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影
女性を見た。
可憐に笑う女性だった。
その女性には脚が無かった。
それでも彼女は笑っていた。
車椅子に座り、木々と触れ合い、空を見ていた。
雲ひとつ無い青い空を見ていた。
僕は彼女に笑っていて欲しかった。
ただ
それだけだった。
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影がある。人の形をした影だった。男か女かは分からない。影はひとりでに動き出した。主人を持たないその影は人を殺した。両親、友人、僕に関わった全ての人達を殺していった。影は僕の前に立った。次は僕の番だ。殺される。不思議と恐怖は無い。理由は分からない。ふと自分の足元を見ると、そこにあるはずの物が無かった。
あぁ、この影は僕だ。僕自身だったんだ。
影は僕を飲み込み、そして消えていった。