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眠り猫は抱き枕を離さない  作者: しんら
2/30

1.

 

 誰かの声がする。


「...ディアさん、リディアさん」


 ぐっと意識が引き戻される。


「リディアさんっ、大丈夫ですか...?」

「え...」


 まばたきを数回。

 わたしが居るのは見知った職場。

 肩を掴んで軽く揺さぶっているのは後輩。



「あ...ああ、ごめん。...なんだっけ?」

「顔色が悪いですよ」

「え」

「少し休んだ方がいいです。休憩室行きましょう」



 あれ?この金髪の美少年は誰だっけ?


 立てますか?足元気をつけて、などと言いながら、手を貸して肩を抱いてわたしを部屋の外へ連れ出す。


 いや、まじで誰だ。


 後輩...なんだけど、名前が思い出せない。

 ていうかわたしって、リディ...?

 えっと...ここって日本じゃないよね。



 ふらつく体を支えられ、ぼんやりした思考のままたどり着いたのは狭い部屋。


「さ、少し休みましょう」


 ベットとサイドテーブルがあるだけのシンプルな室内。

 ベットに座らされ、なんとなく手のひらで額を抑えるとすかさず声がした。


「頭痛します?風邪かな?」


 美少年は甲斐甲斐しくわたしの世話をする。


「横になってください。少し眠りましょう」


 いつの間にか靴を脱がされ、体を横たえられている。

 なんという早業。何がなにやら分からない。

 でもこれだけは言える。

 美少年よ、お姉さんはそう簡単には眠れないんだ。

 それでも目を閉じていると、少ししてそっと額を撫でられた。

 冷たい手。

 その時ふわりと漂った香り。


 あ...いい匂い。


 そう思ったのを最後にわたしは意識を手放した。

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