第3話 雷獣チャッピー
荒神は自宅に無事帰ってきた。
帰宅時に雨が降っていた雷がうるさい、天気予報くらい見ればよかった。
僕は傘を持っていなかったのでずぶぬれだ・・・
そのせいか、いかがわしい気持ちはとっくに無くなっていて、
早く向こうの世界ヘブンに行きたいと思っていた。
あれから色々な説明を受けた、とりあえず契約を済ませてまた来てくれと言うことだ。
まずは、契約だ適正で契約できる魔物が変わってくるらしい、僕の場合は火だったので、
火に近づくと、魔物が見えてくるらしい。
とりあえず、持っているマッチに火をつけた・・・
薄ぼんやりと魔物が姿を現すが、すぐに消えてしまう、
マッチじゃダメだなもっと長い間燃えていないと、会話もろくにできやしない。
契約は話し合いとのことだ・・・
なんだか、僕の想像してた異世界物語は崩壊していく・・・
もっとカッコよく契約するものだと思ってたのになぁ、呪文とか言ってさ・・・
まぁ魔物の口説き方は教わってきたので、頑張って契約を取ってきます!
営業マンみたいだなぁ、まず火をどうにかしないと
家の中で焚火は危険だし、外は雨・・・時間はあるのだし、ゆっくり探せばいいか。
そうだその間に武器を作ろう!
武器は自分で自作するのがいいらしい、ヘブンでも買えるのだが、
向こうのお金を持っていないか買えない、ヘブンゲートでは通貨交換や、
武器の貸し出しもしているらしいが、
いかんせん僕は貧乏フリーターなので、オプションなどは出来るだけ控えたい、
金持ちフリーターって存在するのか?・・・するんだろうなぁうらやましい。
前に引っ越しのバイトをしていた時、筋トレにハマっていた時期があるので、
力には自信がある方だ、大剣なんていいんじゃないだろうか?しかし痛いのは嫌なので、
盾も欲しいところだ・・・ここは、片手剣+盾で行こう、勇者になった気分になれるだろうし。
素材は、なんでもいいらしい、契約した魔物の力を武器に纏わせ、
強化出来るので心配いらないらしいが、本物の刃物の方が実用的ではあるらしい、
常に魔力を通さなければいけないからだ、しかし銃刀法で捕まるのは嫌だし、
そもそも、そんなもの作る技術も無ければ、買う金もないので、しょうがない・・・
インターネットで、武器の作り方を調べてみたはいいものの、僕にはハードルが高すぎる・・・
そして気づくと、ネットショッピングで今、人気のアニメ作品のアルミ製片手剣を注文していた・・・
まぁ見た目は大事だしね、ちなみに盾も一緒に注文してしまった、
防犯用のちゃっちい盾だが無いよりはマシだろうと思い、購入した。
次の日
「おはよう、近藤君」
「お!おはよ、荒神、昨日はありがとな」
「え?なにが?ってか昨日はごめんね、何度も電話して」
「あぁいいよ、俺が間違ってたみたいだしな、あの店に俺も電話したんだよ」
「え?ほんとに呼んだんだね」
「そうなんだよ、電話口で色々聞いて、違うってわかったけどなぁ、かなり怪しかったけど、
行ってみたら、本当に異世界なんだもん、笑っちゃったぜw」
「近藤君はどこへ行っても生きていける気がするよ」
「いやぁ褒めるなよ、で、お前はどうだったんだよ?」
「あぁ色々説明してもらって終わったよ、近藤君は?」
「俺か?俺はオプション色々つけて狩りに行ったぜ、まぁ半信半疑で、面白そうなオプションつけてよぉ、
詐欺だったら、訴えてやるつもりでさ、結果良かったけどな」
「もしかして、近藤君ってお金持ち?ってか、近藤君魔力あったんだね」
「魔力あったみたいだな、俺は金持ちじゃないよ、親がマンション何棟か持っててさ」
「いました、ここに金持ちフリーター・・・」
「?なんの話だよ」
「いや、独り言・・・そういえば、魔物の契約もまだなのにもう狩りってすごいね」
「まぁな、武器と防具のオプションつけたしな、それに契約しても、自分の魔力コントロールできないと、魔物の力もうまく使えないらしいじゃん?だから自分の魔力のみで武器強化して戦ったのよ、結構テクニックは上がったな、もう少しくらいなら魔力も飛ばせるぜ、エアガンにもとどかない威力だけどね」
「テクニック?あぁステータスのオプションかぁ、それにしてもすごいね、もう魔力飛ばせるなんてさぁ
説明聞いてるとき試しにやってみたけど、出なかったもんなぁ」
「俺は練習したからな、お前はオプション付けなかったの?」
「うん、どんなオプションがあるかも知らない、ステータスのオプションは聞いたけど」
「そっか、まぁステータスが詳しくなる程度だし、たまに見るくらいで、いいんじゃない?
契約は、済んだのか?」
「いやぁそれがまだなんだよね、普通は契約してから、ヘブンに行くらしいからなぁ、早く契約したいよ」
「俺は昨日ちょうどいいタイミングで見つけたから契約したぜ」
「おお!さすが近藤君、行動が早いなぁ」
「まぁたまたまだよ」
「どんな魔物?今は出せないんだよね」
「ああ、今は出せない、会話はできるけどな、うるさくてしょうがない奴だぜ、まったく、魔物はみんなこんな感じなのかな?」
「どうだろうね、てかそうじゃなくて、属性だよ、属性」
「属性か、雷だよ」
「おお!かっこいい~そういえば昨日すごい雷だったもんね」
「本当にタイミングよかったよ、属性雷なんて最初どうすんだよって思ったもんね」
「確かに、そうそうあんなに激しい雷は無いよね、じゃなきゃ会話続かないし」
「ラッキーだよ、お前の適正は?」
「火だよ」
「物語の主役みたいだな!火とかいいな、結構身近にあるものだし、良かったな」
「でも、規模によって、魔物の強さ変わるんでしょ?小さい火は、なんか契約したくないかなぁ、どうせなら強い魔物がいいな、近藤君も雷と契約したんだしさぁ」
「たしかにな、俺も静電気と契約はごめんだね、でも契約交渉はなかなか大変だぜ、俺なんて危うく食われるとこだったけど、そこはごり押しだったな」
「ごり押しで契約取ったのか、この悪徳セールスマン」
「なに言ってんだよ、俺と言う素晴らしい商品を持ってきたんだ、納得してもらうしかない」
「そっか、すごい自信だね、ごり押しって、ちなみにどうやったの?」
「お前もごり押しする気かよwまぁ言うこと聞かない悪い子はお仕置きだ!って雷に突っこんで殴ってやったんだ、いやぁ死ぬとこだったね」
「死んでないのが不思議だよ!そりゃ僕はできそうにないかなぁ」
「頭のいい魔物なら、契約してくれるさ、魔物にとったら利点も多いしさ、あと名前も付けた、チャッピーだ!」
「犬かよ!まぁ今度の休みにでも、でっかい焚火でもして、契約してみるよ」
「火事には、気をつけろよな」
「うん、出来るだけ広いキャンプ場探すよ」
「そうだな、契約したら一緒に冒険しようぜ!」
「その時は、よろしくね、チャッピーもよろしくね」