「遠征任務:特別依頼・炎星と水星【中編】」 その12
仕事終えて私は初めて強い人に勝てて大喜びしていた。
「私もついに最弱脱出かな〜?」
エミちゃんくらいならもう余裕で倒せるんじゃない?舞い上がった感情に釘を差すようにユイちゃんが言葉を発する。
「たった一回勝っただけで呑気ね?」
「で、でも勝ちは勝ちだよ?」
「あいつは単調だったから運良く勝てただけ、知性ある奴はもっと手強いわ・・・自分を過信せず精進なさい」
「む〜ならユイちゃんだって病気になったじゃん〜!」
「あれは私の経験不足よ、貴女と違うから」
少しくらい褒めてくれても良いのに、少しムキになってしまいそうになる。
確かに初めて強敵に勝てたのは運良く勝てただけかもしれない、例えそれが手加減してくれても私の勝ちは変わらない。
少しだけでも良いからアスカちゃんみたいに褒めて欲しいと思うのはワガママなのかな。
「ユイさん、ユカリさんが勝ったのは素直に認めましょうよ、手加減有無く褒めて伸ばすのも重要な力になります」
本来なら言い争いが始まるのにスェウちゃんが間に入っただけで一気に雰囲気が変わる。
「あんなのはただの模擬戦、殺し合いなら話が変わる、ユカリちゃんみたいな娘にはもう少し厳しくしないと成長出来ないわよ」
「いいえ、ユカリさんと一緒にいて気づきました、この人は褒めることで実力以上出せる人だって、ユイさんはきっと生きるか死ぬかの選択で生きてたかもしれませんがはっきり言いますが一番阻害しているのは貴女ですよ」
スェウちゃんはしっかり者だ、ユイちゃん相手に顔色一つ変えず自身の言葉で跳ね返す。
まだ十三歳なのに本当によく出来た子供だ。
「っ・・・」
私はユイちゃんが刃物を取り出そうしたのですかさず右手を蹴り飛ばした。
「駄目だよユイちゃん、いくら私でも任された仕事は最後まで果たすからね?」
ユイちゃんは少し驚いた顔で私を見て表情が強張る。
「ごめんね、ちょっとムキになっちゃった・・・二人共ごめんなさい」
怖がらせてしまっただろうか?私は素直に頭を下げて謝る。ギクシャクする雰囲気は私には耐えられない、好きな人を傷つけてしまったと勝手に思い込んでしまう。
二人はそんな私に慰めるように手を握った。
「気にしないで、私も少し我儘だった」
「少し怖かったですけどユカリさんも怒るんですね」
「そ、そう!?私怒ってた!?」
二人の反応は一致して私は申し訳無く謝った。
「ユカリちゃんはよく頑張ったわ、ごめんなさい・・・自分と重ねてしまうから気を悪くしないで」
「ユカリさん元気出して下さい!ほらほら!気分上げて行きましょう!」
二人は仲直りしたお陰で私も気を取り直して喜ぼうとしたがユイちゃんが散らかした布切れに足を取られて大胆にすっ転んでしまった。
「あいてて・・・もう〜!ユイちゃんの・・・?」
スェウちゃんは顔を真っ青にしながら私のお尻付近を凝視している。
それに転ぶ時に何か壊れた音がしたような?
私はお尻の痛みを擦ろうとしたが何かにはまっているのを発覚して恐る恐る下を見下ろすと・・・
老朽化ひてたのか床をお尻が貫通して床を完全に壊していました。




