1-2
「どうしましょうか・・・クレア?」
「僕に聞かれたって・・・」
あの後、ずっとあの場所にいるわけには行かないという事になり迷子の三人を連れて家に帰ったクレア達は今後の予定を考えていた。
この元凶たる3人はケイルが用意したスープを飲んでいた。皿の枚数がそんなに無かった為にスープは深皿ではなくコップで渡された為に3人は舌を火傷しないように慎重にスープを飲んでいた。
「明るくなって村の近くまで送りましょうか…」
ケイルは深刻に悩みながら導いた答えは妥当の答えであった。近くで戦争をしているせいで、血の匂いや死体の匂いに釣られて魔物が徘徊している事がたまにある。
その為に暗くなってしまった森を、歩くのは危険であり尚且つ、子供も一緒であるという事は襲われた時確実に命を落としてしまう。
「はぁ・・・」
「・・・ケイル?」
ケイルの表情は今だ暗く、まだ悩んでいるように見えた。けれども、ケイルはその内容を教えてくれる気は無いようで「ふふ、ちょっとご飯の支度してくるね」と迷子3人の分の夕飯を作る為にキッチンへと向かったケイルの後姿を見送った。
「それにしてもお前の姉ちゃん美人だな」
「はぁ?」
リュクの言葉に僕の口角は自然が引きつるのを感じた。
今こいつなんて言ったと、そう表情に出ていたけれどもどこか遠くを見ているリュクに知られてなかった。
「いやさぁー・・・村のはずれにこんな美人な人がいるなんて思って無くてさぁ・・・」
「やべぇ・・・付き合いたい・・・嫌、結婚したい!!」などとブツブツ呟くリュクにどうしたら言いのか分からずとりあえずそのままにしておく事にした。触らぬ神に何とやら・・・。
いずれ本人から何かしらの事実を知って失恋してしまえと心の中で叫びながら、キリヒとスハトに視線を向ける。
「リュクの事は気にしないで・・・」
「あぁ・・・そうするよ」
「私はキリヒ。キリヒ・イノセンよ。あっちの今だ妄想してるのがリュク」
「ぼ、僕はスハト・・・僕と同い年の男の子と仲良くなれて嬉しい・・・」
「あ、あぁ・・・僕はクレア・・・」
その先の言葉を続けようと思ったけれども言葉を濁した。
それに対してキリヒが「どうしたのよ」と不思議層に見つめてくるが、
「んん・・・僕はクレア、よろしく」
「うん、よろしくクレア!!」
「よ、よろしく」
自己紹介が終わり二人の話題が移った事に安堵を漏らす。
ケイルは基本、前世で言う放任教育に当てはまる。あまり怒らないし、好きな事をさせてくれているけれど、そんなケイルでも「絶対に秘密よ!!」と何度も何度も言い聞かせたことがあった。そのうちに翼を他人に見せたらいけないやファミリーネームを言ったらいけないが含まれていた。
その他にも、魔法を他人の前で使ってはいけない。首もとの痣を見せてはいけないがあった。もしバレテしまったらもうここでは生活できない。そんな事を悲しそうな表情で何度も言われればクレアも守らざるえなかった。
秘密の事に関して何度か尋ねたことがあったけれども種族と同じようにはぐらかされて終わりであり、理由は分かっていなかった。
「なぁなぁ」
「?」
「お前のねぇーちゃんって付き合ってる人とかいるのか?」
「はぁ?!」
リュクの唐突の質問にすっとんきょんな声を漏らす。
「いなかったらさぁー・・・その・・・俺が立候補しようかとな・・・」
その発言にキリヒは「あんな美人な人がリュクなんかに振り向く無いでしょ」ときつい事を言っていたけれども僕の頭では他の言葉をにまで反応するることができなかった。
「ざ・・・残念だけど・・・ケイルはもう結婚済みだよ」
「「はぁぁあああぁぁぁっっ!?」」
リビング中に響いた驚愕の声はキッチンにいたケイルにまで届き「あらあら、どうしたの?」とキッチンから顔を覗いてくるが「何でもない」と答えるも、本人は何を思ったのかケイルは微笑ましいものでも見るように「ふふふ、そう。あと少しでご飯のしたく出来るからね」とそう残しながらキッチンに戻っていった。
その時のケイルの嬉しそうな表情に首をかしげながらも三人へと視線を戻す。
「嫌々、お前のねーちゃん何歳だよ!?」
「32歳だ。それとケイルは僕の姉じゃなく母親だ」
「はぁぁぁ何だよ!?それしらねぇーよ!!」
「知らないのは当たり前だ。僕らは今日、今さっき知り合ったんだ」
「何だよ・・・旦那がもういるのかよ・・・」と天を仰ぐようにリュクは再びブツブツ言い始めた。
「じゃぁじゃぁ!!クレアのお父さん今どこにいるの!!」
「・・・死んだよ」
「死んじゃったんだ」
まだ幼いキリヒは自分が言った言葉で相手が傷付くということを知らない為に、「ならまだリュクにもチャンスはあるのね」と言葉を続ける。
それに対してどう答えたら良いのか分からず視線を彷徨わせながらも「どうだろう」と答えを返す。
「なんでよ!!だってもう旦那さんいないんでしょ?ならいけるじゃない」
「ケイルにだって好みがある」
「何よ!!リュクのどこがいけないのよ!!」
あぁ言えばこう言うキリヒに対し、次第にイラつき始め、言い争いがヒートアップし始める。だが、その言い争いは長くは続かづ、キッチンにいるケイルによって小さい争いは終了を迎えた。
「クレア、女の子に怒っちゃ駄目よ」
「・・・ケイル・・・」
パンがいくつも入っているカゴを持つケイルが「まだ、運ぶものがあるから手伝って頂戴」その言葉に、文句言いたげな表情をさせつつも1つ返事を返しキッチンへと向かう。
「ごめんなさいね、あの子も悪気はないのよ」
「え?!あ、はい・・・」
キリヒはケイルの毒の無い笑みに先ほどまでクレアに対しての怒りがみるみるのうちしょぼんで行く。
「あの子、同年代の子と遊んだ事がないからどう付き合ったら言いのか分からないのよ。だからあのこの子と嫌いにならないであげてね」
「いえ、キリヒも言いすぎでしたしあまり気にしないでください」
「リュク!?」
唐突のリュクの横槍にキリヒは「言いすぎたと思ってないし!!」とポカポカとリュクを殴るもののあまり痛くないようで気にしていなかった。
その光景にキリヒは嬉しそうに「それだったら嬉しいわ」と再びキッチンへと向かった。
「本当に美しい人だなぁ・・・」
「・・・そうね」
「うん、大人達は皆、草原に行っちゃいけいないって言われてたけど・・・」
「あぁ、あれだろう?魔女がいるからって・・・でもいたのは天使・・・」
3人の言葉に「何それ・・・」に自然と眉間に皺を寄せ言葉をこぼす。
「ん、あぁ、子供を怖がらせる為の迷信だよ迷信」
「そうそう、草原には魔女が住んでるって言うね」
「それで僕達、その迷信を確かめに来たんですけど・・・途中で道に迷って・・・」
「でも結局、草原にたどり着いたけれどね」
村に伝わる迷信はただたんに子供達を怖がらせる為に言ったものなのだろうかと思うけれども、生まれて5年、この草原内を探索し続けてきたけれども、リュク達が言う魔女に合った事もないし、自分達以外の人を見たことが無かった。
「クレアァ、サラダを運んでくれないかしら」
「あ」
まだ、運ぶ途中なのを思い出し、急いでキッチンへと戻っていく。
それからパン、ウサギの干し肉入りの野菜スープにサラダを皆分付くへに乗せれば、リュク達は涎をたらすのではないかと見間違うほど目をキラキラさせていた。
「こ、こんなに食べても良いのか!!」
「うわぁ・・・家のご飯より豪華・・・」
「す、凄いです」
3人の絶賛する言葉に「村でもこれぐらい出るだろう?」と首をかしげながら言えば「はぁ!?俺達の晩御飯なんかパン一個に少量の野菜のスープだぞ」とリュクがウガーと叫びだした。
「まぁ・・・私が狩りをするのが得意なのよ」
「まじっすか!!」
ケイルの発言に「俺この家の子になりたい」発言をするリュクに呆れのため息をこぼせば、ケイルはクスクスと笑い「さぁ、冷めないうちに食べましょう」と言う。
「うめぇー!!味がある料理とか久しぶりに食った!!」
「な、中々じゃない・・・」
「うぅっ・・・おいしいです」
3人の感想で普段村の人達の食事が露見し始める。
「ねぇ、三人とも」
「はい!!なんでしょうか」
「村の人達は元気?」
「元気って言うか・・・その・・・」
リュクはキリヒやスハトに視線を向けながら、リュクは言葉を続ける。
「村から魔法を使える奴とか、男達を主に出すように命令が出て・・・」
「私のお母さんとお父さんが村長から戦争に行けって」
「・・・僕の父さんもです」
あたりに漂う重苦しい空気。
「そう・・・村ではそんな事に・・・」
「大丈夫ですよ!!もうそろそろ俺達の国が勝つ!!なんせ我らの精鋭でもある円卓の騎士様が数名来てくれるってこの前村に来た兵士が行ってたんです!!」
「円卓の騎士様・・・?」
つぶやいた言葉に「何貴方知らないの?!」と驚愕の表情でキリヒが答えた。発言はキリヒだけだったけれどもリュクもスハトも驚愕の表情をさせていた。
「・・・知ってないとおかしいこと・・・なのか・・・?」
「当たり前でしょう!!この国、エンビディア国の国民は全員してるわよ!!」
「そうだよ、クレア」
「まぁ、いい教えてやろう円卓の騎士様たちを!!」
バンッと椅子から立ち胸を張るリュクに思わず「いいです」と言いそうになったのをこらえ「・・・お願いします」とグッと何かに耐えリュクの説明を聞く。
「円卓の騎士ってのは全員で12人の貴族からなってるんだ。貴族って言ってもそんなそこらの弱いくせに態度ばっかでかい貴族たちじゃなく、国民に優しく、一人で軍を壊滅できるほどの力を持ってんだぜ」
「カッコイーよな!!俺もいつか円卓の騎士様たちの兵になるのが夢なんだ」とリュクは自分がその為に魔法の練習をしているのを言う。
「ふん、教えてあげてるのは私のお母さんとお父さんだけどね」
「分かってる分かってる」
「三人とも普通に魔法が使えるのか?」
人族は魔力を持っているけれども、その魔力量は多くないもののエンビディア産の魔法道具を使うことでそれなりに魔法を扱えるものの、魔法道具が変えない貧しい村では魔法が使えないものが多く使えれるものは稀であった。
「僕は使えれないけど、キリヒとリュクは村内でも珍しい魔法が使えるんだ」
「まぁ、私の場合は精霊族とのハーフっていうおかげだけれどもね」
「精霊族・・・」
精霊族はこの国では珍しく、基本はパシオン国で生活している種族であり、魔族と対を成す種族の為、魔族並に魔力量が高い。
「そう、私のお母さんが精霊族でね、お父さんに一目惚れしてもうアタックして結婚したの!!」
「ロマンッチクよね!!私もこんな恋愛がした!!」とキリヒが頬染めながら言う発言に対し、スハトは何故か体をもじもじさせながら赤面していた。
この態度にクレアはなにやら思うことがあったようで、苦労するだろうなと思った。
そして、何故キリヒの両親が戦争に行かないといけない理由も難なく理解したクレアは何とも言いようのない気持ちになった。
その夜、キリヒはケイルと共に寝、リュクとスハトはケイルの父様の為に用意していた部屋のベッドで眠りに就いてる中、クレアだけはどうしても眠れなかった。
「・・・何だこれ」
少しずつ痛みだす痣にグッと堪えるもののその痛みは次第に熱を持ち痛みも強まる。
「何、本当に・・・クソッ・・・」
外の風に当たれば少しは落ち着くのではと思い、部屋の窓を開ける。窓から見える空は雲ひとつ無い綺麗な夜空。
普段なら、じっと眺めていたかったけれども今日はそうもいかなかった。
呼ばれてる、誰に呼ばれているのか分からないけれども何故かいかなければっと思った。
気づけば魔法で消していた翼を広げていた。
*+*+*+*+
失敗した。そんな事を思いながら一人森の中を走る。
グォォオオオオォォォッッッ
背後からは数匹の魔物を感じながらも少年は一人走る。
「っう!!」
木の根に足を引っ掛け、いきよいよく地面に滑り、こけた少年は慌てながらも体制を整えるよりも早く一匹の魔物が少年へと向かって飛び掛る。
「このッ!!」
少年は近くの植物の枝を折り魔物の口へと枝を挟み込み、そのまま振り払う。
それはまさしく力技であり、決してマネをしてはいけない行動であった。
少年は息を切らしながら、詠唱を唱えだす。
『炎よ 幾多の明かりとなり闇夜を照らせ』
詠唱を唱え終われば少年を中心に二つの火の玉が出現し当たりを照らし出した。
少年の周りに浮いた火を警戒するように数匹の魔物はうなり声を上げながらも様子をうかがいながら一歩また一歩歩み寄る。少年はその様子を視界で確認しつつ再び詠唱を唱える。
『幾多の戦いを乗り越えた剣よ
我が元に来たれ 来たれ
再びその刃に敵の血を注ごう』
少年の足元を中心に出現した魔法陣は直径約25mぐらいの大きさで出現しその魔法陣は魔物の足元まで広がる。
魔物は魔法陣によって一瞬怯ひるんだ事に少年は見落とさずそのまま魔物へと走る。
「来い」
少年の声を合図に先ほどまで魔法陣しか描かれてなかった地面から、剣が出現した。出現と同時に少年は剣の柄を掴み魔物の一匹の体を真っ二つに切り裂く。
キャァインッ
近場にいた魔物が悲鳴のような泣き声を発するも、少年は先ほどの勢いのままその魔物の首元に刃をつきたて下へと刃を下ろす。
そうすれば、その傷口から飛び散る血が少年の顔や服へと飛び散る。
そして先ほどのうなり声は聞こえなくなった事を確認し少年は火の玉を1つ残し、後の魔法を解除した。
先ほどまで少年が持っていた剣は粒子状へとなり、火の玉も1つへと数が減ったせいで当たりを照らしていた明かりは暗くなるものの自身の足元を照らすのには十分であった。
「っ・・・疲れた・・・」
そう言いながらもこの場所でとどまるには先ほどの魔物の血の臭いが当たりに充満しているせいで、いずれ魔物がここに集まってくるだろう。そう思った少年は、走るというまでも行かずに少し早い速度で歩きだした。
大分歩いた所で水の流れる音が聞こえた。
「・・・」
自然と少年の足は音がしたほうに歩き出す。
そしてしばらく歩けば湖が視界一杯に広がる。月の光によって湖の表面はキラキラと光り輝き、少年は自然とその光景に見惚れていた。
ザァァアアアァァァ
一陣の風が湖を、少年を通り越す。その風は砂や枝から落ちた木の葉を舞い上がらせる威力があり少年は反射的に目を閉じた。
「・・・?」
ふとした気配に少年は閉じた目蓋を開けその気配を探すように視線を彷徨わせる。
その気配は何故か懐かしく感じるもののその気配に少年は覚えが無く首を傾げるのみ。だけれども、すぐに少年は驚愕した。
なぜなら、
バサアッッ
唐突に上空から現れた黒髪の少年。その黒髪は夜空のように黒いものの、月の光に当たっている部分は黒よりの青に見え、細められた目元から覗く瞳は青く清んだ海のように青い瞳。まだ子供だけれどもその瞳に宿る光は見た目から想像がつかないほど強くその目から視線が外せれなかったものの、その少年の背中から生えている四枚の翼に、目を見開かせる。
「君が僕を呼んでたの?」
「・・・?」
地に足をつけた目の前の少年がゆっくりと近づきながら言った言葉に身に覚えが無く首をかしげる。
「・・・よ、呼んでない」
近づいてくる少年の先ほどまで感じれなかった魔力量に少年は怯えのせいか、かすれたような声が出た。
けれどもその答えに満足しなかった、違っていたかのように少年は眉間に皺を寄せ「嘘」と言葉を漏らし目の前の少年の指先が迷わず心臓の位置へと置かれた。
「君にもこれと似たものがあるだろう?」
グイッと自身の襟元を引っ張り首の付け根の部分にある月の形を模した痣が晒された。
「そ、れは!?」
「知ってるん・・・だ・・・」
「っっっ?!」
少年の体が唐突に傾いた事に驚き、とっさに受け止めようと動くものの受け止めきれず少年が覆いかぶさるような上体でしりもちをついてしまった。
「あ・・・」
「っぁ・・・くぅ・・・」
少年の唐突なる豹変もさるごとながら、異常なる体温の熱に驚きを隠せず、どうしようかとオロオロと、周りを見渡す。
ガサガサ
「おい、アルス!!」
「あ、マーレさん!!」
少し離れた所から聞こえてきた草木がこすれる音に少年、アルスはヒクリと肩を揺らすものの、そこから感じられて気配が自身がこの森に入ってはぐれるまで一緒にいた人物、マーレの気配だった事に安堵した。
「アルス!!お前一体何をしたんだ!!この森の水のマナが慌てて・・・」
マーレの見た目は若く、20代後半、下手すれば前半に見え、金髪の瞳は月の光で淡くキラキラし、青い瞳は一見濃く、黒よりの青に見えるものの光のあて具合ではその色は青色や水色に見えた。
マーレはアルスと共にいる少年に気づき、言葉をなくした。
けれども「マーレさん、これ、凄い熱!!」というアルスの言葉にハッと我に帰る。
「あ、あぁ、この森を抜けたところに娘の家があるそこまで行くぞ」
マーレは少年を自身が来ていたローブで翼を隠し、「魔物もいる走るぞ」とアルスに言い走り出す。アルスも頷きマーレの後を追い走り出した。
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2018.11.17 1-3と統合・修正