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月は嘘を知っている  作者: 七瀬 樹
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当主の仕事



豊南家の十代目当主となった私。

16歳であっても当主としての仕事はしなければならない。

豊南家の所有している土地の管理や財源の確保。

分家が権力を握りすぎないように調節するのは、きっと一生なれないだろう。

「お嬢様、少しお休みになってはいかがでしょう」

そう声をかけたのは私のメイド、綾羽だ。

彼女は我が家に長く勤めていた使用人の家系で、先代の執事長の孫娘だ。

「いいえ、まだ今日中に片付けなければいけない書類がこんなにあるんだもの。休む暇はないわ。」

そう言って私は書類の山に目を向ける。

ここしばらくずっとこのままだ。

「そんな嫌がらせ、後回しになさってください。今のお嬢様の仕事は休まれることです」

そう言って書類を瞬く間に隅に寄せると、華麗な手捌きで紅茶を入れていく。

いつのまにか私の机はアフターヌーンティーの準備が整っていた。

「…綾羽には敵わないわね」

「当然です。何年のお仕えしていると思っているのですか」

自慢げにそういう彼女。

「7年だったかしら」

「8年3ヶ月と19日です」

…どうしてサラッとそういうことが言えるのかしら。

「辞めないでくれて、ありがとう」

それを聞くと綾羽派瞬きし、嬉しそうにはにかむ。

その表情を見るたびに申し訳なさが薄れる。

「なんて事ありません、お嬢様にお仕えするのは我が家の誇り。祖父の願いでもありますから」

あの事件のあと、私は残った使用人たちに暇を出した。

そうしなければまた、同じことが起きる気がしたから。

それでも残ると言ったのが綾羽と先代の執事長、そしてその妻である侍女長だ。

彼らは今は引退して、田舎に住んでいる。

この家族に、私は救われた。

「そろそろ使用人を雇いましょうか。そうしたらあなたの自由時間もできるでしょうし」

綾羽はよく働いてくれる。

彼女にも休みが必要だ。

「だったら、紹介したい人がいるんです」

そうにこやかの告げる彼女に、なぜか嫌な予感がした。

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