風の悪戯に従うお姫様 「黒い噂と南風」 その7
「げほ・・・ごほ、ここは?」
意識を取り戻すとそこは温泉施設の中にある緊急救護室のベッドで仰向けになっていた。
従業員さんと回復魔法が使える魔道士さんと力を合わせて私の中にある水を抜き、ノア先輩が息を吹き返す作業を繰り返して数十分の激闘の末に生き返ることが出来た。
私は完全にお冠なノア先輩に死ぬ気で謝り、優しいノア先輩は泣きながら私の存命に安心し、もう二度としないと誓った。
ユカリちゃんはリーダーでもあり私の大切な人だから忠告を甘く見ようとせず一度冷静になってから行動する。
決してこのような馬鹿は二度としない事を誓い皆に怒られてください!
あんなに本気で怒られたのは久し振りだった。
その話は簡単に広まり仲間全員にこっ酷く怒られてしまった。
特にサナエちゃんとアスカちゃん、ゼーナちゃんが厳しく、次こんな事が起きたら許さないと釘どころか断頭台に首を掛けられてしまった。
散々怒られた私は酷く落ち込んでしまうとノア先輩のお家に招待されて行ってみるとそこは酒場からはそう遠くない隠れ家のような家だった。
「あら?随分こってり絞られたんですね?」
私の目の腫れ具合にノア先輩は同情してむぎゅっと抱き締めてもらった。大人の母性も相まってここにユイちゃんもいたらもっと早く立ち直れるのにな。
積もる話もあるけどノア先輩の家に上がらせてもらうと随分と質素な生活をしているんだと驚く。
殆ど木材で作られた家具やベッドなんかほぼ真っ白で暮らしていける最低限の範囲で過ごしているらしい。
「可愛げもないゴミみたいな家だね?」
「先程落ち込んでたんですよね!?私今ので甘やかす気持ち失いましたよ!?」
可愛くも綺麗でもない何とも言えないほぼ真っ白な家につい苦言を零してしまった。
「怒られたのは私のせいだしいつまでも落ち込んでても私らしくないからね、事実はちゃんと受け止めて次は失敗しないように気を付けるから今度は無茶しないよ」
「うっ、意外と逞しいですね」
「ユイちゃんのお陰だよ」
あの人を怒らせると誰よりも怖いし嫌われたくない、だからなるべく本音で話し素直に認めて皆の信頼を取り戻す。
私は怒られたから泣いたのではなくこんなに不甲斐無い私を切り捨てずリーダーとして見てくれたり友達と言ってくれたのが何よりも救われたから。
皆優しくて応援したくて最高な仲間を持てて私は幸せ者だ。
「それならもっと信頼される為に危険な場所に飛び込んだりしないでくださいね?」
「それは冒険だから無理!」
「気をつけてくれるなら文句無しなのですが如何せん抜けてるから当分不安は拭えませんね」
私はノア先輩に怒られながらも成長の糧としてあの出来事を胸に深く刻むことになった。
ありがとう、私の最高の仲間達。




