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第5話 言ってたんだ

ピンポーン

「宅配でーす」


「はーい」


「代引きで2万5千円です、ここにサインお願いします。」


「はい、ありがとうございます。」


なかなか痛い出費だが、これは必要経費だ!

そう、今日武器が届きました、片手剣が2万3全円、盾が2千円、剣にお金を使ったので、

盾が防犯用の物しか買えなかった・・・


よし、開封開封

ルンルン気分よく箱を開けると、やっぱりかっこいい

さすが、人気アニメの模造品だけあるなぁ、盾は透明だが思ったよりかっこいい、

若干小さいが、悪くない。


あらかじめ買っておいた、工具で盾に剣を取り付ける、中二全開です。

まぁこんなものか、アンバランスだが、これで両手が開くな、あとは、防具だけかぁ、

防具は、この前借りた服を参考に、古着でも探そう、ヘブンには、こっちの普段着だと、

怪しまれるからな、甲冑とかじゃなくても、そんなに強いモンスターとは戦わないし、大丈夫。


よし、調べておいたキャンプ場に行くか、電話したら、キャンプファイヤーしても、

大丈夫だと言われたし、道具も借りれる。

お財布と相談して、出来るだけ大きい、火を焚こう。


今日はヘブンゲートのイチゴさんが車を出してくれた、支援って結構なんでもしてくれるようだ。


「お久しぶりです、近藤さん」


そう、僕は近藤と偽名を名乗っていたのだった

イチゴさんかわいいなぁ・・・名前で呼んでもらいたい・・・

「お久しぶりです、あの・・・実は近藤って偽名でして・・・タケルって呼んでもらってもいいですか?」


「はぁ、わかりました、タケルさん」


あぁぁぁぁあぁぁぁやったよ、母さん!初めて、あなた以外の女の人にタケルって呼ばれました、

しかも超かわいいです、産んでくれてありがとう

「・・・」


「あの、どうしましたか?」


「はっ!、なんでもないです」


「じゃ!行きましょうか」


「はい、お願いします」


「その前に、料金いただきますね、ここからキャンプ場の往復で5000円です^^」


「あぁそうですね」

勝手にデート気分だったのでとても悲しい、泣きたい、そうですよね、お仕事ですものね。


「そんなに暗い顔しないでください、タクシーより安いんですから!」


「そうですね・・・」

そういう意味じゃないんですけどね


「なに暗い顔してるんですか?さぁ契約頑張りましょう!」


「はい・・・」


車での移動中、魔物との契約の仕方を再度確認しながら、目的地へ向かった。


「ん?・・・止まって下さい!」


目的地に向かう途中、何か違和感を感じた荒神は、車を止めてもらい外に出た。


「どうしました?タケルさん、キャンプ場は、すぐそこですよ?」


「いえ・・・魔物の気配がするんです。」


「近くですか?」


「少し遠いですが、強い気配を感じます。」


ヘブンから戻った後、何度も気配を感じることがあった。

その、気配の元へとたどり着くと、必ず火に出くわしていた、どうやら適性の魔物の気配がわかるように、なるらしい。

今回も、気配は感じるのだが明らかに今までとは違う異質な空気感に僕は動揺していた。

ずいぶん、なれたと思ったんだけどなぁ、こんな気配があるなんて・・・

この気配の正体をどうしても知りたくなってしまった。


「あの、向こうに行ってもらえますか?」


「はい・・・構いませんが、危険であれば、」


「大丈夫です!見て、手に負えないと判断されたら、引き返しましょう。」


「そうですか、私が危険と判断したら、すぐ引き返しますからね!」


そうして、近くからも煙が見える処までやってきた。


「すごい煙ですね・・・」


「危険、ですか?」


「まだ、判断しかねますが、恐らく人の手には負えないんじゃないかと・・・」


「じゃぁ近くまで行ってみましょう!」


「・・・見るだけですよ?」


「分かってます。」


僕は冷静にそういった、冷静と言うのは少し違う。

近づくほどに感じるその巨大な力に、脱力してしまっていたのだ。


「ここまでのようですね・・・

はっ!待ってください、引き返しますよ!」


「なぜですか?」


「あれが見えないんですか!?山が燃えてるじゃないですか!

あんなのどうしようもないです!」


「言って見るまで分からないですよね?」


「だめです!危険と判断しました!って、待ってください!」


イチゴさんの制止を振り切り、山に向かって走り出していた・・・

脱力してしまうほどの力の正体に好奇心があふれてくる。


すぐ近くまでたどり着くと、野次馬がいた。


「いやね~山で焚火をして遊んでたらしいわよ。」


野次馬の人たちの声が聞こえた。


「まだ、人が残ってるらしいわよ?」


「その、焚火の犯人かしら?」


「違うわよぉ、犯人ならさっき救急車で運ばれてったの見たし、近くに車があって、警察の話から、猟師じゃないかって話なの」


「そう、災難ね。」


他人事のように話す、野次馬たちの話を聞いていた僕はいきなり腕を掴まれた。


「なんで車を降りて行ったんですか!見るだけって言ったじゃないですか!

まさか契約するなんて言わないですよね?」


「言ってたんだ・・・」


「なにがですか?」


「言ってたんだ・・・」


「もう!どうしたんです、もう戻りましょう!」


「言ってたんだ!」


イチゴさんに掴まれた手を振りほどき、僕は火の中に飛び込んでいった。

誰もが、僕を馬鹿な自殺者だと思っていただろう。

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