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優しさをライズで騙す 「思考不全と身体麻痺」 その9

☆★☆★ ユイ


 遅くまで会話していた三人は終わるとまた明日と言って解散したその日の夜、誰もいない廊下を歩きサナエが育ててる無駄に広い庭に人影を発見して近付く。


「・・・ユイ・・お姉さん?」


 その声の主は部屋で寝てると思ったアスカだった。軽装だが何故か思い詰めた表情で夜空を眺めていた。


「・・・アスカ・・・どうして家族に嘘を?」


 私はあの時疑念を抱いた。一週間は間を開けて私の調合した秘薬で思い出せたのはたったの在りし日の日常、そこには必ず苦痛や悲観的になるものがある。


 楽しい事より苦労した思い出のほうが鮮明に覚えてる筈なのに彼女は・・・嘘を吐いた。


「・・・何のこと?」


「とぼけても無駄よ・・・二人はあんなに喜んで、信じて、愛していたのに貴女の瞳は淀んでいた」


 アスカ・・・この子は確信する、()()()()()()()()()()()


「・・・そっか・・・貴女には通じないか」


 観念が早い、最初からそうなることを想定していたのか彼女は魔法の結界を張るとここからは秘密にして欲しいと提案する。聞いていた話しとはまるで別人で凍てつくような口調で淡々と喋る。


 私は久し振りに禍々しい思いを感じた。私は正直に頷くと彼女は語った。


「・・・あの二人のせいで私は人生が滅茶苦茶になったんだ、だから罪を償って一生二人には()()()()()()()()を忘れないように仕掛けたんだよ?」


 アスカは“記憶”を失ったのでは無く“フリ”をしていた。


 全ては復讐の為に自分勝手で被害妄想を並べて彼女は本当の自分を突き出した。


「私の知り合いに殺し屋がいるの、そこで貴女を指名してユカリちゃんを殺すように仕向けた・・・でも貴女のせいで生きてしまった」


「サナエちゃんが所長の座を降りてくれるように知り合い経由で頼んだのに屈しなかった、変な化け物のせいで結果的には降りてくれたからいいけど」


「二人は私を完璧で何でもそつ無くこなす従順なお嬢様だって言ってた、私はそれが憎くてたまらなかった・・・だから私は二人の人生を巻き込んで一生忘れられない記憶を刻む為に沢山勉強して血と汗を流しながら壮大な計画を作ることに成功した」


 全ては復讐の為に、彼女は私に心の底にある黒く汚れた本当の自分を私に訴えた。


「私は・・・二人が思う程完璧じゃないんだよ」

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