「遠征任務:特別依頼・炎星と水星【前編】」 その4
「けほ・・・げほ・・・・れ?」
私、死んでいない?起き上がれる、場所は拷問部屋じゃない。心地よくて華やかな優しい香りがする。
ベッドで寝かされてたみたいだから誰かが助けてくれたのかもしれない、早く逃げようとしたがドアの方から暗殺者みたいな真っ黒軽装の女性が入って来た!?
「・・・ぶ・・・・・い・・・」
上手く喋れない、息を吐くと焦げたような異物感。
「おっとと!敵じゃないっすよ、お嬢様から死なせずにって言われてるっす」
貴族の部下らしき女性は随分と軽快な喋り方で寄ってくる。武器が見つからない、丸腰だと勝てる気がしない。
「うっ、流石に警戒されるっすよね・・・結構身体にキテるのに案外元気っすね」
フードを外して武器の短刀二本を放り投げて両手を上げた。
その顔は中性的な顔立ちで肩まで伸びた至極色の髪と黄緑色の目で特徴的な所はあまり見つからないが独特な雰囲気を醸し出す物腰柔らかな笑顔を見せる。
「聞いてくださいっす、今は私はアンタの敵じゃないっす」
敵意が無いと身振り手振りと更に怪しいけど私は不安な気持ちを押し殺して恐る恐る近寄る。
「大丈夫っよ♪スェウも無事だしユイさんが迎えに来ますから」
「・・・げほ・・・ん・・・・ユイ・・・・?」
だからそれまで心を落ち着かせ、安静にしてくれと頼まれた。
ユイちゃんが来るのを待つと数分、二人して我先にと押し入った。
「ユカリちゃん!」
いち早く抱き締められた珍しく血相を変えたユイちゃんに私は咳込みながらも必死に声を出す。
「ユイ・・・ぶじ・・・げほげほ!だった・・・けほ!スェウちゃんも・・・・・げほ!げほごほ!」
駄目だ、ちゃんと休まないと話すことすらままならない。
話を要約してくれたこの人はシェアさん、王家の一人であるシェルさんの陰の汚職者らしい。
お仕事は表は仕事の仲介人、裏のお仕事は諜報活動と暗殺らしい、どこまで本当なのかはよく分からない。
何故助けられたかはノア先輩から貰ったバッジについてシェルさんが言及したところで判明し、解放してくれたらしい。
「つまりはあのフザケた冒険者バッジのお陰で私達は最下層の人間ではなく”特別層“として扱われるらしいのね?」
「そっす、特別層は我々のような王女層と同じ位まで上がり権利まで与えられるごく一部の人間にしか与えられない代物っすよ?しかもノア先輩から派遣されたとなると話が変わるっす」
ノア先輩って本当に凄い人なんだ、所々で偉業が際立つのにサイコパスな思考を持ってるから計り知れないな。
「そんなに凄い人なんですか?」
「凄いってものじゃないっすよ!?一年で大魔導士の資格を取った化け物レベルの魔法使いっすよ!?本当は数十年掛かるのにあの人の偉業は星界全部に行き渡ってるっすよ!?」
あれ?そうなるとノア先輩って五星の人達と同じ位の人になってない?
「それなら五星と同じ?」
聞きたいことをユイちゃんが察して言ってくれた!
だがシェアさんはその言葉に首を横に振った。
「本来なら五星の人より上の立場なんスよ?星界を担うとされるまでの実力を持つ大魔導士は星界で片手で数える人しかいないっス、殆どが死に絶えてしまったのでノアさんが最後の一人っすね」
凄すぎてノア先輩の尊敬が倍増した私に対してユイちゃんは冷たかった。
「あんなのがね・・・好きじゃないけど強くは無いいわよ?」
「そ、そうなんすか!?あれ?何で貴女がそれを?」
「だって今はただの酒場のオーナーよ?」
事の顛末を知らないシェアさんは大声で驚いた、夜の帳が降りたせいで王女様に怒られました。
「え〜〜〜〜〜〜〜〜!?」




