未知との遭遇
さて、菓子パン3つも食ったし、そろそろ寝床を考えるか。
異世界物の定番だと、最初の村とか町で宿を借りたり、誰ぞを助けてその人の家にお邪魔したりするもんなんだけど。
まぁとにかく、街道を歩きながら考えるか。
右か左か。どっちに進めば人が近いだろうか。こういうときは、勘で進めばいい。
「追い風っぽいし、右に行こう。」
半時間ほど歩いた。すると前方になにやら物々しい服装の集団が居た。
街道から外れて、5人ぐらいでしゃがみこんでる。
うーん、近づかないほうがいいか?
と思ったけど、向こうもこっちに気付いたらしく、手を振ってくる。仕方ないのでちょっと早足で5人組のところに向かう。
「やー、あんた、北から来たってことは田舎から出たクチか?町で働くとこねぇなら冒険者になれ、冒険者に。自由で、気ままで、生きてる実感溢れる職業だぞ、冒険者は。」
この人はこの5人組の冒険者のリーダーさん。熊みたいな巨体で、背中にでっかい斧を背負ってる。
なんやかんやで夜も近いってことで、ここで野営するのに同伴させてもらうことになった。
「俺もメンバーもみんな田舎が嫌で町に出てきてよ、冒険者んなったんだ。もう何十年前だっかな。何回も死にそうにはなったが、みんな生きてんだ。こんな楽しい仕事はねぇぜ?」
とまぁ、野生児丸出しなお話を聞かされてるわけですけども。
この5人組は、町ではトップクラスの討伐専門パーティで、冒険者ランクは3らしい。10が最低で、1が最高。特級ってのもあるらしいけど。
まあとにかく、わりとすごいパーティらしい。
インパクトもすごいんだけどね?
5人とも熊みたいな感じで、みんな武器とか防具とかごっつい。
5人の横にはリーダーよりふたまわりは大きい熊みたいな動物…これは魔物らしいけど、それが転がってる。
これは今日の晩御飯になるらしい。
魔物ってどんな味がするんだろう。
「とにかく町に行くってんなら、明日の朝に一緒に行こうぜ。俺らがいれば道中も、町ん中も安全さ。冒険者登録もすんだろ?」
「あ、ええ、冒険者。冒険者なりたいので、登録したいです。」
「んじゃあ推薦してやらぁよ。これもなにかの縁だろ。俺らの推薦があれば、試験は受けなくていいからな。すぐに冒険者んなれるぜ。」
おお、なんかズルした気持ちにならなくもない…異能持ちが今更、って感じだけど。
「ありがとうございます。冒険者のこと、町のこと、常識とかまだあまりわからないんで、よければ御教授くださいませんか?」
「おお、んじゃあまずは………」
良い人に会えて良かった。俺のいたところと常識が違ったりしたからな。
うーん、冒険者もいいけど、この異能で商売とかできないかなぁ。
あまり恨まれたりしないような商売って、難しそうだな。
自分で商売するんじゃなくて、誰かに卸すのがいいかもね。
お金がいっぱい手に入ったら、家を買ったりして、中にアマソンで買ったものをいろいろ置いたり。
異世界転移って、夢が広がるなぁ。
「さて、ここが王都の次に広い町、俺らのホーム、ドラゴニアだ。」
日が明けて翌日、日の出から6時間ぐらい歩いて昼過ぎ、ようやく俺は、人の住む町に辿り着いた。
アメリカンなマッチョヤンキー集団を想像してくれるとわかりやすいかと