ジャンク感
春。
こっちでは「寒波開けの季節」とか言うらしいが、誰がなんと言おうと春だ。
なんと、こっちにも桜のような木があるらしい。王城の庭園に植えられているとか。
王城だと、花見は無理だなぁ。最強ものの小説だと、王族と仲良くなって王城に自由に出入りできるとかありそうだけど。
花見はそのうちってことで、今日はバーベキューをする。
昼飯はハンバーガーだ。夕飯はホーンラビットのグリルだな。
「じゃ、ソニアとヴァンはみんなを迎えに行ってくれ。夏美ちゃんは器具の点検、テレシアは外に席をつくってくれ。」
「ヴァン、行きますわよ!」
「ワンッ」
「ハンバーガー楽しみだなぁ」
「あ、お席はぁ、何人分ですかぁ?」
「あー、7人分か?いや、エルマさんが来てたから8人分だな。」
皆が来る前に、ハンバーガーを作り始めておこう。今日のバーガーはジャンク感満載だぜぇ。
パティに使う肉は、ビーフ100%だ。ビーフと言っても、跳ね牛だが。跳ね牛は名の通り跳ねる牛だ。そんなに高く跳ねないので、普通の牛と同じように育てられている。脚力はすごく強いので、怒らせると危険。当たり前か。
まずベーコンを焼いておく。これはアマソンで買った、ちょっとだけ高いやつ。
跳ね牛のミンチをこねくり回し、塩、胡椒、粉末ニンニクで味をつける。適当にな。
適当に形を整えて、温めておいたグリルで焼く。
両面焼けてきたら、チーズをドサっとのせて溶かす。その上に焼いたベーコンを載せる。
もうこれだけで食えるわ。脂の匂いがすごい。
バンズを軽く焼いて、バターとマスタードを塗る。
レタス、トマト、玉ねぎをのせ、焼いた肉を乗せて、その上にフライドオニオンとフライドガーリックをのせる。
「おお、ジャンクフードって感じ!」
ついでにフライドポテトと、女の子たちのサラダをつくろう。
フライドポテトは冷凍のを揚げて出来上がり、サラダはレタスと紫玉ねぎ、クルトンを混ぜて出来上がり。
商人さん、アレン君、鍛冶師さん、エルマさん。皆が揃った。
鍛冶師さんも、俺の秘密を知っている。一応、秘密を守ることは女神様に誓ってもらっている。
「さて、みんな座ってくださいねー。フライドポテトはセルフだから、好きなだけ食っていいよ!」
「おー、これが本物のハンバーガーっすか!」
「ユウスケ君、呼んでくれてありがとね。…これがハンバーガーかい。本で見るより食欲をそそるねぇ。」
「おいユウスケ、酒はあるんだろうな?」
「お酒ならもってきましたよ。ユウスケさんに卸してもらったのではなく、こっちのお酒ですけど。」
本当は手で掴んで食べるんだけど、一応ナイフとフォークも添えている。
男性陣は手掴みで食いそうな雰囲気だけど。
お酒は、いろんなビールをかっておいた。果物ビールって飲んだことないんだよなぁ。苦くないのかな?
あと、子供用に炭酸ジュースも買っている。俺は大人だけどサイダー飲むからね!
「ソニアとヴァンもお疲れ様。ヴァンには特製のハンバーガーがあるからね。」
アイスウルフは玉ねぎを食っても大丈夫なんだけど、ヴァンは玉ねぎもレタスもトマトも嫌いなので、パティ三段のバーガーをつくってやった。
ちなみに、アレン君、鍛冶師さん、テレシアのバーガーは二段パティだ。
「さ、冷めないうちに召し上がれ!」
「「「いただきます!」」」
バーガーを手に取る。圧力で脂が垂れ落ちる。
一口。新鮮な野菜の歯ごたえ、チーズとパティの脂、それらを挟むバンズ。
美味い。深くない、浅い味だ。ただ、肉と、脂と、野菜の味。単純だからこそ、気づけば二口、三口。これが、ジャンクフード。体が、次の一口を求める。
口が脂で占領されたころ、サイダーでリフレッシュ。また一口欲しくなって、それの繰り返し。
気付いたら無くなっているのが、ジャンクフードの怖いところだな。
「あー、ご馳走さん。美味かったわぁ…」
結局、余分につくってたパティも無くなって、食後。
思い思いに寛ぎながら、歓談している。
鍛冶師さんからは新しい合金の開発状況を、商人さんからは新店舗計画の進捗、仕入れの品の数量調整の話を、アレン君からは2号店での商品の方向性を、エルマさんからは新しい本のお願いとそれらの翻訳のお話をした。
合金に関しては、今まで発見されて無かった新しい金属が魔物の領域近くで発掘され、腕の立つ鍛冶師達に研究の依頼がきているのだ。
ミスリルより非常に硬く、かつしなやかで、魔法を異常なほど受け付けない金属だそうで。なんかそういうファンタジー金属の話きいたことあるような、ないような。
新店舗に関しては、商人さんが信用できる人選があまり進んでないそうだ。
まぁ、俺という秘密があるからな、人選は慎重にしてもらいたい。
新店舗には、2号店や3号店だけでなく、レストラン、酒場、宿屋なども計画しているそうだ。この町だけでなく、王都にも出店したいそうだが、王都の方は俺に頼らない店舗を目指してるそうだ。王都まで品物を運ぶのはリスクが高すぎるそうだ。
2号店では、食料を多めに売りたいそうだ。冷却の魔道具をショーケースに仕込んで、そこに肉やら魚やらを並べる。こっちの世界の人は、美味かったら出処を気にしない人が多いので、アマソンから買ったものを並べてもみんななにも気にせず買っていくそうだ。
ただ、調理法は聞かれるようなので、レシピ本をアレン君に売ることになった。1冊銀貨50枚。これは商人さんに言われた値段だ。料理人はレシピを秘匿するので、安い値段で売るのは割に合わないと。
翻訳済みの本の複写はエルマさんが受注してくれるので、銀貨10枚分のアマソン商品で受けてもらっている。
で、エルマさんには、もう片っ端から知識の本を買って渡している。今は科学、社会、地理やらの本を読んでるそうだ。一番のお気に入りは生物の本だそうで、あるだけ買ってくれと頼まれた。生物の構造を研究して本にするのは面白い、と言っていたので、そのうち魔物の図鑑とかつくられそうだな。
話を聞きながら、俺は晩飯をつくっている。
昨日のうちにリンゴサイダーと水、砂糖、オレンジ、玉ねぎを一煮立ちさせたものの中にホーンラビットを入れて寝かせていたものを取り出す。
オーブンに入れて、じっくりと焼く。
一度取り出して、上下をひっくり返して、もう一度ゆっくり焼く。
ヴァンが匂いにつられて昼寝から覚めたな。
焼けたら取り出して、ホイルで包んで余熱で温める。
冷めきらないうちに食べるんだよな。
夕方。4匹のホーンラビットを焼き終えて、また皆で卓を囲む。
付け合わせはポテトサラダだ。これは夏美ちゃんがつくってくれた。
「いただきます!」
うん、やっぱりホーンラビットは美味い。雪ウサギとは違う旨味があるな。
今回も結構上手く出来たんじゃないか?パサパサしないし、味もしっかりついてるし。…素材がいいからか。
ポテトサラダは久しぶりに食べたんだけど、やっぱり美味い。芋の可能性は無限大だね。こっちの世界の芋より、アマソンで買った芋のほうが美味い。
アレン君は昼からコーラにハマっている。あとで個人的に売ってあげようかね。
いつもより賑やかな食事が終わり、デザートタイムも終え、お開きとなった。
新作のチーズケーキがあったから、それを買ったんだけど、結構美味かったな。
ヴァンには業務用アイスクリームを買ってあげた。この子は冷たいの好きなんだよね。熱くても食えるんだけど。
「明日はギルドいくかなぁ」
アメリカンなバーベキューしてみたいです




