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風の悪戯に従うお姫様 「黒い噂と南風」 その9

「ユカリちゃん〜♪楽しかったですね〜♪」


 子供のように楽しんだ私達は帰り際に飲み物を買って戻るとユカリちゃんは何処か寂しげな表情をしていました。


 ユカリちゃんの視線を向けるとそこには家族で幸せそうに遊び疲れた子供をおぶっている夫婦の姿を確認出来た。


「いいな・・・」


 ポツリ、ユカリちゃんは私に気づいていない独り言を発すると声を掛けると漸く私の存在を認知しました。


「あ、ごめん・・・ちょっと耽ってさ」


 私は孤独となっていたユカリちゃんの後ろ姿を見て気付きました。


 仲良くなったのは表面上なだけで心の底まで知れてないんだ。


 サナエちゃんに言われてた言葉も脳内にフラッシュバックして口が重くなります。


 ユカリちゃんはね、今でも心の中の“孤独”は誰にも埋められない、赤子時から才能が無いから育児放棄され死ぬのが面倒くさいから親戚のアスカの夫妻に半ば無理矢理世話をせがみ、感情が無いから周りから不気味がられて愛情一つも貰えない少女の痛みは誰にも教えないと思うわ。


 私ですら心の底は覗けない。感情が不完全で“泣く”や“怒り”が解らない、私が両親に問い詰められた時・・・もう絶対にユカリちゃんに会わせないって決めた。


 “あの子は優しいから何もしなくても強く育つ”ってさ・・・


 一度も見たことないクセに、一度も笑わせた事も無いクセに、一度も愛情を注いだ事も全部全部壊したクセに、今は子供が出来て幸せに育んでるって。


 まるでユカリちゃんなんか最初から娘などではないかのように言われた。


「ノア先輩〜?おーい??」


 サナエちゃんの怒りに満ちた悲しい表情で私にお願いされたのを思い出したらユカリちゃんがいつの間にか至近距離にいてびっくりしました。


「もしかして泳ぎ着かれた!?」


 優しい笑顔を見せるユカリちゃん、元気で明るい前向きな女の子はどうして誰にも愛されてなかったのにこんなにもお人好しで心優し少女が出来上がったのか、恐らくサナエちゃんが沢山愛したからですよね。


「ど、ど、ど、ど、どうしょう!?ノア先輩疲弊してたったまま気絶してる!?」


「気絶してませんから!?少し耽ってただけです!」


 感情豊かに慌てる少女に私は驚きながらも反応するとホッと胸を撫で下ろしました。


「良かった〜♪私と同じか〜!ノア先輩子供みたいにはしゃいで楽し過ぎて疲れたのかと思ったよ!」


「ふふ、そうでしたか?」


「うんうん!また一緒に遊ぼうよ?」


「デートのお誘いですか?」


「でーと??そんなんじゃないけどさ、私さ!もっと仲良くしたいからすっごく凄く仲良くなりたいの!」


「それなら私の酒場で働きましょう♪」


「え〜〜〜!?私、冒険者だよ!?」


「気が変わったら転職してくれればいつでも歓迎しますよ♪」


 なんじゃそりゃー!?と別れるまでユカリちゃんと楽しく雑談を楽しみながらデートしました。


「ふふ、今度デートする時に何でも買ってあげますよ?」


「えっ、ホント!?」


「大好きなミニスカートもいくらでも買いますよ♪」


「やったぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!!!!!!ノア先輩だ〜〜〜いすき!!」


 もし誰も愛してくれなくても彼女は一人にしません。


 彼女が死ぬ直前まで私が守ってあげます。


 これは面白いからではなく、彼女は幸せにしたいという本心です。

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