一人前の冒険者
紆余曲折あり、俺とソニアの冒険者ランクが6になった。夏美ちゃんとテレシアが7、シンヤさんは8だ。
リーダーである俺のランクが6になったため、様々な特典が付くそうだ。
アイテムポーチの贈与、系列の施設の割引、護衛依頼の解放、1日一杯のドリンク無料、情報紙の配布、迷宮都市の迷宮への入場許可など。
系列の施設は、酒場とか、薬屋とか、宿屋とか、娼館とかある。
酒場はたまに利用するし、商人さんのとこから食材買ってたりするから結構嬉しいな。
薬屋と宿屋は関係ないな。俺、家持ちヒーラーだから。しかも商売で稼いでるから。
娼館は…先週、シンヤさんと行った。
商人さんのとこで例の避妊具を娼館向けに売ってるから、病気の心配はないさ。ドワーフの子、可愛かったなぁ。エルフの上から目線も良いけど、ダークエルフのお姉さんぽい雰囲気もたまらんかった。獣人、とくに犬獣人のスキンシップはすごかった。なんでそんないろんな種族のこと言ってるのかって?…俺って結構お金持ちなんだよ?
てなわけで、まぁ、割引は気持ち嬉しい程度だ。護衛依頼はあんまり魅力を感じない。うちのチート共の実力はあまり人に見られたくないし。強い力って絶対にイベントを引き起こすから。ドリンク無料てそれファミレスのポイントカードみたいだな?これは超絶地味に嬉しい。どちらかというと嬉しい。無料はいいよね。でも1銅貨だせば炭酸ジュース飲めるんだ。
そしてそして、気になったのは迷宮都市ですよ。ですよね。
「迷宮都市というのは、迷宮を囲むようにして出来た都市のことですわ。都市の中央に見上げられないほど高い塔が聳えていて、地上部分に入り口がありますの。みんな最初は驚くのですけれど、実は塔の上だけでなく、下、地下も迷宮なのですわ。上の一層目と下の一層目の間、入り口のある部屋はフロアと呼ばれ、魔物が湧かないため、迷宮冒険者たちの憩いと情報収集の場になってますの。」
はい、ソニア先生の迷宮都市講座でした。
例に漏れず階層を重ねるほどに敵が強くなっていき、地下より地上のほうがすこーしだけ強い敵が湧くので、地下一層、地上一層、地下二層、地上二層と交互に攻略して実力をつけるのがセオリーだそうだ。
一層目でもグレイウルフやストーンタートルなどの地味に厄介なモンスターが群れで徘徊してるそうな。だから6級からなのか?
「地上、地下共にまだ踏破されてませんの。現在は地上地下共に50階層でボスに足止めされているそうですわ」
ふむ、ボスなんてのもいるのね。10階層ごととかかね。
ゴブリンキング討伐の隊にヒーラーとして参加したことあるけど、あんなのがでてくるならボス戦は大変だぞマジで。後衛なのに腰抜けたわアレ。俺は戦えないね。
ともかく、迷宮か。迷宮はロマンだよな。行ってみたい。
ここから王都へ行き、さらに2つの街を超えたら迷宮都市だそうだ。
王都まで4日、そこから街へ4日、次へ4日、更に4日。滞在を含めたら20日ぐらいかかんだな。大変だなぁ…
そんなに開けると、商人さんはともかくアレン君が大変そうだな。明日にでも相談しよう。
よし、すべては明日決めよう。今日は6級の依頼を受けてみるよ。
「ストーンタートルのいた岩場の更に奥にいくと、谷があって、その先は砂漠になってるらしい。谷の底に生えてるパイナップルみたいな植物を取ってくるのが今日のミッションだ。」
谷底までは軽い坂なので降りるのには苦労しないが、そこには特有の魔物が湧くそうだ。
ゴブリンより強い魔物がいる中での採取は大変そうだ…が、このメンツだと余裕も余裕だろうな。
ともかく、みんな準備した。シンヤさんの武器は杖だ。基本的にゴーレムを操作するので、至近距離まで近づかれることはそうそうないが、万が一の時には杖は仕込み剣になってるのでそれで応対する。
鍛冶師さんの傑作だそうで、刃のつよさも申し分ない。
「じゃ、いきますか。今からだったら帰りはギリギリ今日中かな…」
結構遠いからな。谷の手前まではマウンテンバイクでいくぞ。
さて、谷についた。砂漠に向かって風が吹いてるので、砂が飛んでくることはない。ていうか、想像したまんまの砂漠でちょっと感動。…うわ、なにあれ、でっかいワームだ。砂漠無理、絶対死ぬ。
「さて、さっさと集めて、さっさと帰って風呂入ろう。」
「風なくても結構埃っぽいね…マスクしててよかった」
「首のあたりがぁ、なんだかチリチリして気持ち悪いですぅ」
首のあたりってそれ、デュラハン的には大丈夫なのかな?
パイナップルもどきを探して、谷を彷徨う。ちらほら魔物がいるけど、ヴァンの威圧で逃げていく程度のばっかりだ。フラッシュラビットは小さいし食えないから逃げてもらって構わない。ホーンラビットはできれば仕留めたい。あれ、毛色が違うな。亜種みたいなもんか。よくわからんカタツムリ的な何かは殻から触覚めっちゃ生えてる。キモい。こいつは塩かけたら倒せるんだよな。殻が建材の材料になるそうで。一応塩かけて殻とっとこ。
ストーンタートルの亜種のフレイムロックタートルも居る。こいつは水かけたら甲羅が割れて雑魚になる。ソニアが水魔法を使って処理。これは砕いて薬液と混ぜて固めると防具の素材になる。ストーンタートルとおんなじだな。こっちはストーンタートル防具より火耐性がある。熱しにくいし、火を寄せ付けるそうだから、防具外の火傷を軽減できる。不思議。
「ファンダジーしてるなあ…」
「ですねー。やっぱ世界は広いなぁ」
宙に浮くムカデがいた。吐きそう。ヴァンのアイスバレッドで一撃だった。見た目はやばいのに雑魚か。いや、ヴァンが強いのか?
そんなこんなで探索して1時間。そろそろ休憩するかと思った矢先に、パイナップルもどきの群生地を見つけた。
「たしか、20個の依頼だったよな。……50個はある。40個持って帰るか。」
10個残ってれば、また増えるでしょ。
早速実を切り離して、スマホに収納…いや、アイテムポーチに収納する。みんな笑顔だ。異次元収納はロマンだよな。
さて、ここで一旦休憩して…って、なんかでかい影が……?
「…あれって、なに?」
「ああ、ワイバーンですわね。」
え?




