「遠征任務:特別依頼・炎星と水星【前編】」 その19
夜の帳が降りて皆は寝ている頃、私達は毎日のように会議を行っていた。
「うがぁ・・・もう無理ぃ」
依頼をこなしたり皇女様にボロ雑巾のように顎で使わされたり私の身体はボロボロで机に突っ伏してるのが一番楽だ。
「そちらの仕事は大変のようだな」
労いの飲み物を渡され一気に飲み干すと少し楽になる。
エインデのお兄さんは全く持って疲労を感じない。一体どれだけ楽なんだろうか?
「俺達の方では竜神様に会ってきた、運が回って漸く行けたが確かに炎星に古くから存在した竜と同じ見た目ではあったな」
何だか違和感があると言いたげだ。サナエちゃんに労いの茶を出されて飲むと眠気覚ましの苦みのある茶だった。
「うぇ・・・何か違和感あったの?」
苦みに耐えながらエインデのお兄さんに問うと深く頷いた。
「私も実際見れたのはエインデだけだったけど彼が言うには“竜にしては何だか骨格が変”らしいわよ?」
???????
「ああ、竜は巨大な双翼と強固な両手足があるのは合っている、だが竜にしては腕の形状が“人間”のような肉付けで脚も人間っぽく、竜と指定するには不自然な程そぐわない。どちらかと言うと人間が四つん這いになって座ってるような見た目にしか俺は見えないな」
「星界によって違うんじゃないのかな?」
「いや、何度も竜と異形と化け物を倒してきた経験からすると炎星の竜は古来より“飛竜”に近い見た目をしていて正統な進化ならば両翼がより立派になる筈だが、あの像は光星にいた奴に近い見た目をしている」
「それかもしかしたら古の竜神とか!?」
私の発言にどれも納得がいかない様子でお兄さんも違和感の正体が正確に捉えられてないらしい。
「何故それほどまでに発達した腕の筋肉が必要なのか、巨大な双翼が有れば噴火も常々あった筈、生物は過去の出来事から身を守る為に流転する、だがアレでは環境から守るというより・・・」
エインデのお兄さんは何か閃いたのか顔が険しくなる。そしてエインデのお兄さんの発言により私もレヴィアサンという人物にも疑問を抱いた。
「竜神が腕を進化させたのは環境ではなく敵の存在?だが炎星の図書館の書類には竜神は“あまりにも強さに敵は存在せず絶対王”だった、もし敵が存在するなら・・・進化した人間?」
「進化した人間って・・・ちょっとスピリチュアル過ぎない?もしそうなら“悪魔や天使”、“妖精と人間”も進化した生命体になるわよ?そんな現実的じゃないのは認めないわよ?」
「ならサナエはどう感じる?俺の話を聞いた自身の意見を聞きたい」
珍しく学者さんみたいな発想な話だけど私には難しくてよう分からないや。
「竜神様なんて人間が勝手に創った妄想みたいなもんじゃない?本当はそんなのいませんーとかそれっぽい物を創れば先人達はそれを神とか勘違いして崇め奉ることだってあるんじゃない?」
「ふむ・・・」
「私は竜神様とか女神とか信仰に対して興味無いし人間が“勝手”に創ったんだから本当は別の理由があって発見されるような場所に置いたとかなら面白そうじゃない?」
人間が勝手に・・・皇女様は泉の聖水を使うと勝手に思い込んでいる、でももしそれが違うなら?使うのではなく“飲んでいる”としたら?
レヴィアサンは・・・妖精じゃないと言い切れることになる。
スェウちゃんから教えてもらった【泉の聖水】は妖精が唯一嫌う飲み物らしい。
それが本当ならレヴィアサンは・・・
「ふっ、面白い発想だな?それなら俺はあの竜神が“元人間”と言う説を推してもいいか?」
「はぁ〜?ふふ♪アンタこそ面白いわね!賭けて見る?私はただの人間が創った像でアンタは元人間だったでいい?」
「ああ、何故動かないのはまだ謎だが経験上だけの話だが人を滅ぼす為に擬態して力を蓄えてるということに付け加えてくれ」
「了解、それなら今日の所はお開きにしましょうか、ユカリちゃん眠そうだし」
「ああ、そうだな」
考えれば考えるほどレヴィアサンという人物が怪しくなっていく、泉の聖水を使う用途さえ聞けばなにか分かるかな?
私は眠い頭を動かしながら報告をし終えるとすぐに帰って寝てしまった。




