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ゲーミングチェア探偵がビームで犯人を破壊するまで@2,677,500と900秒  作者: あおいしろくま
第二章_探偵がビームで後輩ビギナーを破壊するまで@××秒
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第14話「布教のために②」

登場人物

貫一/彼女を探す大学生。非ゲーマーだった(過去形)。

箕/ゲーミング探偵。1024色に発光したりはしない。

 貫一はヴィヴと面会したその足で、箕のマンションへと向かっていた。

 ここ一週間ほどの付き合いで箕が夜行性だということはわかっている。


「昼間にあの状態だったら、普通の依頼人はほとんど来れない気がするんだよな。お金はほとんど取らないって言ってたし、どうやって生活してるんだろう」


 道すがら益体もないことを考えながら、貫一は箕の元を訪ねた。

 理由は≪ADGs≫についてより詳しく教えてもらうため。

 元は、ボスを頼るつもりはなかったのだが、こと≪ADGs≫に関することなら、彼女に相談するのが一番早いと考えた結果であった。

 加えて、決闘をチラつかせれば「面倒だ」とは言わないだろう、という打算がカンイチの中にあった。

 そんなわけもあって、カンイチは箕の部屋で開口一番にこう切り出した。


「このゲームってどこが面白いんですかね?」

「それはどういう意味だい? 私に喧嘩を売りたいのかな?」


 しかし、言葉のチョイスを誤ったことで機嫌を損ねてしまう。

 箕は「『相手になる』とばかりに、虚空に向かってシャドーパンチを繰り出している。


「すいません、そういうつもりじゃなかったんです。今、布教に苦戦してて」

「布教……。確かに、前に声を掛けたという後輩女子はまだ現れてないね」

「はい。それで今は、改めて布教するための手立てを探しているんです。前はヴィヴさんにもお話を聞かせてもらいました」

「へぇ……そうなのかい。よくOKしてもらえたね。あの子もああ見えて結構忙しいはずなんだけど」

「ええ……、その……ちょこっと対価を差し上げまして」

「対価ねぇ……。決闘とか? いや、それだけじゃあちょっと気前が良すぎる感じがするねぇ」

「流石ですね! 探偵って感じです」

「よしたまえ、これは、ただあの子とはちょっと付き合いが長いだけだよ。それで本当は何を対価にしたんだい」

「それは、箕さんの……あっ!」

「ほほう? 私の……何だい?」

「箕さんの……毎日晩酌をしている話をちょこっとしゃべっちゃったかな……みたいな……」

「…………」

「箕さんの秘密を教えて欲しいと言われまして……すいませんでした」


 無言になってしまった箕。彼女が発する圧を貫一は確かに感じていた。

 冷や汗をかきながら、お供え物よろしく、エナドリを持ってくる。

 箕は無言のまま、それを一気にあおった。


「はぁ……。全く君というやつは、馬鹿正直というか……。黙っていればいいじゃないか」


 高い音を立ててエナドリの缶がテーブルに突き立てられた。

 びくんとカンイチが震える。

 箕は深いため息をついて顔を上げた。


「しかし、そういうところも君の美点なのかもしれないね」

「箕さん……許してくれるんですか」

「で、私に聞きたいのは決闘の面白さだったかな? ちょうどいいから向こうで教えよう。ログインしたまえ」

「マジですか!? ありがとうございます!」


 どういう風の吹き回しなのか、貫一には分からなかったが、相談にも乗ってくれるらしい。

 早々に自分のヘッドセットを被ってしまった箕の後を追うように、貫一は急いで≪ADGs≫へとログインした。


 所変わって、≪ADGs≫内、長月探偵事務所の畳の間。

 箕は実際に決闘を行いながら、話をするつもりのようだ。


「来たね。それじゃあ早速始めようか」

「ありがとうございます」

「そんなにかしこまる必要はないさ。助手クンからのたってのお願いだ。これくらいお安い御用さ」


 箕は笑顔で答えた。いつも決闘を始める前に見せる、獲物を狙う肉食獣のような笑み。


「もしかして怒ってます?」

「全然」


 依然として、箕は笑っている。

 それを見て、なぜだかカンイチは背中に冷や汗をかいていた。


「ちなみにだけど、今日はスパルタで行くからね。キッチリついてきてもらうよ」

「やっぱり怒ってる……」

「何か言ったかな?」

「いいえ。言ってません!」

「……まぁいいさ。まずは講義からだ。私が思うに、決闘の面白さは四点。つまり――」



月、水、金の週3回投稿予定。

次回は第15話「まず決闘」。2021/02/26(金)投稿予定です。

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