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エルマ女史

「お邪魔するよ。」


「いらっしゃい、エルマさん。1時間ほどでご飯が出来上がるので、それまでに本を受け取りますね。」


王都で翻訳を頼んでから20日ほど。

俺たちは簡単な討伐依頼や採取依頼をこなしながら、アマソンで色々な食材を試したりする日々を過ごしていた。

今日は翻訳を頼んだ本を持ってきてもらった。彼女の名はエルマ。眼鏡ポニテボインさんだ。


「とりあえず、リビングで寛いでください。今日の晩御飯は唐揚げとカキフライ、生ハムサラダ、コーンポタージュです。」


「うん、レシピ本で見たよ、唐揚げ!どんな味がするんだろうね?」





さて、場面は厨房。

今日のご飯をつくるのは、夏美ちゃんとソニアだ。


「夏美、ふぁいとですのよ!」


「うん!朝に下準備したからね、難しい工程はないよ。丁寧にやっていこうね!」


つくるのは、唐揚げ、カキフライ、生ハムサラダ、コーンポタージュ。

唐揚げは朝にニンニクの効いた塩ダレに漬けて置いている。醤油ベースも美味しいが、これも美味いのだ。

牡蠣は大サイズを20個買った。1人2つで、10個は明日食べる。焼き牡蠣、牡蠣揚げ、南蛮漬け…意外と調理法が多い。


「唐揚げ作ってる間に、サラダお願いするね」


「任されましたわ」


まずは唐揚げ。ボウルに片栗粉いっぱいと薄力粉ちょっととベーキングパウダーちょっとを入れて揚げ衣に。

漬けた鳥モモをボウルに入れて、満遍なく衣をつける。

170から180度ほどに熱した油にぶちこんで、きつね色になるまで放置。

油はちょっと高いオリーブオイルを使ったよ。

油が泡立って、きつね色になったら裏がえす。裏がえすときに油から一度持ち上げるのがポイント。

濃いきつね色になって浮いてきたら、取り出して油をきる。

キャベツを盛った皿に添えて出来上がり。

胡椒やタレはセルフでどうぞ。



唐揚げが出来上がるまでに生ハムサラダ。今日は2皿つくる。

レタスを少し小さめに切って皿に盛る。トマトを8等分して盛る。アボガドを薄めに切って盛る。生ハムを花に見立てるように巻いて盛る。


「ドレッシングは…これですわね」


ドレッシングは、自家製ガーリックオイルドレッシング。

ニンニクを電子レンジで加熱して、荒く刻む。同じ量をみじん切りにして、オリーブオイルで炒める。

それらとオリーブオイル、黒胡椒、ポン酢と上手く混ぜる。配分が難しかったんだよな。

そしてドレッシングはもう一種。オーロラソースだ。ケチャップ、マヨネーズ、ヨーグルト、塩、砂糖、ホワイトペッパー、オリーブオイルを混ぜる。これも配分が難しい。ケチャップとマヨネーズを同じだけ混ぜるのも似た味になるんだけどね。

これらを綺麗にかけて完成。



「次はカキフライとポタージュね。」


「フライはまだ慣れてませんの。今回は任せますわね?」


「うん、ポタージュは任せるね!ユウスケの好物なんだから!」


「う、わかっておりますわよ!」



温めの流水で牡蠣の滑りをとり、汁気を拭き取る。小麦粉、水、卵を混ぜてバッターをつくる。

バッターに牡蠣を潜らせ、生パン粉をしっかりつける。180度の油で唐揚げと同じように揚げる。

これもキャベツを盛った皿に添えて、タルタルソースをかける。

タルタルソースはこれまた自家製だ。たまねぎ、ピクルス、ゆで卵を微塵切りにして、マヨネーズ、レモン果汁、塩胡椒と良く混ぜて完成。


「よーし、完成っ!…唐揚げの小さいのぐらいは、摘んでもバレないよね?」




最後はコーンポタージュ。

鍋にバターを入れて熱し、微塵切りにしたたまねぎを透き通るまで炒めて塩胡椒をする。

スイートコーンを入れて少し炒めて、水、コンソメ、クリームコーンを入れて煮る。沸騰はさせないように。最後に生クリームを混ぜ、胡椒で味を整えて完成。


「ん…まぁ、満足してもらえる味ですわね。」







「で、レシピ本の中でこっちで流用出来そうなのは広めようと思うんですよ、エルマさん」


「うん、いいと思うよ。畑の運用方法も有用だと思うな。」


「そちらは、商人さんに任せて売ろうかと。お貴族様から広めてもらったほうがいいでしょうし。」


「うんうん。個人的には、シェイプアップの本は広めないでほしいな。あれは私だけの秘術にしたい。」


「いやいや、そんなのしなくても充分お綺麗じゃないですか?」


「ユウスケ、鼻の下が伸びてますわよ」


リビングでの歓談。訳してもらった本の話をしていると、いつのまにか隣にソニアが座っていた。


「あらら、ユウスケ君。君はこんな行き遅れにも色目を使う子なのかい?」


エルマさんがからかってくる。くそ、大人の余裕ってやつか!


「俺の世界では、エルマさんぐらいのお年でも独身は珍しくなかったんですよ。むしろ適齢期ですね。エルマさんは美人だし、スタイルもいいので、がっつりタイプですよ?」


「お、そうなのか。なんだか自信が湧いてくる話だね。…ま、いざとなったらユウスケ君に貰ってもらうってことでいいかねぇ?」


「え、あ、まぁ、大丈夫ですよ?」


いや大丈夫なんだけど大丈夫じゃないよね。タイプとか言っといて情けないって?あの顔に微笑まれてみろよ!


「はいはい、私はお嫁さんが何人いてもいいからね、ユウスケくん。」


「夏美ちゃんまで…からかわないでくれよ」


「考えときます。ご飯できたから、テーブルにどうぞー」


お、いい匂いがすると思ったらもう出来上がってたのか。


「じゃ、エルマさん、行きましょうか。」


「うん。唐揚げ楽しみだなぁ」


「今回のコーンポタージュは私がつくりましたの。ユウスケのお口に合いますかしら」


「ソニアはセンスがいいからな。美味いんだろうなぁ」





キッチンの前のテーブルに着く。

貴族と違って、テーブルが別の部屋ということはない。

テレシアはメイド服を着てせっせと準備をしている。メイド服は、ゴスロリを買ったついでに買ったんだが、テレシアが思いの外気に入ったので着てもらっている。


「ごくろうさん、テレシア。さっと着替えておいで。」


「はぁーい。まっててくださいねぇ」


「長くは待たないからな。」


テレシアは着替えが早いからそんなに待たなくていいだろう。



テレシアも席につき、5人でテーブルを囲む。ヴァンは床で待ってる。俺らが食べ終わってから食事を用意するのだ。


「さて、じゃあ食べようか。いただきます。」


「いただきますわ」

「いただきまーす」

「いただきますぅ」


「えと、いただきます。」


ソニアはもう箸を使えるようになった。唐揚げをしっかり掴んで、タルタルソースを着けて食べてる。

夏美ちゃんはカキフライに舌鼓をうっている。噛むたびに音が聞こえる程にサクサクなようだ。

テレシアはもっぱら唐揚げだ。テレシアのために大量につくったと言ってもいい。幸せそうな顔するから、甘やかせてしまうんだよな。

エルマさんは満遍なく楽しんでいる。唐揚げの味の深さ、カキフライの歯ごたえ、生ハムとアボガドの相性、ドレッシングの可能性、コーンポタージュの柔らかな甘さ。全てが好物になったと言っている。

俺も同じく、全部好物だ。今回の一番はコーンポタージュだな。いつもより上品に仕上がってる。…気がする。


「こんな美味しいものが食べられるなんて、長生きするもんだねぇ」


長生きって…見た目まだ20代だけど、そんなこと言ったら見た目10歳で数千歳の人もいるんだった。タイプだったら年齢とか関係ないよねっ。





「ふぅ。ごちそうさまでした。」


「ユウスケ、ポタージュはどうでしたの?」


「ああ、夏美ちゃんがつくったのとまた違う美味しさだったよ。凄く美味かった。」


「よかった…またつくって差し上げてもよろしくてよ?」


「ああ、いつでも待ってるからな。」





食事も終わり、デザートの時間。

ソニアはもちろんチーズケーキ。最近はレアチーズケーキにハマってるそうだ。

夏美ちゃんはプリン、テレシアはシュークリーム。

エルマさんにはショートケーキを出してみた。予想通り幸せそうな顔してる。




「いやぁ、今日は最高の日だよ!あんな美味い食事をいただけるなんてね!予想を裏切られたよ!」


「また暇があればいつでもきてくださいね、歓迎しますよ、エルマさん。」


「本当かい!来月からまた暇ができたらくるからね!…じゃあ私も、こっちの珍しい食材を持ってこようかな?こっちで調理してもらうのがいいね!」


そういえば、こっちの食材はあんまり食ったことないな。ボア系の肉が美味いのは知ってるんだけど。

俺は俺で、美味そうな食材集めるかね。


「では、気をつけて帰ってくださいね?」


「ああ、襲われるほど弱くはないから安心して。ユウスケ君に貰われるまでは大事にとってるからね。おやすみ!」


「あ、はい。おやすみなさい。」



さて、明日は商人さんのところかな?食材の話を聞きに行こう。

去年までは小柄で幼く見える女性が好きでしたが、今はオトナな女性が好きです。

ソニアはオトナです。合法です。

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