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見知らぬ食材

季節は冬。外には、雪。

窓辺から外を見ながら、俺はため息をつく。


「防寒の魔道具とかねぇのかな」


「暖房器具こんなに置いてるのになにいってるのユウスケくん」


地下の発電機を増やして、空調機、ホットカーペット、電気ヒーター、こたつを我が家に導入した。

今月いっぱいは毎年恒例の大寒波なんだそうだ。


「外でたくなーい」


今日は商人さんのところに行く日だ。

前に珍しい食材のことを聞きに行った時に、次来るまでにいろいろ集めとくって言ってたので、見に行く。

ついでに、カイロとほかの商品も卸しにいくよ。カイロは思ったより売れて入荷待ちだって。いっぱい卸そう。


「ついてくる人は?」


「私はもちろんついていきますわ」


「私はパスでー。晩御飯用意して待ってるね」


「わ、私もぉ、家にいますぅ」


うん、じゃあ、ソニアとヴァンを連れて行くかな。

ヴァンは庭で走り回っている。ボールを買ってあげたら大変気に入ったようで、頭もいいからいろんな遊びをしているようだ。

今日は雪が積もっているので、雪に落とさないように1人蹴鞠かな。魔物なだけあって俊敏で、雪の中でも縦横無尽だ。アイスウルフだしね。


「じゃあいくか。ソニアはヴァンに乗って行くといいよ。」


「そうしますわよ」






「ワンッ」


「おじゃましまーす」


商人さんの店に来た。カウンターの裏手に大きめの暖炉があり、外よりは幾分か暖かい。ヴァンは暖炉の前に待機させる。この子の毛はあまり抜けないので、店内に入る許可が出ている。


「ああ、いらっしゃいませ。丁度スープが出来たんです、おあがりください。」


スープか。確か、大寒波の時期につくられる伝統のスープだったか。ある冒険者が「かあちゃんのつくったスープを飲みに実家に帰る」って言って王都に向かってたな。あいつの実家って騎士の貴族だったよな。







「あ、美味しい。」


とろみがある、シチューのような感じだ。野菜が多く入っている。


「それはよかった。ユウスケさん、これにはフレイムシープの乳が使われているんです。この時期の乳は濃度が高くて、栄養価も高い。値段もあがるんですけどね。」


フレイムシープとは、名前の通り炎を纏った羊…ではなく、体温が非常に高く、ゲップやおならが火を伴う羊だ。

毛は耐熱装備に使われるし、乳は多く出て貴族から庶民まで愛飲する。

夏はあっさりした味だが、冬は濃厚な味に変わり、大寒波の時期はさらに濃くなるそうだ。いや確かに、濃くて美味しい。

あと、タマネギのようなものや、人参のようなもの、芋も入ってるな。シチューだなこれ。


「このタマネギに似たのは『オーガ泣かし』って呼ばれてるんですよ。」


ああ、たしかにあれはオーガでも抗えないだろうな。


「オーガ泣かしの汁を投げつけて、ジャイアントサイクロプスの目を潰した勇者のお話もあるんですのよ」


…御愁傷様で、サイクロプスさん。


ともあれ、シチューか。帰ったらみんなでつくるかな。





「これが地竜の腿肉、頰肉、レバー、心臓ですね。こっちはハーピィの卵、ハイドスネークの身、タイタンピッグの首の身。こっちがトレントの果実、オーガ泣かし、で、これがですね…」


商人さんの店の倉庫にいる。

ここにはあらゆる在庫が収まっているのだが、今回は各地から集めたという食材を見せてもらう。

地竜は、年に10体程しか討伐されない、貴重な竜種だ。肉だけでなく、外皮や爪、牙なども様々な用途に使われる。オスなら睾丸が一番高くなる。精力を爆発的に増加させる薬になるそうで、貴族の間でオークションになるほどだ。肉は柔らかく、スジが少ない。脂も上品で、クドくない。そのまま焼いても、煮ても、いっそ生でも安全で美味しいそうだ。ユッケとかにしたいね。ユッケ買おう。

ハーピィの卵やハイドスネーク、タイタンピッグは冒険者ギルドの素材倉庫で見たことある。全部高級品だから、冒険者は自分で食わずに金に換える。

トレントの果実はリンゴみたいだ。甘くてトロける味だそうだが、桃みたいな味なのかな?オーガ泣かしはまんまタマネギだった。え、マジでそのまんまじゃん。


で、まだ紹介されてない箱。他の食材は保冷の魔道具などに入れられて、開けて見せてもらえたんだけど、この箱はなんというか、貴重だとありありと感じる。

豪華なアタッシュケースのようだ。何重にも縛られ、札も貼られている。


「これは…なんなんですか?」


「忌々しい気配がしますわね?」


ソニアが忌々しいと言うなんて、どんな食材なんだ。食材だよな?


「こちらはですね…炎龍の尻尾の肉、です。」


龍種。

竜と違い、巨大すぎる体躯、人よりも賢い頭脳を持つ、魔物の最上位種。

前回討伐されたのは100年ほど前だったか?てことはその尻尾は100年前の?


「龍種の肉は永遠に腐敗することはないのですわ。食べた物には特別な力が授けられるんですの。」


「ソニアは食ったことあんの?」


「ええ、黒龍の横腹の肉を生きたまま裂いて目の前で食べてやりましたわよ。それで、影に潜む力が手に入りましたの。」


そんなすごいのか、龍種の肉。

でも、それなら龍種の全身の肉を小分けにしてみんなで食べれば…


「言い伝えによりますと、龍種が生きてる間に食べないと、力は授からないそうです。…ちなみに、この尻尾の持ち主はまだ生きてます。」


「…これ、いくらです?」



「白金貨10枚です」



10億は無理だわ。


結局地竜の腿肉とハーピィの卵、トレントの果実を金貨2枚と銀貨15枚で買った。

地竜のユッケ、楽しみだ。

ユッケ食べたい

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