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米軍新兵教育資料"Z" 全訳 終

透「えぇ…」

 ……はい。皆様十五分振りの再会をうれしく思います。誰一人欠ける事なく授業(プログラム)を再開できる事は、ワタクシにとっても我がアメリカ軍にとっても幸運なことです。


 さて。早速ですが始めましょうか。


 次は【進化個体】に関する説明となります。


 と、言ったものの確認されているのが確定一種類。未確定かつ一体しか確認されていない稀少個体の二種類だけなのですが。


 特に稀少個体の方は完全に都市伝説(アーバンレジェンド)かスリーピィホロウの類いですからね。最後に説明いたします。


 まずは≪ファンガス≫について説明していきましょう。今AR画像を表示いたしますね。


 ……おや。バイタルの悪化が予想より低いレベルですね。


 はい。見てわかる通り、今までのゾンビ達とは全く異なった外見をしています。


 枯れ木か朽ち木のように首から下は細く、荒れ果てた肌をしています。

 それに反して頭部は膨れ上がり、キノコの傘の様な突起物がいくつも形成されていることがわかりますね?


 この突起物はほぼ全てが純粋な"Z(ズィー)"で形成されており、ここから大量の胞子を発生させることを可能としています。

 また、後に説明しますが索敵にもこれを利用いたします。

 この胞子は全てが"Z"の子株となっているため、吸引してしまうと感染を引き起こす危険物質です。更に、これによって感染した人間はほぼ間違いなく≪ベヒモス≫へと変異することが確認されています。


 おわかりですね?つまり、新たなファンガスが生まれると言うことです。


 この胞子は日光に当たると約三日で無毒化することが判明していますが、その性質ゆえにファンガスと遭遇するのは間違いなく建造物や自然洞窟など日の光が届かない場所の中での事となります。


 バンカーバスター等で引き籠った場所ごと破壊するのが最も効率が良いのですが…それができないのは子株の飛散する危険性が高いからです。先程も申し上げた通り、無毒化まで三日はかかりますので空気中に飛散した場合、大量感染を引き起こす可能性があるからですね。


 ただし、雨天時は全く飛散しないためそれを利用した作戦も行われております。

 授業前半にてゾンビが水に濡れる事を異常に嫌うと述べた事を覚えておりますか?この忌水性とも言うべき性質は"Z"がファンガスとなった時に雨天時胞子を飛ばせなくなることに関連していると考えられています。

 奴らがどのようにしてそういった知識を得ているのか。それは謎に包まれていますが。


 さて。先程も申したばかりですが、ファンガスとの戦闘は基本的に屋内戦となります。

 作戦はES兵を主力に組み立てられる事がほとんどです。歩兵は後詰めとして化学防護服を着用のうえ屋内清掃に駆り出される場合がほとんどですね。

 ESもベーシック・ヘルメットではなく、対汚染を想定したP型(type-p)に換装される事になります。

 また、狭所での戦闘となるため【格闘剣(グラディエーター)】をメインウェポンに、【12,7㎜突撃銃(ケラウノス)】をサブウェポンとしたN装備での出撃となります。


 さて。交戦時の注意事項へと移りましょう。


 まず、第一に見た目からは想像も付かないほどファンガスの身体能力は高くなっています。≪飢餓≫にあるゾンビと同じように飛びかかる等の行動も見られますので十分注意をしてください。


 次にファンガスの索敵能力についてです。

 画像を見てわかる通り、ファンガスに進化した個体は視覚と嗅覚を失います。

 その代わりに、異常なまでに発達した聴覚とその頭部より発する"クリック音"を利用した反響定位――イルカやシャチに見られる音による索敵を行います。


 次の画像はファンガスの頭部瘤(とうぶりゅう)を解剖したモノになりますが、中心部に白い物体が有るのがわかりますか?

 これは、"Z"が成長・露出したさいに中へと取り込まれたと考えられている頭蓋骨の一部です。

 見てわかる通り、これが複数個納められていますね?これらをこすり合わせることによって"クリック音"を発していると考えられています。


 この音が聞こえ始めた時には、ファンガスによって発見されている。そう考えて行動するようにしてください。


 そして、殊更厄介な点が≪ベヒモス≫が有していた再生能力を本個体が受け継いでいる事です。

 いえ、更に向上したモノを有している。そう言うべきでしょうか。


 頭部を破壊したとしても、油断をしないようにしてください。頭外部に露出している頭部瘤によって中枢たる脳を保護していることも相まって歩兵の主力たる【5,56㎜弾】では有効打はまず与えられないと考えていた方がいいでしょう。

 また、頭部瘤に攻撃を加えると大量の胞子をばらまき始めます。これ自体はP型換装を行ったES兵に打撃を与えることはまず無いのですが、問題は普段精製している子株を含んだ胞子に比べてその直径が細かい点です。

 ええ、何名かは気付いたようですね。粉塵爆発を引き起こす可能性が非常に高まりますので、誤って頭部瘤への攻撃を行った場合、すみやかにエレメントへの報告を行ったうえ銃撃の中止を具申することをお忘れなきよう。


 以上の事から【格闘剣】がメインウェポンとして選択されるのです。頸部を破壊すれば行動を停止すると言うのはゾンビの頃から一切変わっていませんからね。



 さて。正直ここまでで説明を終わってもいいのですが…。折角なので稀少個体≪グリーンマン≫についても軽く触れておきましょう。


 最初に言いましたが、こちらに関しては≪ファンガス≫と違い日本国内にて一体のみが確認されただけで、他地域での存在は一切確認されておりません。


 画像も撮影できておりませんので、証言を元に作成されたイラストを表示いたしますね。


 はい。見てわかる通り全身を緑色のコートに包み、全く顔を露出していません。これは、ゾンビへの転化前から変わらずにこの姿をしていると言われています。

 そして、最大の特徴は見ての通り巨大なマシェットを持っている点ですね。


 なんと、武器を使う個体なのです。


 しかも、証言によりますと"瞬間移動"を使うと言われています。ちなみに、結構な数の証言が上がっていますのでこの能力に関しては確定で持っていると考えられています。


 そして同時に、この個体は比較的安全な個体としても知られています。


 まず、普通の生存者や軍人と出会っても無闇に襲いかかる事はありません。一切感染のために行動しないことから【極点個体】――進化の袋小路に入り込んだ個体だとも言われていますね。

 実際に自衛隊と一度コンタクトした際は、襲いかかることも無くフラフラと離れていったとされています。


 では、どのような人間に襲いかかるのか?

 それは、女性に対して無体を働いたバンディットのみだと言われています。

 実際に、かなりの数のバンディット・グループが日本国内にて本個体に壊滅させられているそうです。

 そして、囚われた女性には一切手をつけることなくその場を去っていくそうです。


 そして、これは男性諸兄には非常に恐ろしい話なのですが……壊滅させられたバンディット達の睾丸は残らず破壊されているようですよ?


 誇りある米軍兵士の方々は、女性に無体を働く事など無いとは思いますが…もし、そんなことをしたらグリーンマンに襲われるかもしれませんよ?


 フフッ。ジョークです。


 さて。二日間に渡って行われました"Z"に関する授業もこれで最後となります。


 明日からはVRを用いたES初期講習を。そして、実機訓練を経て貴方達もまた人類を救う英雄となるべく、危険きわまりない任務へと赴く事となるのでしょう。


 その際に、ワタクシの語った事が少しでも貴方方の生存の一助となることを願っています。


 これにて、二回に渡り行われた授業を終わります。

 また明日、座学にてお会いしましょう。


 それでは、良い一日を―――



≪授業行程の終了を確認いたしました。タブレット同期を解除したのち、――……≫

11/8(金)投稿。

拙作をお読みいただきありがとうございます。

もしお気に召しましたら、ブクマや評価。感想などいただければ、作者のモチベーションがぐいぐい上がりますので、是非よろしくお願いします!!


透「なんでさ…」

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