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ゲーミングチェア探偵がビームで犯人を破壊するまで@2,677,500と900秒  作者: あおいしろくま
第四章_探偵がビームで彼女誘拐犯○○を破壊するまで、あと900秒
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第46話「潮目」

 カンイチとユウの決闘は6ターン目を迎えた。

 ユウが展開したワイルド道具カード≪オモチャパンドラボックス≫によって、カンイチは劣勢に立たされつつあった。

 

 一度、眼を閉じて深呼吸をする。

 カンイチの手札に攻撃カードは残っている。

 しかし、前のターンまで展開していた道具カードは既にない。

今、散発的な攻撃を行うのは手札切れのリスクを高める結果に終わる可能性が高い。


「まだ、間に合うはずだ」


 焦りを抑えて、カンイチはこのターン行動しないことを選択して、準備フェイズを終えた。


『オープン』

『デュエル!』


 ユウはまたも3枚のカードをセットしていた。

 カンイチの防御姿勢の上から、2発の銃弾が体を貫く。さらに、少しリズムを外してもう一発。銃弾による攻撃は防御を貫く。分かってはいたが厳しい。

 よく考えてみれば、銃弾も、≪オモチャパンドラボックス≫のダメージも、防御が無効だという共通点がある。おそらく、そういう一貫した狙いなのだろう。


「運がいいね。殴ってくればカウンターしてあげたのに」


 ユウは吐き捨てた。

 三発目の攻撃は相手が攻撃していた時のみ、ダメージが上昇する特別なものだった。

 図らずも、カンイチはユウの狙いを外すことに成功していた。

 ただしそれは、裏を返せば、ユウにはカンイチの行動を読むことができなかったことを意味してもいた。


「強いけど、リカさんほどじゃないな」


 幸か不幸か、カンイチの呟きは対戦相手の耳には届かなかった。


 7ターン目。

 

 ドローしたカードを見て、ユウは顔をしかめた。


「ちっ、ねぇ、早く諦めちゃってよ」

「それじゃつまらないよ」


 カンイチは手札二枚をセットする。


「だから、僕は精一杯あがかせてもらう」


 ユウは歯噛みしながら手札をセットして、準備フェイズを終えた。


『オープン』

『コンバット!』


 ユウはカンイチと同じく二枚のカードをセットしていた。

 二人は同時に動き出す。銃に弾を込め、斧に力を込める。

 そして、カンイチは斧を大上段に振りかぶって、ユウへと突撃した。

 ユウは防御姿勢を取ることはできない。弾を込める動作が隙となっていた。

 斧は脳天へとヒット。大きなダメージを叩き出した。

 この攻撃によって、ダメージレースは逆転し、カンイチ有利へと傾いた。


 観客席で、ミノはほっと胸をなでおろす。


「冷静さは失っていないようだね。流石は助手クンだ」


 ワイルドカードは千差万別。効果は様々だ。

 しかし、カードゲームに存在するカードである以上、ある程度の方向性が存在する。

 例えば、一撃で多大なダメージを与えるもの。

シンプルでいて、最も危険なのがこのタイプだ。

事前に想定できないというワイルドカードのメリットをわかりやすく引き出すことができる。知らないところから突然飛んでくる大ダメージはほとんど交通事故のようなものだ。

普段のミノが好んで用いている≪白天≫なども、ここに分類される。

……と、いうことになっている。

あるいは、攻撃以外の方法で、一度限りの強力な行動を行うもの。

自分がたくさんカードを引いたり、相手の手札を捨てさせたりするものが多い。デッキに入っているカードの性能をより引き出すことに主眼を置いた、ある意味で王道なタイプと言えるかもしれない。

そして、ちびっ子が使用した≪オモチャパンドラボックス≫はルールへと干渉する効果に分類されるだろう。あのワイルドカードは疑似的に道具カードを攻撃カードへと変える効果を持っている。

この手のワイルドカードは一撃必殺タイプに輪をかけて、初見殺し要素が強い。向こうが交通事故だとすれば、こちらは災害。被害が大きく、長く続くことが多い。

一方で、自分のデッキとうまくコンボすることができなければ、十分な効果は発揮できない。さらに、対戦相手にアドリブ力を要求する、特に癖の強いタイプと言えるだろう。

つまり、ルール干渉型は決闘者の実力やプレイがとても大事になる。


「強くなったね」


得てして、強大な効果にミスプレイをしがちにもかかわらず、冷静さを保っている助手に感心していた。

カンイチが決闘者としての力量を示す中、彼ではなく、隣の観戦者に注目している人物がいた。執事である。

 ずっと、ひそかにミノの様子を確認していた執事は、一度、決闘場へと視線を向ける。

 唇を噛むユウの姿を一瞥し、口の中で小さく悪態をついた。


「潮時か……」


 そのまま、執事は音もなく観戦席から姿を消した。

 ミノも執事の異変に気が付いていた。

 それから五分後、観戦席から人影は消え去っていた。


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