00-最後に
数年前、ある映画を見ました。そのときに感じた『衝撃』が、この話を作る原動力になりました。登場人物や一部設定は、その映画がベースになっています。
この話は、映画に対する、私からの『回答』です。
これから、彼女達が眠りに就く。この国にしてみれば記念すべき瞬間だ。
そして、僕にとっても、とても大切な瞬間となる。
だから、僕はこの数日を振り返っておこうと思う。僕が、彼が、そして彼女が、何がしたくて何をしたのか、それを書きとめようと思う。
だけど、それにはここ数日間だけの話じゃ駄目だと気が付いた。振り返るなら、もっと前。そう、僕たちが中学生だった頃から始めないといけない。
あの時は気が付かなかったけれど、僕たちの物語はあの時から始まっていたのだ。そしてたぶん、今この瞬間も続いている。
明日から、また新たな物語が始まる。そしてそのためには、これまで続いてきた物語を終わらせなければならない。だから僕は、ここに記しておこう。僕たち4人と、それを取り囲む大人や世界の話を。
僕の名前は、藤川ヒロキ。高校2年生だ。
始まりは、そう。僕たちが中学3年生になったばかりの春まで遡る。