表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/42

変わらないものは在るか

新しい転生者視点からです



俺は、劣化するものが嫌いだ。

昔からそうだった。捕まえた虫はどれだけ丁寧に育ててもすぐに死ぬ。食パンは適切な保存環境でもカビが生える。家電はメンテナンスを怠らなくとも、数年で使い物にならなくなる。


そして、人は、簡単に死ぬ。

おじいちゃんもおばあちゃんも、あんなに元気だったのに、ポックリと、急に亡くなった。

お父さんも、お母さんも、病気で逝ってしまった。

兄は肥え太り、弟は不摂生で病院通い。

友達はだんだん離れていく。友情なんてのも、劣化するのか。


そして、俺は、自分が嫌いだ。

俺自身も、劣化していっている。

鍛えたつもりの体は日々衰えていき、綺麗に整えてるつもりだった髪もボサボサになっている。

子供の頃にはなにをしても楽しかった気持ちが、今はもう擦り切れて、劣化して、どこにも残っていない。


男の癒しは、自身の趣味である、人工知能の育成だ。

データは劣化しづらい。あらゆる手を使えば、劣化よりも進化のほうが上回る。

男は、人工知能を自ら作り出し、合成音声を充て、会話ができるまでに育て上げた。

とはいえ、所詮は人工物。感情はない。だが、感情は劣化するものだ。ないほうが良いに決まっている。


「じゃ、行ってくるよ、アイン。」


『いってらっしゃいませ、シンヤ様』


俺は人工知能、アインに外出を告げる。

行ってらっしゃいとは言うが、スマホの方にもアインは居る。外では使うことがないから、形としては行ってらっしゃいで間違ってはない。


くたびれた靴を履き、車検の近い車に乗り、ガソリンメーターを確認して溜息をつく。

買い物に行く前に、ガソスタに行くべきだな。





ガソスタについた。いつもより混んでるな。気が滅入る。

4つのスタンドがあり、俺の前には2人待ってる。お、2つ空いた。次は俺だな。




運転中と違って気を抜いていたのがいけないのか?

側面から爆速で突っ込んでくるトラックに気づかず、アクセルを軽く踏み、前の空間に進む。瞬間、目の前が真っ赤に染まる。


俺は、脆くて、弱くて、衰える、人間の体が嫌いだ。

一瞬で全身が砕け、間も無く、死が訪れる。


死は、嫌いだ。

俺が劣化するたびに、死の恐怖は増していく。

俺は劣化するのに、なぜ死は劣化しない?

死は絶対なのか?不変なのか?

俺は、何故、不変ではないのか。


死は、どうして、俺を見捨てないのか。










「ここは、どこだ」


さっき、俺は、トラックに、潰されて…


あの女は誰だ?


「ここは、なんだ?」


「落ち着いてください、シンヤさん。私はフィリアスナート。女神です。貴方は死んだ。魂をここに招待した。ここは、私の部屋です。」


俺は、死んだ。そうだ、死んだ。

ここは、白い部屋だ。机と、椅子しかない、白い部屋。


「なぜ俺を、ここに?」


「貴方には、もう一度生きてもらいたいと思いまして。」


意味がつかめない。

そもそも女神とはなんだ。

俺は死んだ。もう一度生きる、とは、よみがえるというのか。それとも、死んでない事になるのか。


「貴方は、死にました。ですが、貴方にはまだ生きたいという気持ちが見えます。元の世界での死は覆せませんが、私の世界。貴方の立ち位置でいうと、異世界で生きてもらいたいのです。」


異世界で、もう一度生きる。

昔、ファンタジー物の小説を好んでたことを思い出した。

俺も異世界で、自由に生きたいと思ったことがある。


「異世界で生きる、理由は?」


「とある人の手助けをしてほしいのです。」


「とある人とは?」


「若い少年です。後ほどお会いできるでしょう。」


「俺のメリットは」


「30代後半頃の見た目まで巻き戻し、とある魔法を使えるようにし、私の加護を受け、かつ、種族を変えて長生きするようにする…他に欲しいものはありますか?」


30代後半頃は、俺が一番、体に気を使ってた頃だ。筋トレや美容などもした。自分で言うのもなんだが、渋い大人って感じだったな。

そして、魔法か。魔法は興味あるな。なんて言ったって、ロマンだ。生前の世界にはなかった。

加護はよくわからんが、種族を変える…多種族がいる世界なのか。


「使える魔法について教えて欲しい。」


「貴方に与えるのは、土魔法、金魔法、氷魔法…の、ゴーレム特化編成と、付与魔法ですね。」


ゴーレムか。確かに、ゴーレムは一番好きなファンタジーだ。従順で、劣化せず、力強い。憧れだ。

付与魔法は、エンチャントってやつかな。エンチャントと言ってもいろんな設定の創作物があるから、どんなものなのかわからない。


「種族は、なにになる?」


「エルフですかね。寿命はとても長く、魔法との親和性が高い種族です。自己治癒力が高く、回復魔法の効きも良いため、状況によっては非常に頑強でしょう。」


エルフは脆いイメージがあるが、そんなことはないんだな。


「で、女神様のメリットは?」


「私は、件の少年への恩返しですよ。一飯の恩ってやつです。もちろん、貴方が異世界行きを拒否したなら、貴方を元の世界の輪廻に送り返し、他の魂を呼び寄せますけど。」


俺は、どうするか。

異世界はとても気になる。知識は劣化しない。新しい出来事に出会える機会は大事にしたい。

ゴーレム生成も、夢に近づけるかもしれない。俺の夢は、元の世界では難易度が高かった。主に、金銭面で。

異世界。どうせ生まれ変わるなら、新しい世界がいいよな。記憶を持ったままなんて、2度と体験できることでもないだろう。


「わかった。あなたの世界に連れて行ってくれ。」


「では、シンヤさんの魂をいじくりまわして、いろいろくっ付けたら、ユウスケくんのとこに連れてくね。あー疲れた!ケーキ食べたい」


…あれ、女神様ってこんなんだったか?

まぁ、なんだ。もう後戻りはできない。俺は意識を手放し、女神様の御手に包まれた。








ーーーーーー

ーーーーーー





「あ、女神様、お帰りなさい」


女神様が帰ってきた。

新しい転生者を迎えに行くと言って部屋を出て、数十分か。

その間に俺はお茶の準備をしていた。ケーキ、紅茶を買って出しただけだけど。この部屋にはポットがあったから、紅茶はそれでいれた。使用許可はもらっている。


「はいただいまー!いやあ、やっぱり丁寧な説明ってつかれるね。さ、そろそろ新しい子もくるし、来たらケーキ食べよ!」


「あれ、そういえばこれって精神体ですよね。精神体でケーキ食ったらどうなるんです?」


「あ、味はわかるけど、体にはたまらないね。戻ったらちょっと違和感あるかも?」


まぁ、ちょっとぐらいなら構わないか。


おっと、新しい椅子が生まれ、その椅子に光が集まってきた。

新しい転生者、かな。


「ん…ここはどこだ」


「あ、シンヤ君、調子はどう?」


「女神様…ああ、凄く調子がいい。力が漲るな。」


「あ、こっちがユウスケ君ね。仲良くしてやってね!」


「あ、ユウスケです。よろしくお願いします。」


「俺はシンヤだ。これからよろしくな、ユウスケ。」







渋いイケメンおじさんエルフきたー!!!!!????!?

イケシブおじさんにはそのうちオートマタメイド部隊をつくってもらおうと思います。そのうち。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ