プロローグ
朝7時に起きて、8時丁度の地下鉄に乗り大学へ行く。いつものことだ。だが、今日はいつもと違う。何故なら、大学が休講だったからだ。思えば、教授が事前に知らせてくれてたような気もする。
「完全に忘れてたな…しょうがない、行きつけのプラモ屋にでも行くか」
せっかく30分かけてここまで来たんだ。せめてどこかに寄ってから帰ろう。でなきゃ損だ。そして僕は再び地下鉄に乗った。
まだ平日の朝なので、比較的乗客は少なかった。僕は左ポケットからいつも食べているパイン味の飴を取り出し口に入れ、右ポケットからスマホ取り出し空いている席に座った。
「今日も物騒なニュースばかりだな…」
僕がニュースアプリを起動させ、興味のある記事を読んでいた時だ。一瞬目の前が真っ暗になったような気がした。
「…何だ?今なにか…」
顔を上げるとおかしな光景が広がっていた。乗客が一人もいなくなっていたからだ。
「え…何でだ?確か2、3人ぐらい乗ってたよな…?」
当然まだ駅には着いていない。そういえば、そろそろ乗ってから10分だ。最初の駅には、いつも3分ぐらいで着くはずだ。
「お…おかしい…何かがおかしい…」
例えようのない違和感が僕を襲い始めると同時に、電車は止まった。駅に着いたのだ。だが、いつも聞こえてくる放送がない。そして、一人の女の子が乗り、電車は再び動き始めた。少女は手に持っていた手帳を広げ、僕の方へ向き言った。
「ようこそ!夢渡り鉄道へ!夢川さん」
可愛らしい僕好みの透き通った声だ。また、彼女は見た目も可愛く僕好みだった。身長は僕と同じ160㎝位だろうか。髪は日本人らしい真っ黒でショートカットで茶色い瞳。服は上は駅員が着ているような制服の灰色バージョンで胸に金色の糸で「夢渡り鉄道」と刺繍がしてあり、下は同じく灰色のミニスカートと黒のオーバーニーソックス穿いている。
「夢川春樹19歳、A型、大学生、東京都出身、彼女なし、友達は少ない…」
呆気にとられている僕を横目に、彼女は手帳を見ながら次々と僕のプロフィールを読みあげていた。
「ちょ…ちょっとまって。何で僕のこと知ってるの?あと、夢渡り鉄道って…?」
彼女は手帳から目を離すと笑顔で僕の目を見て言った。
「とりあえず、夢川さんであってますよね?」
「う…うん」
「よかった。私は案内係のアユです。よろしくね。夢渡り鉄道はね、夢川さんが今まで見たことがある夢をピックアップしてもう一度体験できるようにしてくれる鉄道なの。もうすぐ最初の駅に着く頃かな。その駅で降りて、外に出てみればわかる」
「駅の外は僕がいつ見たのか分からない夢の世界が広がっているってことか」
「そう。そして夢で見たとおりの体験ができるの」
「もしも怖い夢だったら…」
僕は不安になって尋ねた。すると、彼女は笑顔のままでこう言った。
「大丈夫!私も一緒について行きますから。前に見たことがある夢と同じ体験ができるといいましたが、唯一違う点はこの案内係のアユが一緒だというところです。ですからご安心を!」
そして、夢渡り鉄道は駅に着いた。
勢いで書いちゃった感がある。