「遠征任務:特別依頼・炎星と水星【前編】」 その13
「ぐっ・・・!!はぁ・・・はぁ・・・!」
ユイちゃん不在の朝から皇女様に呼ばれて各場所に住み着くモンスターの討伐を言い渡されて何故か皇女様も同行している。
「・・・」
ふわふわと魔法で浮きながら私達を監視している、まるで何かを見定めてるようだ。
私は一回目からモンスターに囲まれて窮地に陥っている。
「ま、負けない!」
私は息を荒げながらも足りない脳味噌で最善を尽くす。
スェウちゃんの防御魔法を盾にしてボスモブリン達を何とか倒せた。強さ的にはモブリンの中でも中級レベルだけど数が多いから一人だけだと押し負けそうになった。
「っ!ユカリさん危ない!」
気が抜けたのかな、最後まで集中出来ていなかったのか背後に強襲する大斧を振り翳すモブリンに私は振り返るのが遅かった。
殺られたと思ったが何と皇女様が放った弓矢で首を撃ち抜いて倒してしまった。
「次よ」
何故皇女様が助けてくれたのか分からない、私の不様な姿を見兼ねたのかな。
その後何度も私は窮地に陥り手前までになると何故か助けてくれた。
不甲斐なく頭が上がらない、ユイちゃん無しだと基本負け続けて援護が入らないと全部負けそうになるなんて。
「やっぱりあのピンク頭がいないと弱いのね」
見限られたような冷たい視線が刺さる。私は謝ることしか出来ずその度に鼻息を立てて無視をされた。
何十回目かな、私は全敗して森林にして休憩してると皇女様は相変わらず浮いて退屈そうに溜息を漏らす。
私はもう不甲斐なくて肩を落としていると心臓が痛くなる。この痛みも最近理解が深まり分かったことがある。
この近くに強敵の化け物が近くにいる!!
何処から聞こえてきた声に反射的に私は大声で叫ぶ。
「皇女様!私の後ろに下がってください!」
出したことの無い声量に自分が驚きつつ突然叫ぶも皇女様はまだ気付いていない、と言うか気にしてないのか溜息混じりで腹を立てている。
「ついに癇癪?」
言う事聞かずのんびりしているとどんどん鼓動が大きくなる。
「皇女様!!」
怒りに混じった言葉に少し驚きを隠せない皇女様は私の後ろまで下がる。
「グルゥァァァァ!!!」
私の宿るイマイチ役に立たない獣の力は今度は機能してくれた!唯一褒められても良いくらいだ!
親玉にしては一回り巨大なモブリンに私は集中することで獣の力を一気に解放する。
「スェウちゃんはまた後方支援して!私が前に出るから皇女様を安全な場所まで連れて!!」
私の怒号にスェウちゃんはビクッ!と肩を揺らして頷き皇女様の手を引いて下がった。
「アンタが勝てる訳無いわよ!雑魚なんだから協力するとか!」
「皆の安全が第一なんです!策は幾らでも作れますが来て間もない場所で彷徨くと別のモンスターに襲われます!先ずは大切な命を安全な場所まで移動するのが最優先です!」
皇女様に有無を言わせず黙らせると私は小型化したような大砲の砲門のような腕部に取り付けてる【トリックバスター】を乱れ撃ち挑発する。
見事ペイント弾が顔に当たって怒髪天となった親玉モブリンは猪突猛進の勢いで私に突進する。
「皇女様達に手を出さないで!!」
キリちゃんの錬金アイテム【トラバサミ】と【引っ掛け縄】を罠にして嵌める。
後者は引っ掛かっても加速したがトラバサミは効果覿面でこのアイテムは大きさに乗じて大きくなるからとても便利。
見事膝下まで食い込んだトラバサミの激痛に顔面から転ぶ。
「大きい敵にはこれだ!!」
二人が安全な場所まで移動すると心配しながら向かって来る。
「来ちゃ駄目!!危ないから私に任せてください!!」
お腹から一気に吐き出すように声を張り上げる、二人は足を止めてくれたお陰で遠慮無くこれが使える!
キリちゃん特性の【アトミックボム】、これを首元に投げつけて起爆剤として錬金アイテムである【フレアボム】を投げつけた。
「っ!!!馬鹿!!」
これで勝てると確信したのだがそう言えば忘れていた事がある。
「これ、どのくらいの爆風だっ―――― 」
破裂すると一気に激しい爆風と閃光が距離を取っていたのに私だけではなく全員を包み、辺り一面を吹き飛ばしたのであった。




