


「さぁ!!今戦場は人手不足だ。さっさと戦場に向かうぞ」


「この村の外れに馬車を用意している。村人全員それに乗れ」とリーダー格の号令に村人はとうとう悲鳴をあげる者が出始めた。その者達は他の騎士達に叱られたり蹴られたりする者もいた。

だけれども、その村の集団の中、リーダーの近くにいた女性は悲鳴のような声を上げる。


「わ、私達を連れて行くなら草原にする魔女も連れて行きなさいよ!!」

「魔女?」


女性の言葉に子供達は思わず叫ぶ。


「あの草原にいるのは普通の女性だ!!」

「何が魔女よ!!ちょっと綺麗な家族が暮らしているだけじゃない!!」

「そ、そうだよ」


親の間から叫ぶ子供達に親は「馬鹿お前!!」や「草原に行っていたのか!?」と怒声が漏れるものの子供達の叫びにその女性は怒鳴る。


「ガキは知らないのよ!!あそこの女はもう三十年あそこに暮らしてるけど一切見た目が変ってないのよ!!」


女性の言葉を皮切りに「それに私達以上に力が強い」や「あぁ、あの女一人で魔物を群れを倒していた」などと声が上がる。


「フンッ、面白いな」


リーダーは村人の話を聞き、周りにいた集団に「村の外れにいる奴らと合流して、そいつを連れて来い」と騎士達に命を下せば、周りにいた騎士達は3名だけ残り4名が村の外れにいる騎士達と合流するために動き出した。




*+*+*+*+*





「2人はもう寝ちゃったのかしら」

「あぁ、昼間は久しぶりに外で遊んだみたいだしな」


子供達は早めの食事を終わらせ辺りが薄暗くなり始めた頃にはもうすでに床に付きリビングにはケイルとマーレのみが雑談を始めていた。


「だが、今のままを続けるのもいつかは限界が来る」


「早く一次成長を終わらせないと」と呟いたマーレの言葉にケイルも頷く。だけれども二人の表情には依然見たほどの絶望はなくまだ希望はあると信じている表情だった。


「えぇ・・・そうね。中心都市に行けば何かしらの手がかりがあるかもしれないわ」

「そうだな。そう言う情報を明日から探ってこよう」

「お願いします」


空になっているマーレのグラスにケイルは瓶に入っている果実酒をグラスに注ぐ。

果実酒は山の中に住むビーというミツバチに似ているもののその大きさはミツバチの二倍。その為、致死毒ではないもののその尻にある針には麻痺毒が仕組まれている為に刺されば1時間程度だが麻痺し動けなくなる。動けなくなるのならばまだいいがビーは基本集団行動する魔物の為、集団で襲われればさすがに死んでしまう危険性があった。

けれどもビーの巣に溜め込まれている蜜は甘く、とろけるほどの美味しいのであった。それを水で三倍に薄めハーブなどを一緒に入れて一月ぐらい発酵させたものである。

その蜂蜜酒は中々の出来栄えにマーレにとってお気に入りであった。


「さて、そろそろ俺達も寝るとするか」

「はい」


マーレの言葉にケイルは机に置いてある空になった皿とグラスをキッチンへと運び洗い、マーレは蜂蜜酒や果物を片付け、2人は就寝するもそれから数刻、空がだんだんと白けだした時2人は血の気配で目を覚ます。


「父様!!」

「近づいてきている」


寝巻き姿で出てきたケイルに対しマーレは既に戦闘体制に入っていた。その両腕が持っている弓はそり形であり、青色をベースと金の細工を施された見事な弓であった。


「お前は子供達を」

「はい」


返事をし、まだ2階で寝ているクレアたちへと視線を向けすぐに気合を入れる。


『風の恩恵を受けし白き弓よ この手においで』


ケイルの詠唱に答えるように右耳に付けているピアスの石が光り出し、ケイルの前に弓が出現した。

マーレの弓とは違い、非対称形であり白をベースに銀の細工が施されていた。


「さぁ、迎え撃つぞ」

「分かっています」







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