ソフィアさんからの指示
「ソフィアさん、お仕事というのは…?」
「はい。その前にちょっとこれを見てもらえますか?」
そう言ってソフィアさんが取り出したのは1枚の絵、いや…「写真」だった。
その写真には僕の知っているどの建物にも当てはまらないものが映っている。
「この四角い建物は…? これってまさか……」
「えぇ、クリスさんが見たがっていた『異世界の建物』ですよ」
「やっぱり! すごいなぁ……」
これが異世界の学校なのか…木では出来ていなさそうだし、なんか不思議な感じだ。でもこっちの方が頑丈なのかもしれないな。
「しかしこれソフィアさん、いったいどこにあるんですか?誰が何のためにこんなところに?」
僕がそう聞くと、ソフィアさんがニヤリとした表情を浮かべる。
「知りたいですか?」「もちろん!」
「ですよねぇ~……実はですね、そう遠くもないんですよ。この建物を調査するのが今回の我々のお仕事、というわけです」
ソフィアさんの言葉に僕は思わず前のめりになる。
「やったー!!それならさっそく行きましょうよ!」
「まあまあ落ち着いてください、クリスさん。蛇の道は蛇と言いますし、ててさんを連れて行けませんか?」ソフィアさんの言葉に僕はハッとする。
確かにててさんはこの手のことに関しては僕たちよりもずっと詳しいのだろうけれど、あまり外に出なさそうだしなあ、箱の人だし……
「それは良いんですけど、ててさんはあんまり外に行きたがらない人だと思いますよ」
「大丈夫ですよ。ててさんならきっとわかってくれるでしょう」とソフィアさんは無責任なことを言う。
「う~ん……それじゃあ聞いてみますね」
「と、いうわけで今日はいったん家に帰ってもよろしいですよ。
『箱の家』でお昼を食べたらててさんを連れて、『校舎』へ向かってください。
わたしも現地で合流しますが、わたしが合流地点にいないからといって先に入っちゃいけませんよ」
「『こうしゃ』?」
「さっきの建物のことです。こちらの世界で言う学校の建物のことですね」
「なるほど、わかりました。それではまた後ほど!」僕はそう言って箱の家に帰った。