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1:始まりは突然に

台詞回しが口説い気がしたので修正。

 目が覚めるとそこは青でした。


 見渡す限りの青、青、そして混じる白。私がそれを広大な空だと認識するには些か時間を要しました。だって、こんなの私は見たことない。

 私が知ってる現実はこんな綺麗な青空ではない。排気ガスやらで空気は汚れ、ビルが建ち並び、今見ている青だけの光景なんて見れないのがいつもみていた世界。


  ここ、どこ?


 喋ったつもりだった。でもなにかくぐもった感じ。というかなにこれ、喋れない?

 視界をぐるぐる回す。これはしっかり回ってくれた。どうやら山の上?っぽいところにいるようだ。でも山の上といっても緑豊かな山ではなく、岩肌が露出した窪みのようなところ。

 ゲームとかに出てくるモンスターの巣のような…そんな場所を彷彿とさせる。そうやっていろいろ確認してるとあることに気づいた。

 視界は回るけど体はあんまり動かない。見た感じ知ってる場所でもない。誘拐も考えたけど私はふつーの一般人。誘拐される理由も思い浮かばない。

 というか今、体ってどうなってるんでしょう。視界を回しても、視界に入ってくれないんですけど。


  あれ?これって然り気に危険なんじゃない?


 と、とりあえず現状を把握するのが大事です。こういう時は慌てては行けない。落ち着け、私。確か私は昨晩、コンビニで買い物をしました。それを夜食に仕事を進めて――


  ……そこからの記憶がないんですがどうしましょう。


 困りました。最後の記憶が仕事っていうのはちょっと残念なのではないだろうか。いや、そんなことより今の状態だ。

 知らない土地。現代でも探せばこういった自然豊かな空が見える場所が見つかると思う。ネットとかで見た気がする。

 体は割とぽかぽかしてる。山っぽいところだから寒いものだと思ってましたけど温かいものですね。でも体が見えないのは怖い。一体どうなってるんでしょう。あ、でも意識するとわかってきた。これはえ――。


 ズズーン!


 ようやく体を把握できると思った矢先にソレが舞い降りる。巨大な体躯は金の鱗に覆われ、肩に位置するであろう場所には大きな翼が生えている、その生物。


  これはひょっとして、ドラゴンという奴なのではないだろうか?


 そう認識した瞬間、全身に冷や汗が沸き立つような感覚におちいる。自分よりも遥かに超越する空想上の生物。それが目の前にいるのだから、気を失わなかっただけ大したものなんじゃないだろうか?

 そんな適当な事を思っているとそのドラゴンが顔を近づけてきます。

 ビックーン!っと体が跳ね上がる感触。あ、体ありましたね。良かったです。そんな私の前で開かれる口。


  た、食べられる!?


 逃げようと体を動かそうと色々考える。そんなことをしても体は言うことを聞かず、ただ捕食されるのを待つばかり――。


 ペロリ。


 ――うん?


ペロリペロリ。


 目の前を撫でるドラゴンの舌。しかしその舌は私に当たる前に逸れ、そして丹念たんねんに舐められる。

 その舌がなぞる軌跡には見覚えがある。私を中心に楕円を描くそれは――。


  どうやら私は、ドラゴンの卵になってしまったらしい。

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