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紡ぐ物語 -FUTURE-  作者: 稀世
02:中立チェルシアン学園
24/47

第6話 歓迎会




「皆集まってくれて先生とても嬉しいや」


入学式が終わり、Dクラスのメンバー(約2名を除き)が集合場所の噴水前に集まっているも、先程、式典中に言われたせいか噴水の近場にちらほらと保護者や生徒が集まり、遠巻きに噴水前に集まっているメンバーに視線を向けていた。


「はいはーい、どんな面白い事するの」

「楽しみすぎてうずうずしているんだよ」

「グーちゃんやテーちゃんのような子は先生大好きだよ!!でも、全員揃ってからね」


グーちゃん、テーちゃんこと双子の妹のテーゼ・プロ・キトリヒとその兄であるグーテ・プロ・キトリヒであった。

2人は16歳だというけれどもその体格は10歳児のような体格もあるも、その性格も相まって子供だと勘違いされる。

白髪をベースに毛先が黒く、グーテは右、テーゼは左に小さいながらもヤギの様な角を片方ずつにはえていた。瞳もまた珍しいオッドアイ、グーテは右が金、左が灰色テーゼはその逆であった。その容姿は魔族に近いも、魔族特有の角は片方しかないその容姿は珍しく、周りの者は「何あの魔族!?てかまぞくでいいの??」、「まじで15歳以上!?」と言った声が上がる。


「…おふざけなら、部屋に帰らせていただきたいわ」

「レーちゃん、そんな酷い事いわないでよ」

「その呼び方、やめてくださいな」


テーゼの少し右側の後方に立っていたレーちゃんこと、レレスはただでさえ鋭い目つきをさらに細目、冷ややかにヴァールを睨みつける。

長くのばされた黄緑色の髪の毛を髪留めで結び、いら立ちのせいか獣族特有の一部の獣化であろう鳥のカキ爪で地面をひっかく。

レレスの苛立ちの大半は外野のせいであった。

先程から聞こえてくる言葉は「うわぁー胸でか・・・」や「腰が、腰に触ってみたい」と気色悪い言葉ばかりだった。

確かにレレスの体系は出ているところは出ており出てないところは引っ込んでいる。世の男性から欲望の対象に入る体系であった。


「まったく…あの2人はまだ来ないのですか」


そういら立ちが含まれた言葉が示す二人は…





+*+*+*+*+*





「…行きたくない」

「逃げる?」


人の輪を掻き分け、目的の噴水に近づくにつれて聞こえてくる周りの言葉に進めていた足を止めてしまった。

だが、思っていたよりも噴水近くにいたせいか、苛立っているレレスの瞳がこっちに向けば、その傍にいたテーゼやグーテに見つかってしまい、「おーいクーッちゃん、アッ君、こっち、こっち」と大声で僕らの方に二人は手を振る。

そうすれば周りの生徒や保護者からの視線が一斉に向けられた。


「っっアルス行くぞ!!」


向けられる視線の不快さに隣にいたアルスの腕を引っ張りつつ、少しでも視線をそらすために身をかがめる。

だが、すれ違いざまに聞こえてくる「性別どっち?」や「俺あれなら抱けそう」という声や「きゃぁ!!良いな、私あの獣が欲しい」や「あの尻尾欲しい」ときっとアルスに対しての言葉だと感じ胸が痛む。

だが言葉の中には「やっぱあの獣に下の世話とかさせてんじゃね」「前の人族の奴隷だったりして…可愛そう」そんな言葉も耳に入るが、僕らは足を止めることなく目的地へとたどり着く。


「二人とも遅かったね」


相変わらず変なお面を付けているせいで表情も視線も読めず、何を考えているのか全く掴めない目の前にいるヴァールのおちゃらけな声音に思わず顔が歪む。


「どこかの教師のおかげで人ゴミを掻き分けるのが大変で遅れてしまいました」

「それは大変だったねぇ」


あたかも人事のように、いや他人事なのだが、そんな態度にタメ息が零す。


「んじゃ、全員集まった所だし…?」


遠くから聞こえてくる微かな黄色い声や何かの声にヴァールの言葉が強制的に止まる。

声が近づくにつれて加護の印の場所が痛むのを感じると同時に、嫌な気配もビシビシと感じ始め、早足にヴェールの元、ヴェールの後ろへとアルスを引きづるように移動する。


「これは予想外…」

「何が予想外だ。印が何故か反応して大変なんだけど…」


小言で文句を言っていたら、人込みから問題の集団の先頭が群衆からちらほら姿が見え始める姿を現した。

先頭を歩いていたのはパシオン国第一王子であるウラガン王子とその護衛であるアインマーシュだった。


「あー…多分魔族側が原因だろうね…レーゲン第一王子の護衛には、六花の一輪の最強の、幻獣族のノアだからね…」

「アルス以外の幻獣族ね…」

「そう、君達の様子からすれば彼が加護持ちなのだろうね…本当に厄介な人物を護衛に着けたものだね…」

「数分前の自分を恨んでくれたら俺達は少しぐらい心が軽やかになる」


珍しく口をはさんだアルス。だがそんなアルスの瞳は笑っておらず、思わず「目が笑ってないよアッ君」と口をはさむが、視線は今だ群衆から動かない。





+*+*+*+*+*





「お、集まってんじゃん」

「講堂で言ったのです。集まってなければおかしいでしょう」


「ですが、貴方様が来るとは思ってなかったでしょうね…」と呆れを含めたため息を零せばウラガンは「タメ息ばかりだと幸せが逃げていくぞ?」とウ笑顔で返させられ、アインマーシュは怒りを込めて「誰のせいでしょうね」と笑顔で言葉を返す。

先頭で繰り広げられる茶番劇にレーゲンは笑う。


「はぁ…それにしてもあなた方も来るとは思いませんでしたよ」

「私達だけ仲間外れは酷いです」


レーゲンは自分の前を歩くセノンに話しかければ、セノンは笑顔で言葉を返す。

女性であると言う事ではぐれてはいけないということで真ん中に配置されて歩く。


「それにしても依然あった時と気配が多少変わりましたか?」


ふと感じた違和感にレーゲンは質問すれば、「なんのことかしら?」とセノンは一拍おいてから返事を返した。

セノンの反応に「あれ、気のせいでしょうか?」とレーゲンは茶化すかのように言葉を紡いでいたが


「見つけた」


レーゲンの後方を歩いていたノアの言葉に、セノンとの会話を締めくくり、ノアへと視線を向けることなく「そうか」と表情を変えないまま返事を返す。


「あっちも俺に気づいているだろう」

「そうであって欲しいな。そうじゃないと、こちらに引き入れたとしても役に立つかどうか」

「それは安心しなよ、加護者はそこらへんの冒険者よりも役に立つ」


噴水へと近づくたびに左太股に刻まれている印が強く痛むも、ノアの口角は上がる。

何せ、自分以外の加護持ちに会うのは初めてなのだ。

ノアから感じる雰囲気にセノン以外の者がノアへと視線を向けるもその表情に護衛の二人は無意識に顔が歪んだ。





+*+*+*+*+*





ザワザワと騒ぎ立つ噴水広場。


「これは、これは王子様方に王女様、その護衛の方々もこの様な場に何か用でしょうか?」

「ここで面白そうな事がありそうだから見にきたわけさ」


Dクラスのメンバーを後ろに下がらせヴァールは前へと出、ウラガン王子と話をするもその雰囲気は張り詰めていた。

一見は穏やかを装っているおかげか回りの生徒や保護者は気づいていないようで逃げる様子はなかった。


「それにしてもDクラスだったかな、面白い話を聞いたんだがそれって本当か?」

「面白い話とは?」

「Dクラスは問題児だらけのクラスだとか、現校長に嫌われた者のごみ箱だとか」


「一体君らは何したのさ」とウラガン王子は笑いながら生徒達へと声をかける。

ウラガン王子の言葉に様々な反応を見せる。

眉間に皺を寄せるレレスや笑顔のはずなのに殺気立つグーテとテーゼ、だが失礼ながらも僕らは校長に喧嘩を売った覚えもないために何とも思わない。

というか、この三人はいったい何をしたんだろうとふと、疑問が浮かぶ。


そろそろこの場の空気を換えた方がいいのかと思い、口を開く。


「ヴァール教師。いつまでここで待機させらるんですか?何も無いのなら僕ら帰っても良いですか?良いですよね?」

「ちょっっ、待って、待って!!凄い大事なお話してたよね⁈」

「知らない」

「君達っていろんな意味でマイペースだよね」


一番言われたくない人に言われれ、僕らの顔が歪む。

だが、いったん切られた空気のおかげか、グーテとテーゼが笑い、レレスもまた呆れているもその表情は先ほどまでの苛立ちはなりを潜めていた。


一気に場の空気が変った事に呆気に固まっていたウラガン王子に


「どうやら君の負けみたいだね」

「はぁっ!?」


レーゲン王子は笑いながら問いかければウラガン王子は声を上げ「負けてないし、勝負もしていない」と反論するも、機嫌を損ねたようで


「アインマーシュ!!」

「はぁ、全くあなたと言う人は…」


気分を害された事に腹を立てウラガン王子は何かぶつぶつ言いながら踵を返し来た道を戻る。セノン王女もまた「あら、ウラガン様は戻られるの?なら私も疲れてきたちゃったから戻りますね」とクリムと共にウラガン王子の後に続く。


「貴方達は帰られないんですか?」


帰って行った二カ国の王子王女様に呆れの視線を送りながらも、一番帰ってほしい一カ国だけが残っていた。

レーゲン王子へとヴァールが声をかければ「そちらがよろしければもう少しお邪魔させていただきたい」という言葉を無碍むげにも出来ずヴァールはしぶしぶ了承し、「んじゃ、お前等。第三グラウンドに行くぞ」とレーゲン王子とその護衛であるノアと共に噴水から移動を始める。


「…一番帰って欲しい奴が残ったよ」

「どうしようかね」


もうすでに前方との距離が開いているのもお構い無に僕等は小声で話す。

既に加護の印が発する痛みにもなれたが、ノアから感じる何らかの気配のせいか不愉快感にはいまだなれなかった。


「何だろう…引きずり落とされそうで落ち着かない」


ノアから感じるのは底なしの沼のような闇。

気を抜いたら直ぐにでも引きずり込まれそうになる。


「…俺には分からない」


僕の言葉に、アルスはどこか申し訳なさそうに首を横に振るう。だけれどもその言葉にどこかほっとしてしてしまった。


「でも、俺はクレアから感じる気配は好き。おいし――」


アルスのその先の言葉に被るように先に進んでいるグーテとテーゼの声によってその先からを聞くことはなかった。

もう一度聞き返そうとするも、アルスは首を横に振り「早く行こう」と僕の腕をつかみ歩き始める。





そしてようやく第三グラウンドに到着すれば、先に辿り着いていたグーテやテーゼ、レレス達が楽しそうに雑談をしていたのが遠目からでも分かり、目的の場所から見知った気配を感じることに、僕らは少し速めに歩く。


そして第三グラウンドに到着すれば、そこにいた人物に僕等は驚愕した。


「元気だったかい二人とも」

「ッッマーレ!?」


第三グラウンドにいたのマーレであった。






2019.08.17:本編修正・追加

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