第8話 荒神
あれから、何度かお見舞いにイチゴさんが来てくれて、色々教えてくれた。
まだ内緒らしいが、僕の専属パートナーにはイチゴさんに決まったらしい。それに僕の他にも先日、ギルドに入った人がいると教えてくれた、近藤君もお見舞いに来てくれて、その時にそんなことを言ってい、たぶん近藤君の事だろう。ギルドには僕を含めて数十人程度のメンバー?社員?がいるらしいが、イチゴさんも正確な人数は知らないらしい、イチゴさんの能力も教えてもらった、氷系の魔物と契約していて名前はソラと聞いた、氷系って僕と相性悪そうだけど、大丈夫かな・・・
ギルマスから電話だ。
「もしもし、タケルくん久しぶりですね」
「お久しぶりです」
「今日は決まった事を話そうと思ってね、明日時間はあるかな、年金手帳と通帳と印鑑とか持ってきてくださいね」
「はい、わかりました。」
「じゃぁ、明日のこの場所で待ってます」
正式にギルドに入ることになった、年金手帳どこだっけ・・・
次の日
「ここだな、言ってた場所は」
僕は言われたとうりの場所に付いた。ただの一軒家に見えるがここが、ギルドの拠点なのだろう。
ピンポーン
呼び鈴を押すと、まだ年端もいかない少女が出てくる。
「いらっしゃい、あなたがタケルさんね。私はここの管理をしています、プラムです。どうぞこちらへ」
「はぁ・・・お邪魔します」
見た目とは裏腹に大人びているしゃべり方をしているプラムに案内され部屋に通される。
「社長、お連れいたしました」
「ご苦労様です、さがって結構です」
「はい、失礼します」
「さぁタケルさん、入って下さい」
「失礼します」
そこには、イチゴさんもいた。
「もう知ってると思うが、パートナーのイチゴだ、これから頼みますよ」
「はい、お願いします」
「よろしくお願いします」
イチゴさんも続けて言う。
「いやぁー実はね、相性があまり良くないと思うんですけど、イチゴさんがどうしてもって聞かなくて、すまない」
「そんなこと言ってません!」
ごり押ししたのか・・・
「いえ、僕はイチゴさんでうれしいですよ」
「ほら、言ったじゃないですか」
「はぁ相性は大事なんですけどね・・・まぁこれからの話をしましょう」
「はい、お願いします」
「ヘブンにはしばらく滞在できますか?もちろん住む場所も用意してあります」
「滞在ってどのくらいですか?」
「まぁギルドの仕事をしてもらいつつ、ある程度技を身につけてもらいたいので、おおよそ一か月くらいでしょうか」
「一か月ですか、まぁたまに戻ればいいくらいなので、大丈夫です」
「そうですか、それはよかった。今回は新たに仲間になった方と一緒にパーティを組んでもらいます」
「そうですか、たぶん知り合いなので、大丈夫です」
「そうでしたか、それでは呼びますね。入ってきてください」
隣の部屋から見慣れた顔と美人が入ってきた。
「失礼しまーす」
「失礼しまーす、みんなの天使れもんちゃんでーす」
すごい美人だ、でも若干ウザそうだ。
「おっ!俺のパーティはやっぱり荒神だったか!」
「うん、よろしく近藤君」
「「「荒神!」」」
三人が声を合わせて言う。
「はっはい!」
いきなり三人に名前を呼ばれ固まってしまった。
「なるほど、まさかとは思っていたが荒神様とは」
「タケルさんは荒神様だったんですね・・・」
「荒神様・・・」
数千年前、魔人に進化した人間が業炎をもって世界を作り替えたと言う、話があってその魔人が荒神と呼ばれていたらしいと、ざっくり説明された。
ヘブンで死ぬと魂はこちらの世界へ転生し、こちらの世界で死ぬとヘブンへと転生するという話で、僕はどうやらその魔人の生まれ変わりで、何度も転生を繰り返し名前が同じ事で力の一部が戻ってきたのだと教えてもらった。大黒天が言ってたこの国の荒神ってそういう意味か・・・強い力を持つ者の転生は稀にあるんだとか。
ちなみに近藤君も強者の転生だった。なんだか全然稀じゃない気がする・・・こういうのは一人で十分だろう物語的に、まぁ僕がその魔人の生まれ変わりでなきゃ今頃死んでただろうけど。
「いやぁ荒神はすごい奴だったんだなー」
「近藤君もね、上位の魔物だったんでしょ?」
「いやー中位だったよ、うらやましいぜこの野郎」
「そうなんだ・・・ごめん」
「馬鹿だなぁ、上位の魔物と契約したくらいでつけあがるな、それに魔物だってすぐ追い抜いてやるよ」
「そっか、僕まだ力の使い方わかんないんだった」
「いやいや、そこは堂々としろよ、弱気だなーやっぱ負ける気しないぜ」
「まぁまぁ、これからしばらくは仲間なんですから戦う相手間違えないでください」
そして次の日に出発することになった。