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それでもひとはまわっていく

作者: 町屋 佑人

 俺の意気地なし。

 この言葉を何度口にしただろうか。

 あの日、三ヶ月前から今この瞬間までずっと頭の中に回り続けている言葉、ただの後悔の念、自責の念。

 俺の意気地なし、勇気もなければいつまでも引きずって女々しい、ただの臆病者。

 月日が経つごとに噂に尾びれがごとく増えていく罵倒。ああ、全然癒えない、消えない心の痛み。

 理由は単純である、ただの幼なじみと思っていた異性の友人が結婚した。ただそれだけの事である。


「カズ君、これまで相談に乗ってくれてありがとう。きっといいお嫁さんが来てくれるよ!」


 とっても綺麗な笑顔。ああ、なんて綺麗なんだろう。

『おめでとう、いい旦那さんに巡り会えたな。幸せになれよ』

 おそらく、普段の彼女なら気づいてしまう程度に俺の顔は表面しか笑ってなかったように思う。

 嘘もいい所、別れてしまえ。どこの誰かも知らないろくでもない男の嫁になんてなるもんじゃない。

 そういいたかった、言えるはずも無い言葉。

 君のその綺麗な笑顔を俺が作りたかった。


 そう、素直に祝えない自分に、こんなに思うことに今の今まで気づかなかった自分が許せなくて、馬鹿らしさに惨めさに今も震えてしまう。

 俺はこんなに小さな男だったのか。

 自分自身に驚愕し、絶望する。


「あー、先輩。またくらい顔してるーっ。どうしたんですか? 相談くらいのってあげちゃいますよ?」

 仕事中にまで、こんな事で仕事を忘れるくらい考えてしまうなんて、ため息しか出ない。

「なんでもねーよ。お前に相談するくらいなら病院に行かないとだめかもな」

「あっ、ひっどーい! もう、先輩に仕事おしつけちゃいますもんね!」

「おい、おまっ、ふざけんな!」

 仕事している時だけはこの言葉を言わなくて済んでいたのに。もう、繕えないのか。

 仕事で私情を忘れようとして、忘れられなくて、後輩にまで心配されるなんて。

 仕事が増えた、これで忘れられるだろうか?


「あれ、先輩ー? 本当にやるんですかっ!? えーやったー? じゃー」


「お詫びに今度、一緒に映画みに行きましょう! 思いっきり派手なやつ、友達に見ろって券押し付けられちゃったんですよー」

 友人が結婚する夢をみました。

 それが予言なのか自分の本心なのかわからないんでとりあえず勢いで書いてみました。あぁ、彼女欲しい。

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